※左から大力拓哉監督・松田圭輔さん・三浦崇志監督

ただ今シネ・ヌーヴォで公開中の大力拓哉監督・三浦崇志監督『ニコトコ島』(’08)、『石と歌とペタ』(’12)。
『ニコトコ島』は「イメージフォーラム・フェスティバル2009」で大賞を受賞、第62回ロカルノ国際映画祭にも招待され、『石と歌とぺタ』はローマ国際映画祭の招待作品として「CINEMAXXI」コンペティション部門で上映されるなど、国内外の映画祭で評価されて来た。2016年には京都の清水五条にあるルーメン・ギャラリーにて【大力・三浦映像作品集】として全作品が上映され、満を持して10月の東京のシアターイメージフォーラムを皮切りに、シネ・ヌーヴォ名古屋シネマテーク神戸映画資料館と初の劇場公開中と相成った。

人間の根源をゆるりと巡る法螺話。時間も縮尺も方位も混沌とした3人の男たちの旅の景色がスクリーンを超えて頭を浸食し、目的地の概念も消失する。蟻の千年の足踏みで出来た泣き顔の石、広がる池、巨人が積んだ岩に思いを馳せつつ、結局、ペタって何やねん?クソ気忙しい12月だからこそ劇場でニヤリとするのも一興。そしてやはり気になるのが、どんな人たちがこんな映画を撮っているのかということだ。

大力さんと三浦さんは小学生からの幼馴染み。
現在三浦さんは約15年大型書店に勤めており、芸術書を扱っている。この『ニコトコ島』 『石と歌とペタ』の公開に合わせて店の中にポスター貼ってコーナーを作っているという。ツイッターで「職場の朝礼で思い切って映画の宣伝をしたら予想外に笑いが起こった」とツイートしていたのが、映画の続きのようにくすっとさせられる。

大力・三浦作品の成立に欠かせないのが2人の友人である松田圭輔さん。2人同様作品に出演し、音楽も手掛けている。大力さんと松田さんは大学生の頃、音楽つながりで仲良くなった。卒業してからも付き合いは続き、大力さんが手掛けた写真のコラージュを見て、Web制作会社で勤務している松田さんが仕事を手伝って欲しいと持ち掛けた。手伝いをきっかけに大力さんが松田さんのいる会社に入って約3年。デザインを担当している。
ちなみに『石と歌とペタ』の冒頭に出てくる絵は大力さん作。普段は全く違うテイストで白黒の木版画を彫っている。木版画作家の奥様の影響だそうだ。

『ニコトコ島』(’08)


●作品以前の3人

――出会ったころの大力さんと三浦さんはどんな感じだったんですか?

三浦:小学校の時はまだそこまで仲いい感じじゃなくて。中学校入ってからですね。一番最初の記憶が、小学校の時にゴミ捨てを頼まれて、大力が机に突っ伏して寝てるところを仲良くもなかったのに、“一緒に行こう”って誘って。なんでその時誘ったかは全然記憶がないんですけど(笑)。自分からはあんまり人に声かけへんから覚えてましたね。

大力:全然覚えてないなー(笑)

音楽や映画の趣味が合うことで仲良くなっていったという二人。

――元々映画は好きでよく見られていたんでしょうか。

三浦:そうですね。大力から映画の影響を受けて好きになった感じで。

大力:中学校の時ですね。僕がビデオで『パピヨン』観て面白かったんで、TVで放送がある時に勧めたんですね。“今日深夜にやるから”って。それが三浦くんが映画を観るようになったきっかけです。

三浦:それまではまともに映画を観てなくて、終わったらちょうど朝方で外が明るくなってという。単に観たというよりその体験が衝撃的やって、映画ってすごいなーって。それから色々観るようになりました。

大力:高校ぐらいの時に家の前に大きなTSUTAYAが出来て。VHSのカルトコーナーって昔あったじゃないですか。ああいうのんで『鉄男』(’89)とか観て、なんじゃこりゃって。変なものをとりあえず探すみたいな。

三浦:音楽でもそうなんですけど、極端なものが好きですね。面白いのを見つけたら、こんなんあったとか言って見せ合う。

――お二人の好きなものは似てるんですか?

三浦:完全に一致してるわけじゃないんですけど、ある程度近いと思います。

大力:割と衝撃受けたりしたのは似てますね。タルベーラの『ヴェルクマイスターハーモニー』(’00)とか。

――松田さんは映画は観ますか?

