『ゴールデンスランバー』『重力ピエロ』
伊坂流サスペンスコメディの決定版、映画化!

 幅広い読者から圧倒的な支持を受け続ける、日本を代表する人気作家伊坂幸太郎。そんな伊坂ワールドの決定版と言えるのが、『オー!ファーザー』。50万部を超える大ベストセラーとなった超人気小説が、いよいよ満を持してスクリーンに登場する!

主演の由紀夫を演じた岡田将生さん、由紀夫の秘密を知るクラスメイトには忽那汐里さん、4人の存在感のある父親を演じた佐野史郎さん、河原雅彦さん、宮川大輔さん、村上淳さんに撮影エピソードを聞く。








—今回手を挙げた理由は?
岡田さん:やっぱり伊坂さんの原作というのもあって、家族の血がつながっていないものでも愛があるというか、そういうのがとてもそういうのを伊坂さんの作品でやらせていただいているので、今回それがまさにこの作品に現れていて、それはぜひやりたいというのが、初めて手を上げさせていただいて、高校生ができるのかという問題もあったんですが、乗り越えて今回やらせていただきました。

—共演はいかがでしたか?
忽那さん:岡田さんと久しぶりにお会いして、お父さん方は初めてご一緒させていただいたんですが、岡田さんもすごい久しぶりだったので緊張したのですが、現場に入った時には雰囲気も出来上がっていて、楽しい、いい現場でした。
—同じ家族構成だったら?
忽那さん:女の子だったらたぶんお父さんが4人もいたらすごいかわいがってもらえそうで甘えてしまいそうですね。

岡田さん:4人分愛を感じられるというのはとても幸せだと思うし、ちょっと由紀夫がうらやましかったりしますけどね。

—父として意識されたことは?
佐野さん:大学教授ということで、難しいクイズをすらすらと答えてしまうという、実人生でクイズミリオネアで大失敗をしているので、まず台本をもらった時に、いくら役とはいえ、みのさんのあの目でにらまれたら、(それはあなた、行ってごらんなさいよ。)すごいんだから、頭の中真っ白になるんですから。僕、それ知っています、どういうことか。ツナだということは知ってますよ。シーチキンって答えたんですよ(笑)。それ現実の話だよ。ドラマのセリフじゃなくて。

岡田さん:本当にやられたんですか?それでシーチキンって答えたんですか?
佐野さん:コントじゃない。それで僕は弟に佐野家の恥、って言われて。そいういう苦〜い思い出があるものですから、クイズのシーンを読んだ時に、どんなに演じたところで説得力を持たないと。これを何とか説得力を持たせるためにはどうしたらいいだろうかと一生懸命演じるしかないですよね。そのことだけを信じて、一生懸命やりました!

村上さん:原作は未読なんですが、元ホストで女性の扱いが上手だというところが個性として描かれていたんですが、そこはあまり考えずに、母のような兄のような存在で、優しくいようと、監督とも少し話したんですが、肩の力を抜いて、現場にいて起きたことに反応しようと思っていました。

河原さん:ギャンブラーという設定だったんですが、僕一切ギャンブルをしないので…。憎んでいますから(笑)。ギャンブルをしない男ですから、俳優の役作りですよね。僕なりのギャンブラーを演じさせていただきました。ノリで。ノリ大事でしょう。友だちみたいな関係のポジションなのかなと本をいただいたときにそう読めたので、映画をご覧になった方が、僕も一生懸命役作りしたので、すごいギャンブルをする人だろうなと思われているかもしれないですけども、憎んでおりまして。今ノリではなしているから、着地点とかどうでもよくなってきて…。そういうお友達の感じを意識して演じさせていただきました。

宮川さん:僕は体育教師役だったので、お話をいただいてから、クランクインまで間があったので、やっぱり体育教師だから腹を割って、6ポケットぐらい作っていこうかなと思っていたのですが、間に合わず、ポッテポテの体でやらせていただいたんですが、役作りは失敗したかなと思うんですが。
役作り、そんなにあんまり考えていなかったです。ノリでやらせていただきました。宮川でした。

村上さん:6パックですから(爆笑)

—4人のうちで自分の理想の父親は?
岡田さん:もう、いないでしょう(笑)。みんなノリでやってるんですよ(笑)。今のは冗談で、やっぱり家庭的で村上さんが演じたアオイがいいなと思いますが、どのお父さんも素晴らしく、秀でているものが違うので、何を選ぶかだと思うんですが。

—岡田さんみたいな息子と忽那さんみたいなお嫁さんがいたら?
宮川さん:それは、いい息子ですし、いい嫁さん候補だと思いますよ。
河原さん:そのまんまじゃないですか
宮川さん:一発目ってそういうことじゃないですか
佐野さん:(岡田さんが)自分で自分の役がうらやましいって言っていたけれど、僕は実人生で息子はいないので、正直言ってうれしいですよね。あ、彼女連れてきたんだと、疑似的なそういう家族というのを思いながら演じていたというのはありましたね。実際は娘一人いるだけで、彼氏なんかいるのかなと思って日々過ごしていますけど。実際は甥っ子を息子のように感じたりすることもあるので、フィクションではありますが、うれしかったですね。

