2001年、黒井ミサ復活——。ファン待望のシリーズ第4弾「エコエコアザラク」(鈴木浩介監督)がこの春、シネマカリテほか全国劇場で公開となります。今回、ミサ役に大抜擢された加藤夏希ちゃんは映画初主演ながら影のある存在感を醸し出し、原作に限りなく近いミサ像を演出。スクリーンに投げかけられた早熟な視線は“ほんとに中学生か!?”とツッコミをいれたくなるほど。ところが!!この先入観は再度裏切られることになるのです。“綺麗すぎて怖い”を地でいくキャラクターかと思いきや、当の夏希ちゃんは“ダマされたか!?”とツッコミたくなるほど明るく元気な女の子。役柄とのギャップには「うふふ、そうですね」と笑い声をあげ、年齢相応の無邪気さを振りまく一方、「(魔術が使えるなら)オゾンホールをなくしたい」、「目指す女優さんは岩下志麻さん」などの渋い答えも登場しました。168センチ、45キロ、細身の身体によく動く黒い瞳——ひと目見て無敵の美少女、ふた目見てタダモノじゃあない。末恐るべしインタビューを独占中継いたしましょう。



——夏希ちゃんは「エコエコアザラク」の大ファンだったとか。
 そうなんですよ!もともとホラー映画ファンなんですけど、なんと言っても「エコエコアザラク」がいちばん(笑)。シリーズ化されて、いろんな方が演じてますし…。怖い映画ではあるんですが、胸の中がきゅんとしますよね。切ないホラーだと思います。

——歴代ミサ役のひとり、佐伯日菜子さんにはじきじきに呪文を教えてもらったこともあるんだって?
その頃は「エコエコ〜」主演の話はまだ出ていなかったんです。ちょうど1年くらい前かな。イベントでご一緒する機会がありまして、エコエコの呪文や五茫星の書き方を教えてもらいました。嬉しくって、学校で呪文を唱えたりとかしてましたよ(笑)。その後、ミサ役の話を頂きました。ホントに偶然だったんです。

——台本を最初に読んだとき、どう思った?
私の知ってる黒井ミサは…漫画なんかでもですね、正義の味方っぽいところがあったんです。と思っていたら、全く違ったんですよ(笑)。悪者かーい、みたいな感じで(笑)。
でも、黒井ミサ自身は何も悪くないんですよね。彼女は何も知らないんです。よってたかってテレビ局や警察が悪者に仕立て上げるんですよ。『ひどい、ひどい、悪くないのに』なんて思いながら読みました。


——いろんな女優さんが演じていたというプレッシャーは?
うーん、やっぱりありましたね。でも、今回のストーリーはミサ自身が魔術を覚えていないという設定だったので、逆に素のままでできたのかな。イメージ的にはマンガの黒井ミサを意識したんですけど…。原作の古賀先生に相談したら、『うん。好きにやっていいよ』って。どんな子にしたらいいのか、ほんとに悩んだんです。でも、高校生の生活からしてよくわからないので(笑)、感じるままに演じようと。

——実際の夏希ちゃんとかなりギャップのあるキャラクターだよね?
うふふ、そうですね(笑)。私はいろんな役を演じるのが好きなので『ハイテスト、ほんばーん』と言われた瞬間にその役になっちゃう(笑)。ミサはネクラなところもあるんだけれど、仁美という親友もいる。もともとは普通の女子高生なんですよ。それに、私はミサと似てるところもあって、ひとりでいるのが案外好きなんです。本当は孤独を愛するタイプなんです(笑)。

——撮影中、一番大変だったのは?
台詞はそんなに多くないんですよ。その分、表情でカバーしなきゃならないのが大変でした。アップで撮られることも度々ありましたし…。もうひとつ、きつかったのは(笑)、病院のベッドで眠っているシーンがあるんですが、その場面の撮影はほんとに一日中寝てました(笑)。途中で、目を覚まして息が荒くなって(「ハァハァハァ」とそのシーンを再現)、それを繰り返してるうちに、酸欠状態になっちゃうんですよ(笑)。夏でしたし、暑いし、苦しかった(笑)。汗だらだらでやってましたね。

——鈴木浩介監督は優しかった?現場は夏希パワーで盛り上がってたそうだけど。
監督は優しかったですね、すごく。私の持っているオリジナルの演技で、演りたいように演っていいからと言ってくださいました。現場にはですね、お菓子がたくさんあるんですよ。マイコップを持ち寄ったりで、スタッフ、キャストの皆さんとわいわいやりながら楽しく過ごしました。

——もし、ミサのように魔術を使えたら何をしたい?
恵まれない子供たちに食べ物をあげる時、余っている食物じゃなくて、残飯じゃなくて、新しいものに変えてあげたいですね。それと、オゾン層にできた穴を消したりとかですね、そんなことが出来たらいいな。自分のこと?うーん、自分のことは…考えてなかった(笑)。うーん、空を飛べたりしたら楽しいかな。

——最後に。目指す女優さんは?
岩下志麻さん!!「極道の妻」を観てシビれましたねぇ(笑)。もう、憧れのひとですよ。
私自身、いろんな役を演じて女優として成長していきたいですね。

執筆者

寺島まりこ