松田:映画はあんまり観ないですね。お勧めを教えてもらって観るぐらいで。でも何観たかな。それ自体忘れてますね(笑)。小説も勧めてもらったのを読んだり。

――小説は何が面白かったですか

松田:僕は南米の小説が面白かったな。ボルヘスの『伝奇集』とか。

大力:本は三浦くんが一番読んでんちゃうかな。

三浦:本屋さんですから(笑)

――普段はどんなものを読んでますか?

三浦:全作品読んでるような作家はいないんですけど、藤枝静男の『田紳有楽』は好きです。大分前から小説よりノンフィクション系を読んだり、いろんな監督の本とか。民俗学的なものも好きですし。
映画も他のジャンルも“この人”っていうのはあまりないですね。悪い意味じゃなくて、好きな監督を目指して映画を撮る人がいると思うんですけど、僕はそういうのがなくて。

『ニコトコ島』(’08)


●映画の枠を自由にはみ出す面白さ

中学生の時にパンクが好きになり夢中になった2人。高校生になると他の同級生と3人でバンドを組み、その後はジャンルに拘らず何でも聴くようになったという。

大力:三浦くんちが農家なんで農機を入れるガレージにドラムを持ち込んで。すっげーうるさかったと思うんですけれど(笑)

三浦:音、だだ漏れですからね。ライブは自分たちでライブハウスを借りて何回かやりましたね。そんな本格的にやってたわけじゃないんですけど。

――音楽ではなく映画の方に行ったのは何故ですか?

大力:映画は褒められたからかな。

三浦:それが大きいかな。学校は大力と別々で僕はビジュアルアーツなんですけど、卒業制作で大力と一緒に『モーローハッキャギョイ』って作品を作ったんですよ。意味無くつけたので、何故このタイトルにしたのかあまり覚えてないですが…。校内のコンペに通って映画館で上映されたのが、めっちゃ嬉しくて。映画も音楽を使うから、というのもあるかもしれないですね。

――『モーローハッキャギョイ』はどんな作品ですか。

三浦:好き放題しましたね。ゲーをいっぱい吐いたりとか(笑)

大力:そやなー。やりたい放題したな。ふざけてる所は今と一緒やな。

三浦:今ほど知識がないので、ストーリーがいるもんやと思って考えてましたね。

――ストーリーを考えていたところから、自由になって行ったのは?

大力:撮り出す前に、2人で毎週会って話合ったりするんですけど、大体が話を考えても終わらないと言うか、出来ないんで。しんどくなるし、とにかく外へ撮りに行った方が話が進むと言うか。何かあった方が考え易いんです。

――机の上で考えてるよりは。

大力:外へ行った方がよくわからんことが起きたりもするし。そういうところから始まる感じですね。それで段々シナリオを作らんようになったかな。

三浦:終わんないですね、単純に。

大力:良く出来たシナリオの作品も好きなんで、そんなんもしたいという気持ちはどっかにあるんですけど、いざやりだすとこういう風になっていく(笑)

松田さんが最初に大力・三浦作品に登場したのは『モーローハッキャギョイ』の次に撮った『タネ』(’07)だ。この作品はイメージフォーラム・フェスティバルで入賞した。

大力:松田くんと仲良かったんで、“映画撮るから手伝って”って頼んで、その場で出てもらって。それからずっと出てもらってますね。松田くんは音楽も作るんでその場で録音もしてもらったりとか。
僕と三浦くんが監督という名目なんですけど、最初の方は3人で作っていたって感じが強いですね。

『ニコトコ島』(’08)

――松田さんの存在が大きかったんですね。

大力:松田くんが結構音楽詳しくて。色々教えてもらった中で、音楽の方が映画よりもっともっと先に行っているような気がしているんです。映画って映画の枠があってそこからはみ出しているものってそんなにないような気がして。僕が見ている部分が狭いのもしれないですけど。やっぱり音楽や絵画の方が歴史が長いし。

――映画は120年ぐらいですもんね。

大力:音楽はいろんな実験がされていて、そういうところで受けた刺激を自分らがやってる映画に置き換えたらどうなるかなって考えたりしますね。

三浦:実験的なちょっと変なやつも好きだし、普通のストーリーものやハリウッド映画とかも全然好きなので、今の僕らは完全な実験映画でもないし劇映画でもない。丁度“間”ですかね。

大力:あまり実験の方に振りたくないと言うか。観てて笑けたりするのが好きなので。

――クスクス、にやりって感じですね。

三浦:大阪にずっと居るから、大阪っていう感じが。

大力:あるかもしれへんな。

――松田さんは実験系の音楽がお好きなんですか?

