ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭2012:銀カラス賞受賞、マイアミ国際映画祭2012:観客賞受賞など話題のゾンビ映画!
ゾンビを倒して金儲けをしようと計画。キャッチコピーは“愛する人、殺します”。
しかも料金はリーズナブル。
こうして、フアンのビジネスと冒険を巡るキューバ発ゾンビ・コメディーが誕生。
ぜひ、愛する人たちとお楽しみあれ。

アレハンドロ・ブルゲス監督からメッセージが到着!





『ゾンビ革命 フアン・オブ・ ザ・デッド』は、近年よく耳にするようになった“ゾンビ・コメディー”というジャンルの映画です。こういった作品が人気なのは、この2つのジャンルには“言語が重要でない”という共通点があり、相性がピッタリだからでしょう。私自身、小さい頃からゾンビ映画の信者でした(ゾンビ映画にファンはいません。いるのは信者だけ)。人生で2番目に買った映画はサム・ライミ監督の『死霊のはらわた』で、それ以来、“ゾンビ”や“死霊”と名の付くものに夢中になっていきました。

当然の流れで、私は自らの手で、自分流のゾンビ映画を作ってみてもいいのではないかと思うようになったのです。この作品のアイデアは、周囲の現実を観察していたら自然と生まれました。これがまさにキューバのリアルなのです。ある時、気が付くと私は自分に問いかけていました。“ゾンビと我々はそんなに違うものなのか?”と。それにキューバは過去50年間、常に米国との戦いに備え続けてきた国です。

それなら代わりに相手がゾンビだったらどうなるか、と考えたわけです。キューバ人は問題が起きた時、主に3つの方法で対処します。金儲けの手段にするか、慣れるまで待ってそのままやり過ごすか、海に出て島から逃げ出すか。

『ゾンビ革命 フアン・オブ・ ザ・デッド』では、国中をゾンビだらけにすることでキューバ人にとって非常に困難な状況を描き出すことができました。しかも敵であるゾンビは、年月を経て変わった我々自身の姿を投影しています。

しかし同時に、他の人とは違う生き方を選ぶ主人公も登場します。彼は立ち上がり「ここは俺の国だ。母国を愛している。だから俺はここに残って守るんだ」と叫ぶのです。もちろん、金儲けに利用しようとしたり、なにもせずやり過ごそうとして失敗した後ですがね。この作品のコンセプトは、とんでもなくお下品なコメディーを、いかにもキューバ人らしいキャラクターで、アクションと冒険満載に描くこと。

また、手に汗握るようなホラー映画でありながら、人間の本質が感じられる内容にもしました。迫力ある演出も多く取り入れましたが、実情とかけ離れすぎないことも重視しています(水に浮かぶイカダや車に乗って海へ逃げ出す人々や、バスで無理やり大使館に入ろうとする住民を、私は実際に見てきました)。

さらには私たちが日々抱いている不満や疑念、考えも垣間見えるはずです。しかし一番言いたいのは、『ゾンビ革命 フアン・オブ・ ザ・デッド』で、私が子供の頃から見たいと思ってきたゾンビ映画を実現できたということです。それと同時に、私が今まで制作した中で最も感動的な作品になりました。

執筆者

Yasuhiro Togawa

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