村上さん:仲良くやればいいと思いますよ。ベネチア行って、ゴンドラ乗って、いちゃいちゃすればいいと思いますよ。

=6ポケットのくだり=

河原さん:最初は僕たち男性陣だけの撮影が続いていたので、忽那さんが入った時に現場が色めき立ちましたからね。ぱっと明るくなりましたから。だから、自分たちもちゃんと女性としてみていたというか(笑)。岡田さんの、相手役というよりは、自分たちも現役感があったような。やらしい眼を抑えるのが必死でした。

=性的な…=

佐野さん:忽那さんと食卓の日があるんですけど、あの日は確かにテンションが高かったね。異常に。

—恋人の家族構成がこうだったら?
忽那さん:にぎやかでいいですよね。でもちょっと大変そうですよね。でもさみしい思いをしなくて済みそうですよね。

—監督とのお仕事は?
岡田さん:やれてよかったなと本当に思っていますし、同世代の監督とやるのが初めてだったので、お話するにも、普段だと監督と話すと緊張するんですが、藤井監督に至っては、ちゃんと普通に、気持ちよく作品の話や役の話をリラックスしてできたので、今まであまりそういう環境がなかったので、すごくまた違ったものが見えたので、またぜひ藤井監督とご一緒できたらいいなと思っています。

佐野さん:監督と俳優の関係ってあまり…僕は年齢は関係ないですね。
村上さん:僕も結構あるんですよ、20代の監督って。よくやっていたな、すごいなと。この大きな現場を。

—撮影中のエピソードを
岡田さん:常に笑顔があふれているというか、いい意味で緊張しない現場で、撮るにしても、結構長くワンカットで撮ることが多かったので、日々刺激的な毎日で、皆さんとお芝居できて、本当に楽しかったなというのがあったのと、河原さんがアドリブをすごくされるので、それが毎日楽しくなっていたというか。
村上さん:そのアドリブに対して、宮川さんがフレームの外で突っ込むんですよ。
宮川さん:突っ込みたいんですよ。河原さんのアドリブの威力がすごすぎて、本当にそれが楽しかったですね。笑いこらえるのも大変でしたし、河原さんが佐野さんをいじったりするんです。それがだんだんハマって来て。普通のことなんです。茶碗をカーンって言わしたぐらいなんですが、「カーンって言わしてるじゃん」みたいな。それが面白くなって来るんですよ。それで次のシーンでまたカーンってなったりするんですよ。
村上さん:次のカット鳴らなかったら、「鳴らさないじゃん」みたいな。でも鳴ったり鳴らなかったりはお客さんには分からないんですよ。
佐野さん:サンダルが、よくあるじゃないですか。柄本さんが下りてきて、玄関でサンダル履くときに、いちいち下見て履かないですよね。なんだっていって出たんですけど、ちゃんと履けなかったんですよ。(河原さんが)「ちゃんと履けてないじゃん」っていうんですよ。そんなことの積み重ねですよ。
河原さん:眠かったんですよ。正気を保つことで精いっぱいで、慣れてないじゃないですか。深夜にわたる撮影、朝から深夜までで。舞台は一か月稽古やるんですけども、ちょちょっと合わせたら、すぐ本番行きますとかの本番本番の連続で、疲れていたので何か喋ってないとと思って目に入ったものを全部口に出すように心掛けていました。

—現場はいかがでしたか?
忽那さん:本当に楽しそうだなと。私が最初に現場に行ったときに、ちょうど麻雀をやっていて、ちょうどお父さんが一人呼ばれてしまって、ちょっと代わりにやっておいて、という自由な感じがいいなと思いました。

—最後にメッセージを
岡田さん:本当に家族の絆というのが、血がつながっていなくても、それを超えるぐらいの愛がある、というのが一つのテーマだと思いますので、映画を観て、感じてもらえるとうれしいなと思っています。
忽那さん:高校生の由紀夫と、4人のお父さんとで娯楽とサスペンスのテーマが行き交ってすごい面白い作品になっていますので、楽しんでいただけたらなと思います。
佐野さん:家族はあるもんじゃなく、作るもんだというのはメッセージとして伝えたいというのは、優等生的な答えとしてお答えしておきますが、その向こうにはとんでもない恐ろしいストーリーが隠されているので、それを読み取っていただけると、一出演者として有難いと。暗黒と救いがともにあるホームドラマです。
村上さん:いい作品に仕上がっていると思います。是非劇場で友だち、家族、一人でもいいですが、劇場で見ていただけると嬉しいなと思います。
河原さん:メインキャストをやらせていただいた6人、こういって素敵な人が集まって、6人それぞれにポケットがあって。

宮川さん:やめてくださいよ。使われるじゃないですか。あ、使われるのか。

村上さん:僕は7つあります。

河原さん:あの、劇場でお待ちしています。

宮川さん:すごく楽しい作品になっていますし、サスペンスのところはドキドキすると思うので、本当に観ていただいた後に、5人、10人に言っていただいて、その方がまた観に行って、みたいなので拡がっていくといいなと思っています。

(グダグダ…)

宮川さん:6パックか…(とつぶやいてフレームアウト)

執筆者

Yasuhiro Togawa

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