松田:そうですね。実験系も含めて色々聴きます。教育を受けたわけじゃないんですけど、ただ雑音を録音しただけのCDとか、音楽になってないものも普通のCDと同じようにお店に並んでいるっていう感じが面白くて、CD屋に並んだら面白い音楽ってどんなんかなって考えながら作ったり。後は身近な友達を笑わせるために(笑)

大力:やっぱり笑かしたいみたいなのはあるよな。

――それは大阪人のDNAみたいなもんですかね。

三浦:撮影してる時もそうだし、3人で遠くまで車で行くんですけど その中でもずっとしょうもない話をしていて、それがそのままセリフになったり(笑)

 

●松田圭輔さんの重要性

――3人がメインで登場するという、このスタイルになられたのは何故でしょうか?
三浦:この2作品以外では、他の人が出てるやつもあるんです。ただ単純に楽ですね。3人なら3人で行って撮れるけど、人が増えれば増えるほどスケジュールを決めたり、撮り出すのにすごい時間がかかるみたいな。

大力:フットワークが悪なるもんな。

三浦:僕らのやり方が分からない人が入るとシナリオも何もないし、“どうしたらいいの?”みたいな(笑)。松田くんは完全に分かってくれているから。

『石と歌とペタ』(’12)撮影風景

――松田さんから見てお2人の撮影スタイルはいかがですか?

松田:最初はOKのテイクとあかんテイクの違いがよく分からないままでした(笑)。僕も映画を作るというよりも遊びの延長みたいな感じでやっていて。気を遣わせないような雰囲気が普段の会話や遊びから出来上がっていたから、こういうふうにやってと言われてやってみて、”いいよ”となったら”よかったんやなぁ”。”もう一回やって”って言われたら“今のあかんかったんやなぁ”って、あまり深く考えずに楽しもうぐらいの気持ちでやってます。

大力:最近は2人でやってたんですけど、やっぱり松田くんの重要性がわかってきまして。“ちょっとそこ、立ってみて”とか、それを松田くんは全然文句言わなくやってくれるんですよ。

――三浦さんは文句言う?(笑)

三浦:言わないです(笑)

大力:松田くんと僕らの関係性があるからできることやと思うんですけど、やっぱ必要やなーって(笑)

――今の話を聞いていて、なんとなく客観性が出るのかなって思ったんですけど、最新作はお2人だけで撮られてたんでしょうか。

大力:はい。2人とも出てるとカメラをチェックできないんですよね。それがちょっと不便で(笑)。不便やけども、それが誰でもいいってわけじゃないねんね、やっぱり。

三浦:結局は長い間一緒に旅行に行ってるみたいなもんなんで。

大力:いつも一週間分ぐらいまとめて休みを取って、行って帰って来てちょっと編集してまた行って、みたいな作り方なんですよ。

――松田さんは、なんで俺を呼ばへんねんみたいなことは?

松田:最近子供が出来て、参加はしたいんですけど、時間的に難しくて休ませてもらってるんです。役者の役割に徹してないから、ちょっと立ってて、というのも抵抗なくできるんかな。決めて作ってるんじゃなく考えながらやってるから、そのプロセスも楽しめる人やったらオッケーなんかなっていう気はしますね。

『石と歌とペタ』(’12)

――映画の中で踊ったり面白い動きをしたりするのは、普段からそういうノリなんでしょうか。

三浦:普段はそんなに動いてないですけどね。

大力:松田くんにちょっと動いていて言ったら変な動きをするんで。ちょっと歌ってって言ったら変な歌を歌ったり。

――期待に応えてくれるんですね。そういうのは自然に出てくるものなんですか?

