第21 回トロント映画祭観客賞受賞、第44 回シッチェス・カタロニア国際映画祭ほか世界各国の映画祭を席巻、さらにはアクション描写の完成度の高さから全米公開され、続編の製作、そしてハリウッド・リメイクが決定。世界が熱狂したインドネシア発のノンストップ・ハイテンション・アクション「ザ・レイド」。

実際の達人級の格闘家が繰り広げる、ノンストップで駆け抜ける全編102 分のまさにノンフィクションともいうべきアクション!

主演のイコ・ウワイスとヤヤン・ルヒアンに聞いてみた。





Q. 振り付けの中で大変だった、カッコいいと思うシーンは?

イコ ーーー  振り付けで一番難しかったのは、80人いたアクション演者に、1人として同じアクションをさせないようにすることで、それを作るのが難しかったです。『ザ・タイガーキッド、『ザ・レイド』の続編となる『Berandal』も同じ動きを一切使わないよう、そこにこだわりました。
『ザ・レイド』では、特に観て欲しいシーンが2つあります。1つ目は私が重症を負った仲間を抱えながら18人と戦うシーンです。もともと怪我をした仲間を守りながら動くのでさえ大変で、さらにSWATの服が本当に重いんです。ブーツ、ベルト、銃、トンファーなどフル装備はかなりきつかったから、あのシーンはぜひ観てもらいたいですね。もう1つは、私が兄のアンディと一緒にマッド・ドッグと戦うシーンです。2人が一瞬も休まずに、しかもぶつからないように動くというのは本当に複雑な振り付けなのですが、そこを息を付く間もなく演じきっています。是非観てください!

Q. 最後のアクションシーンは、2人対1人で大変だったのでは?

ヤヤン ーーー  監督はめちゃくちゃ簡単だっただろうと言いますけど(笑)、2人に絶えず集中しなければなりませんでした。他の映画などでよくあるアクションシーンでは、1人と戦っているときは1人置き去りになる、というシーンも見受けられます。でもこの映画ではそうではなく、2人を同時に相手することを意識した振り付けになっています。どっちとも常に頭の中に置いた戦いになっています。ただ、練習の時は集中力が切れてアンディが攻めてきているのに守れなくて実際殴られたり、蹴られたりということは何度もありました(笑)

イコ ーーー  2人でアクションの振り付けを作ったんです。あの3人のシーンは作っている段階で自分たちは2人しかいないので、1人は自分の役をやるのですが、もう1人は立ち位置を変えながらもう1人の役をやらねばならず、それの繰り返しはとても時間がかかりました。だから、私たちは全ての動きを互いが把握しているんです。もうひとつ、この話にはまだエピソードがあって、イコが32人の敵と立ち回るシーンがありますが、その相手の振り付けを全部ヤヤンがやったので1人で32役やったことになりますね(笑) だから、僕ら2人は全ての演者がどの動きをするのか、全てを把握しています。

Q. 影響を受けたアクション映画はありますか?

イコ ーーー  ジャッキー・チェンですね。監督にも演じる前にジャッキーの映画を観てくれと言われていたのもあるし、今は私の目標ですね。私は1度ジャッキーに会っているのですが、監督は会ったことないので悔しがっています(笑)

ヤヤン ーーー  ジャッキー・チェンですね。

Q. 世界的なヒットを受けてどう感じていますか?

イコ ーーー  『タイガーキッド』から『ザ・レイド』まで2年という間がありました。この期間にいろいろ学ぶことができたし、ギャレスも映画を作りたいという気持ちが募っていて、それが爆発した作品です。ただ、この作品で賞を獲ろうとは思っておらず、私たちとしては、インドネシアの映画業界に新しい風を吹き込むつもりでした。コメディ、ホラー、宗教的な映画がインドネシア映画のメインストリームですが、マーシャルアーツを取り入れた新しいアクション映画をインドネシアの映画界に知らしめたかった。『タイガーキッド』が公開されるとき、インドネシアの記者たちがこぞって西洋人がインドネシアで映画作るなんて、ましてやシラットに焦点を当てたものなんて、と賛否両論でした。しかしそれがムーブメントを起こしたということに誇りを持っています。監督はインドネシア人よりもインドネシアの文化に非常に詳しく、そういったところに人として惹かれました。それで『タイガーキッド』の成功があり、観衆の求めるものを出せたのが『ザ・レイド』、今度はさらなる期待を背負って『Berandal』に向けて私たちは精一杯頑張ります。

執筆者

Yasuhiro Togawa

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