ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で上映された作品が次々公開中、または公開待機中となっている。監督・出演者のコメントと共に紹介したい。

15カ国から厳選された監督達が、アルファベット一文字から発想して26篇の「死」を描いたホラーバトル『ABC・オブ・デス』がいよいよ7/20から新宿武蔵野館にて上映される。

日本からは、
【F】(Fart/おなら)
恥辱の果ての桃源郷を描き続けるファンタジスト・井口昇監督(『片腕マシンガール』)。

【J】(Jidai−Geki/時代劇)
ハイテンション・コミックムービーの旗手・山口雄大監督(『地獄甲子園』)。

【Z】(Zetsumetsu/絶滅)
背徳の血飛沫マスター・西村喜廣監督(『東京残酷警察』)の3名が参戦!

他海外の注目作品は、
【D】(Dogfight/ドッグファイト)・アメリカ
裏の賭け闘技場でドラマティックに展開するファイターと狂暴な闘犬の死闘。
→ゆうばり国際ファンタの日本プレミア上映時に多くの人が絶賛。『デッドガール』のマルセル・サーミエント監督作品。

【E】(Exterminate/駆除)・アメリカ
虫嫌いには戦慄の害虫駆除バトル。
→『虫おんな』(ラッキー・マッキー監督)主演のアンジェラ・ベティス(『May』『ザ・ウーマン』※女優)が監督しただけあってデジャヴ感満載!

【L】(Libido/性欲)・インドネシア
変態セレブのパーティで命を賭けた射精対決に挑む男の狂乱の一夜。
→『マカブル/永遠の血族』では、永遠の時を生きる女主人のぬめりある色香が際立っていたティモ・ティヤハヤント監督作品。

【Y】 (Youngbuck/テーンエイジャー)・カナダ
こどもを狙う変態男の表情に注目!壮絶な復讐劇。
→『ホーボー・ウィズ・ショットガン』でルトガー・ハウアーの魅力とやりすぎ人体破壊描写を炸裂させたジェイソン・アイズナー監督作品。

【R】(Removed/切除)・セルビア
風格すら漂うモンスターの血と殺戮の遁走劇。
→プチョン国際ファンタ上映時は退席者続出だったトラウマ必須の『セルビアン・フィルム』スルジャン・スパソイェヴィッチ監督作品。

【X】(XXL/ダブルエックスエル)・フランス
女性には人事じゃない狂気の究極ダイエットとは?
→『フロンティア』では新天地を求めたつもりが食人一家の檻の中という“渡る世間は鬼ばかり”なサバイバルムービーを撮り上げたザヴィエ・ジャン監督作品。

鬼畜ホラー長編で気を吐いた監督達が5分の短編でも個性を際立たせているのが興味深い。
観た後にどのアルファベットのどこが良かったか/最低だったかを同行者と話さずにはいられない、トークバトル必至の『ABC・オブ・デス』をご堪能あれ!

7月20日(土)の初日は、 20:30の回 上映開始前に井口昇監督、山口雄大監督、西村喜廣監督が舞台挨拶予定。
この記事では井口監督にお話を伺えてないため、当日のトークをお楽しみに! 









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【J】(Jidai−Geki/時代劇)
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■山口雄大監督
最初に【J】を渡されて、まずJAPANが浮かんだんですよ。
世界各国から26人の監督が集まるということだったので、外国人にもわかって日本にしかない【J】=時代劇の発想につながっていきました。
その頃佐々木大介くんと飲み会で会った時に企画の話をして、僕は単に「切られて死んでゆく人の顔が変な風に見える」ってのを考えていんですけど、佐々木くんから「切腹にしたらいいんじゃないですか」って大きなアイディアが出て。「いいね!」ってことになったんです。それで自然と出演してもらうことになりました(笑)。今回は特殊な作品だったので、佐々木くんとはまた普通の芝居で一緒にやれたらと思ってます。

今回は顔だけで感情を表現しないといけないので、表現力がある人でないとできないなと。それで介錯人は僕が何度か一緒にやらせていただいて信頼している仁科貴さんにお願いしました。器用な上に仁科さんJ顔なんですね(笑)。Jの仕事もよくされてますし。顔の造りがJにはまる顔だと思ったんですけどその通りでしょう(笑)。

海外の作品では、ザヴィエ・ジャン監督の【X】(XXL/ダブルエックスエル)が起承転結がしっかりついて一番よかったですね。五分であれを描くのはかなりのものだなと思いました。他にも面白いことをやっている作品は色々ありますのでお楽しみに!