三浦:練習はないですね。踊る予定もないし(笑)。ここで踊ったらおもろいんちゃうかってやっているぐらいで。

大力:松田くんは元々映画に関係なくあんな曲を作っていて、それが面白かったからずっと歌を歌う役にして。『ニコトコ島』の最後の曲も非言語で歌ってるんですね。その延長で『石と歌とペタ』では“歌”って役にしたんです。

――そう言えばペタって何ですか(笑)。 石と歌は説明があるけどペタはないじゃないですか。何やろなって考えるのが楽しいんですけど。

三浦:『石と歌』って決まった後に訳わからんもんとして付けたので、“何かわからんもん”てことでしかないですね。

大力:途中まで撮ってからこうしようとか、そういう役にしようかっていう。大体思いつきと言うか。

『石と歌とペタ』上映中の劇場ロビーに♪ペタペタペターと歌が聞こえてくる)
大力:こんなん松田くんはすぐ作れるんですよ。

松田:実際これを人前でやれと言われたら出来ないですよ(笑)

大力:松田くんすごい緊張しいなんで。

三浦:でも普段一緒に遊んでいるから、撮影の時は緊張しないのかなって。

『石と歌とペタ』(’12)

 

●フレームの切り取り方、対比の妙

――どの作品も映像が印象的なんですけど、撮影している時に撮影場所を選ぶポイントと言うか、何に対して面白さを感じますか。

大力:ぽかんと誰もいないとか。そういうところを探すと山の中とか、段々変な場所に移って行くみたいな。

三浦:めっちゃ凄い景色に見えていても、実は横に道があったり。山奥っぽいけどカメラをちょっと振ったら家があったりするのをうまく騙すというか、ここどこ?って思わせる。

大力:お互いに運転して片方が外を見ていて、ちょっと停めてってみんなで見に行くとか。ピンとくる場所って、何なんやろ。

三浦:感覚だから説明するの難しいな。

大力:なんか良さそうって言うか。

――その良さそうっていうのがどこから来るのかなっていうのが、初日のトークを聞いていてすごい気になったんです。

三浦:風景が面白いというのもあるんですけど、結構実際の大きさって分かんないじゃないですか、人がいないと。風景だけやったらイマイチでも人が歩いたら面白いとかもあるし。

――みんながひたすら歩いているのが印象的ですが、あれで映画が成立すると確信を持たれたのはどういうところだったんでしょうか。

大力:多分『ニコトコ島』ぐらいからですね。今より尖ってたんですよ。ずっと長回しで眠たくなるのがいいやとか、今観たら今よりは尖っているなって。今は別の方向に尖ってるんですけども。

『ニコトコ島』(’08) 撮影風景


三浦:誰が見ても画的に“いい”と思う方じゃなくて、崩す方に行っていて。僕ら的には作るのが楽になるんですね。どこでも撮れるから。でも『ニコトコ島』辺りから、観る人のことをもうちょっと考えるようになって。それまでは笑かしたいけど、画的な部分では突き放していたつもりで。

――観客を意識した部分ではどういう風に変わってきましたか。

大力:飽きる前にカットを切るとか、細かいところですね。

三浦:海外の映画祭に行った時に、気に入らないお客さんが途中でバンバン出ていくと、やっぱりショックを受けるんですね(笑)。できれば観てほしいし、そういうのもあってちょっと意識し出した気がしますね。

大力:結局出て行くんやけどな、意識したところで(笑)

――丁度海外の映画祭の話が出たので、観客の皆さんの反応って日本と違いますか?

大力:極端に分かれますね。凄くいいと言ってくれる人もいれば、ダメな人は“なんでこんな映画選んだんや”って食ってかかってくる(笑)

――それはそれでまた面白いですよね。はっきりとした反応で。

大力:1回神の啓示を受けたと言われたことはありました、『ニコトコ島』で(笑)

三浦:ちょっと怖すぎて(笑)

松田:大阪弁のニュアンスが伝わってない。

大力:そやな。翻訳をどうしたもんかなと言うのが難しいですね。

 

●完成が近くなるまで常に不安で仕方ない

――2016年5月にルーメン・ギャラリーで上映された【大力&三浦映像作品集】でセリフと音楽がない『今日も順調』(’15)を拝見しました。現在はそちらの方向に行ってはるんでしょうか。それとも今は別の方向ですか。

三浦:それが一番やり放題をやった時の作品ですね。一回やってみようって。

――セリフなしでやってみてどうでしたか?

