恋人未満友達以上のBFと過ごすクリスマス・イヴ。楽しいサプライズ・パーティになるはずが、少女を待ちうけていたのは血染めのサプライズ・パーティだった——。新感覚ホラー「クリスマス・イヴ」が、今春シネマ・カリテほかで全国公開になります。これに先駆け、昨12月、クリスマス直前に披露試写会を開催。舞台挨拶の合間に主演の黒坂真美さんが単独インタビューに応じてくれました。「でもね、これはラブストーリーなんですよ。とっても切ない話」。質問ひとつひとつに丁寧に答え、穏やかな声のトーンにも立ち居振舞いにも育ちの良さが見え隠れする黒坂さん。錯乱状態にあるヒロインに強さと弱さを見出し、繊細に演じ切った力量に今後の活躍が期待されるところ。初主演作の撮影秘話をこっそり教えていただきました。



——前半、ヒロインは何故殺人パーティに巻き込まれたか、わかっていません。観客も何が起こっているのか、わからないうちに引き込まれてしまいます。
この映画はさらっと観てしまうと“たいへんそうね”で終わっちゃうかもしれません。でも、きちんと観ると実はすごく深いんですよ。初めて台本を読んだ時は私自身、「なにこれ?さっぱりわからない」と思いましたもの(笑)。時間軸がメチャクチャになってますからね。それで、お話の順序通りにシートを頂いて、やっと、なるほどね、と思って(笑)。

——スクリームのシーンがたくさんあります。あれは、相当高いテンションじゃない難しいですよね。
そうなんですよ!リハーサル、本番と声が枯れるほど叫びつづけました。ホラー映画を観ると“ちょっとやり過ぎじゃないの”と思うくらい皆さん叫んでますが、実際、自分がそういう場にいるとものすごい錯乱状態になるだろうなと。だから、スクリームは限りなくあり、なのかな.と思って。

——初主演でホラーに挑戦。プレッシャーも大きかったのでは。
 ホラー映画で大切なのが、演じている側の緊張感ですよね。中心にいる人物の表情とか物の言い方なんかで全然違ってくるなと。叫んでるだけではダメなんですね。でも、本当のところ、私は「クリスマス・イヴ」をホラーだとは思ってないんですよ。いえ、ホラーではあるんですけど、根底にあるのはラブストーリーなんですね。それも、すごく切ない話。



——役づくりでたいへんだったことは。
役作りというのはいつも特にしないんですよ。どんな役であろうと、自分の中にかけらがあるような気がするんですね。それを自分に近づけたり、役を自分に近づけたりということはありますけど全く別人になってしまうということはないですね。私が演じた敦子はすごく自分に近いんです。普通の家庭に育って、学校も卒業して。そんな普通の環境に育って、10代の頃になると“自分って何だろう?”とか、考えるじゃないですか。劇中で敦子がそれを抱いていたわけではないけれど、自分の本当の姿に気づいていなかったんです。

——逆に敦子じゃなく、自分だったらこうするなというシーンはありましたか。
うーん。私なら、恋人でもない男の子と別荘には行きません(笑)!そうなると話が始まらなくなっちゃうんですけどね(笑)。

——雑賀監督とのお仕事は。
私、頭で考えてしまうタイプなんですよ。それが監督は『取りあえずやってみて』というのが口癖で。『こうですか?』と聞いても『いいから取りあえずやってみて』って言うんです。はじめはそのペースについていけなかったんですが、だんだんに体で覚えないとできないこともあると納得できて。今回の仕事で取りあえずやってみようっていう癖がついたと思います。



——撮影は群馬。一ヶ月間、ペンション暮らしをしたとか。
不安でしたね(笑)。関西から上京して、今、兄と暮らしていますし、1人で1ヶ月間、離れるということはなかったんです。どうにかしてマネージャーを連れていこうとしてみたり(笑)。だけど、駐車場でみんなで星を見たりと現場は楽しかったですね。ドラマだと撮影が終わったらおつかれさまでした、で解散なんですが、皆、同じところに戻るので、音声さんのところいってお菓子とか食べたり(笑)。夜のシーンばかりなので生活は昼夜逆転してしまいましたけど。

——黒坂さんの思い出のクリスマスイヴを教えてください。
私は18歳まで家族と一緒に暮らしていたので、クリスマスは毎年家族と一緒。姉が料理上手で七面鳥を作ってくれたりしたんですよ。上京してからの2回は友達とわいわい騒ぎましたね。

——最後に。目指す女優さん、好きな女優さんを教えてください。
クレア・ディーンズ!!もう、大好きですね。私、女の子のアイドルが好きなんですよ。別にレズとかじゃないですよ(笑)。日本人ではともさかりえさん、鈴木あみさん、中山エミリさん、松たか子さん。松さんとは以前、「じんべえ」でご一緒させて頂いて、大感激でした。

執筆者

寺島まりこ