『シックス・センス』(’99)や『サイン』(’02)などの野心作で、世界中の映画ファンを驚愕させてきたM・ナイト・シャマラン監督。そして、80年代を代表する青春映画スターであり、近年はインディーズ映画を中心に高い評価を受けるベテラン俳優マット・ディロン。映画界に長年君臨してきた大物2人が、それぞれ初のテレビドラマ制作、初のテレビドラマ主演となる本作で初タッグを組む。制作発表の当初から大きな期待と注目を集めてきた超話題作が、日本を含む全世界125の国と地域で同時放送を果たす!

初のテレビシリーズの演出とプロデュースに意気込みを聞いてみた。

$red −−−「ヴィレッジ」 (2004/08/24来日)以来の来日。テレビシリーズで世界同時の公開、久しぶりの日本来日ですが、感想を。 $

誰にとってもパッピーなプロジェクトになったわけですが、全世界同時放送という壮大なプロジェクトで、キャストも世界で比較的に知られている人で作ることが出来、観客からも壮大なプロジェクトに見えたと思います。
自分は、元々アメリカだけを市場に作ったわけではないので、皆さんに共感していただける作品にしたかったです。
会社からも、次はこの国に行って欲しいと言われれば、その国に行って作品を共感してくれる人たちと会話する事も出来るので、フォックスと次から次へと私をいろんな国に送り込んでくれるので、各国の人たちといろんな共感を味わう事ができました。

  






−−−TVドラマを監督する上で、映画とは異なる制約はあると思いますが、いちばん意識された事はありますか?

今回は学びの場だったんですが、テレビの現場は自分にとって未知の世界だったんです。子供の頃から映画を見て来て育った人間なので、自分の世代の頃は30分もののコメディ作品が多く、テレビドラマは子供がみるものは少なかったと思います。今ならみるものは沢山あったと思いますが、僕たちの時代は無かったです。
フォックスさんが今回、長い尺の映画を撮ってくれという要望だったので、映画の美意識をもってドラマを作るという認識でした。結果は映画とテレビのハイブリッドのような作品になりました。

−−−ミステリー作家ブレイク・クラウチの原作との出逢いは? TVシリーズで描こうと思ったきっかけは?

オファーが来る前からテレビドラマをやってみないか?という話はありました。スタジオからもテレビシリーズの企画をやってみないか?という話が来ていたけども自分の気持ちが高まるような企画が無かったんです。それから、第一話のスクリプトが送られて来て、これだったら自分が演出しているビジョンが見えたんです。そこから原作がある事を知って核になるミステリーな部分が見えて、これはぜひやってみたいという気持ちになりました。

−−−1話を見て感じたのは、「ツイン・ピークス」的な犯罪ミステリーや「トワイライト・ゾーン」のようなサイエンスフィクションの印象を受けました。それについて意識はされましたか?

まさにその2本柱なんですが、原作の作家さんも私も、そこを拠点にして発展されていて、どちらもストーリーテリングとして提示してくれていて、「ツイン・ピークス」というと人々の薄気味悪い動きに着目しがちなんですが、おっしゃる通りミステリーなんですよ。自分が軽視していた面でした。自分は、人々の怪しい感じばかり注目していてミステリー要素を今回再認識されてくれました。

−−−マット・ディロンと初めて仕事をした訳ですが、彼との出逢い、キャスティング理由?

主人公の理想の条件があったのですが、まず映画界の人であって欲しかった、ある世代のアイコン的な存在の人、役柄的に肉体派、ドラマ性の演技の出来る人等のか条件で絞り込んでいき、「イエス」と言っくれたのが、彼だったんです。

−−−今回もチーズバーガーが登場していますが、監督は好きなんですか?

いい目をしてますね。僕の妻のようだ。ヒントを作品の中に散りばめて、それぞれを拾い集めて謎解きをするんですが、今日もホテルでチーズバーガーを食べてから仕事をしていますが、ぜひとも食べてみてください。

−−−「デビル」でもプロデューサーを兼ねていますが、テレビのプロデューサーと違いはありますか?

映画でプロデューサーを経験した事が、今回生かされました。自分が脚本を書くのではなく、他の脚本家に書かせるというプロセスを経験して、時にはクビにしたりなど、良い経験をしました。
監督業とプロデューサー業とは、ちょっと使う筋肉が違いましたね。

−−−全10話の脚本の内、プロデューサーとしてどこまで関与したのでしょうか?

監督をしたのは、パイロット版(エピソード1)だけで、ほかのエピソードで撮り残しした部分は自分が演出しました。関わった人は、すべて自分が決めて採用してます。脚本に関しては毎回改訂版が届くのですが、すべて自分が目を通しており、脚本陣に関してもひとりで書いている人もいれば、2人、3人と様々いて、自分がすべて指摘をしてながら書いてもらってます。全エピソードを1年通して、9話目はどこの位置にいてほしい等の構想も考えながら、この位置では何が起きていて欲しいとか、考察しながら関わってます。
いちばん深く関わった部分は、脚本と編集ですね。

脚本の中でいちばん優れていたのは、双子の兄弟が書いた脚本でした。それまでは、雇った脚本に満足がいかなくって、クビにしたりして新たに採用したりと試行錯誤でした。そのプロセスの中で双子の彼らに出会えました、実際には第3話を書いてもらい、あまりにも素晴らしく、続く4話も書いてもらい、5話も、6話も、9話も書いてもらい、全10話中5話を担当してもらいました。

彼らの脚本の作り方は、面白く謙虚でかつ一卵性双生児なので、パソコンの背を向き合わせてひとつのドキュメントを違う場所から書いて、少しずつ保存しながら執筆していくスタイルなんです。いわゆるひとつの脳を2人が作業しているような感覚です。

執筆者

Yasuhiro Togawa

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