■出演:佐々木大介さん
元々山口監督の作品はみんな好きなんですけど、ゆうばりファンタで上映された『TEBANA SANKICHI : Re−mix ver』が圧倒的過ぎて超面白かったです。改めて、【J】(Jidai−Geki/時代劇)で初めて山口監督の作品に出演させて頂いたことに感激しました。作品はパワフルなんですけど、撮影時の監督の演出は淡々としていたので驚きました。
観客の皆さんに楽しんでいただけたらと思います。

■出演:仁科貴さん
『極道兵器』に出演させていただいて以来、すっかり公私混同でお供させていただいてます。今回は介錯人の役をいただいて、普段は殺られる方ばっかりなんで、これはもうシッカリ殺さなアカン!って感じですよね(笑)。

佐々木くんのカットは合成や特殊メイクがふんだんに使われますんで、同日、後でスタジオでの撮影。なのでそれぞれ絵コンテをベースに、雄大さんが口伝てで、時にはカメラを回しながら役者の直ぐ側にいて演出されました。

僕が好きなのは、今回の企画自体を皮肉った アダム・ウィンガード監督の【Q】(Quack/アヒル)。後、人間に寄ってたかって退治される悪魔の自分目線だけで描いたベン・ウィートリー監督の【U】(Unearthed/発掘)とかシンプルで良い切り口だと思いました。世界中にはこんなにも狂った監督が沢山いるんだ…ってつくづく感じますよね?国境を越えた奇人変人才人達の見本市です。

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【Z】(Zetsumetsu/絶滅)
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■西村喜廣監督
日本公開できないことを目標に相当危ない作品を作りました。
元々、放射能の話や日本人の食べ物の話をしたかったんですね。
ハーケンクロイツで遊んだのは、昔のドイツのあの感じと今のアメリカの感じが似てると思うから。
個人的に好きな作品は、マルセル・サーミエント監督の【D】(Dogfight/ドッグファイト)。絶対5千ドルで撮ってないよね(笑)。あと、ザヴィエ・ジャン監督の【X】(XXL/ダブルエックスエル)もよかったです。
ワールドカップのように「日本勝て!」と暖かい目で観ていただけたらと思います。

■出演:JESSICAさん
以前テキサスで初めて上映してゆうばりで観たのが2回目だったんですけど、自分で観ると反省ばかりです。皆さんに暖かく評価していただいたのが嬉しかったです。
アクションの経験はなくて、この作品で初めて挑戦しました。この世界に入る前は、元々ケーキ屋さんで、製菓専門学校を卒業してからパティシエを四年やったんですけど、見た目がこんな感じなんでギャップが気持ち悪いですよね(笑)。

撮影では、結構西村監督に怒られまくりました。「お前なにやってんだよ!この野郎!」の方が気が楽なんですけど、空気で自分が感じ取らないといけないような。それが分かれば分かる程大変でしたね。丁度アクション練習の二回目の時に骨折して、以前骨折したところとかぶってしまったんです。フリーでモデルもやらせて頂いているんですけど、モデルの時は完全に笑っちやいけないし、動いちやいけない。この作品の撮影は全く逆ですから、静と動の正反対なものへの切り替えをしながらプラスマイナス思考で乗り切りました(笑)。
観客の皆さんには、この【Z】(Zetsumetu/絶滅)を観た後に、お寿司とカレーを美味しく召し上がって頂ければと思います!

日本の監督の作品は海外の監督と視点が違っていて面白いとひいき目抜きに思いますが、
【D】(Dogfight/ドッグファイト)が凄かったですね。スプラッターは苦手なので、西村監督オススメの【X】(XXL/ダブルエックスエル)が一番観られませんでした(笑)。

執筆者

デューイ松田

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『ABC・オブ・デス』公式サイト
新宿武蔵野館

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