俳優・水嶋ヒロとして、約3年振りの出演作となった映画『黒執事』のブルーレイ・DVDが6月4日に発売。本名の齋藤智裕としても、“共同プロデューサー”として映画づくりの全般に携わるなど、全てのスタッフとともにありったけの情熱を注いだ作品です。20代最後の出演作となった『黒執事』を振り返っていただきました。

$red ——映画『黒執事』のブルーレイ・DVD用のビジュアルコメンタリー収録で、改めて本編をご覧になっていましたが、お気に入りのシーンを教えてください。 $

本当にこだわってつくった作品なので、どのシーンも、どのカットも愛おしいんですけど、強いて言えばラストシーンです。「人間とは何なんだ?」に対しての問いに、(剛力彩芽さん演じる)汐璃が答えを出す——その時の汐璃の表情・言葉を受けて、(水嶋さん演じる)セバスチャンも、本編の中で初めて人間らしいリアクションを取るんです。そこにすべてを注ぐ為に芝居を組み立てていった部分もあるので、一番記憶に残っています。セバスチャンは“完全無欠の完璧執事”なんですけど、後半部分では動揺や戸惑いを隠しきれなくなる場面がいくつかあって。そこに注目してもらえると、セバスチャンというキャラクターが見えてくると思います。

$red ——大谷監督・松橋プロデューサーとの鼎(てい)談では両人の視点からお話しいただきましたが、水嶋さん自身、“俳優”と“裏方”という二つの領域から作品づくりに携わることで気付いたことはありますか? $

(映画製作には)多くの専門家達がいて。これまでも、その人たちと現場でコミュニケーションを取ることはあっても、今回のように「作品を良くするためにはどうすればいいか」と、密になって話し合うことはなかったんです。それを各分野の方々とできたのは、大きな経験だったと思います。改めて、その人たちのすごさがわかって、尊敬の気持ちも増して。そんな方たちと時に意見をぶつけ合いながら、同じ目標に向かって作品を磨き上げる一員になれたことが嬉しかったです。


——初めての経験だからこそ、苦労された点もあるかと思いますが。

僕は、専門分野を持つ方たちのようにスタッフとして何かに秀でているわけではないんですよね。そこで、自分にできることは何だろうと考えた時に“役者出身のスタッフ”だからこそ言えることがあるだろうと思いました。映像を編集する時も、役者のみなさんが使ってほしい部分が、お芝居を観ていてわかるんです。編集作業は、初号試写を観たどの役者さんにも安心してもらえるように、と思って取り組みました。

——松橋さんの提案で結果的に“共同プロデューサー”という形になったのも納得です。たとえば今後、俳優業のほかにも監督業やプロデューサー業を両立する、という道に進む可能性もあるのでしょうか。

いやぁ……全然考えたことないですね。結果的に俳優としても出演させていただきましたが、今回は裏方としてお仕事できるというのが自分の中でやりたいことだっただけで、これからどうしていくかっていうのは、もう巡り合わせでしかない気がしていて。

——その時おもしろいと思ったことをやっていく、ということを大事になさっているんですね。

そうですね。今回でそういった選択をするのは良いことだと思えたので、もうしばらくそのスタンスでいきたいと思います。

——最後に、『黒執事』のブルーレイ・DVDを手に取る方に向けてメッセージをお願いします。

本当に多くの情熱を注いできた作品です。この作品を愛していってくれたらと願っています。

<取材・文=石川裕二(石川編集工務店)>

執筆者

Yasuhiro Togawa

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