三浦:思ったよりすんなり。

――私も構えていたけどすんなり観れて、客席にいた子供も退屈せずに熱心に観ていましたね。

大力:あれ、むっちゃいいと思うなあ。

三浦:自分達は毎回いいなと思って出すんですけど、上映の回数自体が少ないのでやっぱり反応が物足りないと言うか。これでいいのかどうかっていうのがあまり分からなくなってくるんです。

――あの作品を経てどういう風に変わられたんでしょうか。

大力:今は完全にフリーです。別にセリフがないという縛りもなく。もっといろんなもんを撮れるようにしたいなって思っていて。何を作ってるのかはいまいち(笑)。完成近くなるまで全体が分かんなくてずっと不安な状態です。

――それは意外。不安な状態なんですか?

三浦:常に不安です。撮る前に色々喋ってはいるんですけど。

大力:シナリオを作るわけじゃないから、よく分からない。これやったらおもろいかなみたいな断片がいっぱい出来て行って、これくらいあったら出来るかなとなって編集するんですけど、現場に行ったら全然違うことも起きたり、それも撮りたいとなるとどんどんとっ散らかっていって。

三浦:とにかく撮ってそれを観て。またもう一回どんな映画にするか考えて。方法としてはドキュメンタリーです。

大力:対象がないと言う(笑)

――面白い場所っていうのはどんどん見つかるもんなんですか?結構色々な所に行かれてると思うんですけど。

三浦:何にもなくて作品にならなかった時もあります。

大力:ただ旅行に行っただけ(笑)

 

12/20、シネ・ヌーヴォ トークゲストの櫻井篤史さん
(映像作家・ルーメン・ギャラリー ディレクター)と。

 

● 楽しくないものを切ることで映画を続けて来た

――それでは最後になりましたが、皆さんは何故映画を撮り続けていますか?

大力:面白い遊びと言うか、仲良いし友達やし何かして遊ぼうぜってなった時に一番映画作るのが面白い。それかな。

三浦:単純に旅行に行くよりカメラがあった方が楽しいと思うし、さらにそれを映画にしたら面白いなって今ぱっと思いました。

大力:割と面倒くさがりなんですけど、映画のことに関してはそんなに面倒くさいと思わなくて。
面倒くさいから切り落としてきた部分はあると思うんですけど。面倒くさいと言う切り方はあんまり良くないかもしれないけど。

『石と歌とペタ』(’12)


三浦:楽しくないものを切ってきたな。

大力:あーそういうことやな。

三浦:だから続けられてるかも知れないですね。 やりたくないことはやらずに、その上で面白くなればいいんかなーっていう感じですかね。

大力:作ってれば色々悩むけど、そこにストレスは全然なくて。面白くなかったらやめてるよな(笑)。

――今で10本ぐらいですか。

大力:そうですね。丁度10本かな。

三浦:よく続けるの難しいって言うじゃないですか。言いますよね。それだけです(笑)。続けている人は少ないから、続けていけばそれは一個の強みじゃないかなって気はしますけどね。

大力:もうおっさんですけど 、老人になってもやってると面白いかなと思いますね。

三浦:80歳で3人が歩いていても面白いかな。

――別の画になってきますね。

三浦:ほんまの死が(笑)。

大力:意味が変わってくる(笑)。

 


インタビューの合間に、映画を撮ること以外で今一番興味があることを尋ねてみた。
10年ほどメダカを育てている大力さんは、熱帯魚を飼ってみたいと口にして自分が小さい魚好きだと気付く。
三浦さんは、他の格闘技に興味はないけどボクシングが好きでボクシングジムに通うか迷っていると言う。
松田さんは、下手な落書きがウケるのが嬉しくて大力さんと書き溜めたものが500枚ほどになったと笑う。
3人三様の共通点がない答えに、『ニコトコ島』の中に出てくる山のルーツを巡る会話が思い出される。

「“山”って何なんかなぁ」
「でっかい“岩”ちゃうん?」
「ほんじゃあ”岩”って何なん?
「でっかい“石”ちゃうん?」
「ほんじゃあ“石”って何なん?」
「でっかい“砂”ちゃうん?」
「ほんじゃあ“砂”は?」
「でっかい“粉”ちゃう?」

なんでもない楽しみや日々の会話や生活が、大力・三浦作品を構成する“粉”の一粒一粒になっているのかもしれない。
今後も3人が作り出す映画に注目して行きたい。

『ニコトコ島』『石と歌とペタ』の上映は、シネ・ヌーヴォが12/16~1/5まで(12/30~1/1は休館)、神戸映画資料館が1/12~16の予定となっている。

 

12/17、シネ・ヌーヴォ トークゲストの西尾孔志監督と。

執筆者

デューイ松田