ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2012にて、ゆうばりチョイス:井口昇特集の1本として『ゾンビアス』が上映された。

独自のセクシャリティを巧みに作品に昇華し唯一無二の世界観を構築、海外映画祭でも熱い視線を集める井口昇監督。
前作『電人ザボーガー』では、特撮TVシリーズのリメイクで観客の枠を広げ、更なる評価を獲得した。
本作『ゾンビアス』では汚物まみれで襲ってくる日本独自のゾンビを創造、井口ワールドの裾野を広げている。

主演は中村有沙。子役として2001年から2005年にかけて『天才てれびくんワイド』『天才てれびくんMAX』で人気を博したが、芸能活動を一時休止。2009年にTVドラマ『小公女セイラ』で活動を再開し、最近では特撮バラエティ『ウルトラゾーン』(11)に出演するなど活躍の場を広げている。
井口昇監督作品へは、『楳図かずお恐怖劇場 まだらの少女』(05)以来の出演となり、前作では受身な美少女を演じたが、今回は臭気漂うゾンビを相手にライフルをぶっ放す女子高生を熱演、新たなイメージを獲得している。

ゾンビ役で登場する亜紗美は井口監督の『おいら女蛮』(06)でアクション女優として開眼。以来『片腕マシンガール』(08)『ロボゲイシャ』(09)『電人ザボーガー』(11)等、井口監督作品には欠かせない顔として活躍する側ら、『逆襲! スケ番☆ハンターズ 〜地獄の決闘〜』(10)『 爆発! スケ番☆ハンターズ 〜総括殴り込み作戦〜 』(10)『くノ一忍法帖 影ノ月』『ヘルドライバー』(11)『レイプゾンビ〜LUST OF THE DEAD〜』(12)等たくさんの作品に出演。
井口作品では、どんな過激な死に様を見せてくれるか?というファンの熱い期待に毎回全身で応えている。

菅野麻由、護あさな、優希、ザ50回転ズのダニーという新たなキャストも体を張って井口ワールドに参戦。他、岸建太朗、デモ田中、島津健太郎といった常連キャストも含め、限界ギリギリの演技が爆笑と共に感動的ですらある。
脚本は継田淳・村田青。
音楽・福田裕彦。特殊効果監督・キャラクターデザインに西村喜廣。VFXスーパーバイザー・鹿角剛司。井口ワールドを知り尽くしたスタッフたちが強力にサポートしている。

インタビューでは、中村有沙の伸び伸びした表情、中村有沙を盛り立てる井口監督と姐御・亜紗美に、井口組のアットホームな雰囲気が伝わって来た。

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■日本のゾンビは“ぼっとん便所”から!?
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——映画を拝見した時に、以前に井口さんが書かれた『恋の腹痛、見ちゃイヤ! イヤ!』の中の小説を思い出しました。

井口:お腹痛いチアガールたちのパレード、昔書いた妄想小説ね!

——あの小説と『ゾンビアス』の共通点として、羞恥を乗り越えて獲得する強さや美しさがあって、『ゾンビアス』では最後の戦いで表現されていたと思うんですけど、井口さんの嗜好の直球の企画になった訳を教えてください。

井口:ギャビットっていうCMキャスティング会社の社長の久保さんがホラーマニアで原作をお書きになっていて、人間の脳に寄生するゾンビの企画が僕のところに来たんですね。僕も本格的なゾンビ物は初めてだったんで、やるからには新しいゾンビ映画を見せていきたいと考えました。ゾンビ映画はただでさえ数が多いので、久保さんのアイディアを土台に、新しいゾンビって何だろうって考えたら、日本は湿気がある国ですよね。湿気と言えばぼっとん便所(笑)、汲み取りトイレ。子供の時、下から手が出てきたら怖いだろうなって怯えたけど、みんな同じだったよ思うんですね。有沙ちゃんもそう?

有沙:小さい頃ロケで田舎に行くと、ぼっとんトイレでした!

亜紗美:私落ちたことある!

——私もです(笑)

井口:コワイでしょー(笑)その恐怖はアジア、日本人特有のものなのでこれを世界に広めたいなーと思って。あとは寄生されるとお腹に行って、子供の頃ギョウ虫検査とかありましたけど、ギョウ虫→お腹イタイということで自然と僕の趣味に近づいていったという。あら不思議(笑)。企画と僕を水でこしたら『ゾンビアス』が残ったみたいなもんですね!(笑)

——亜紗美さんは『おいら女蛮』以来、井口さんとはあらゆる現場を経験されてますが、この企画をご覧になっていかがでしたか?

亜紗美:ようやく来たか!と(笑)。井口さんは純粋な心をお持ちの方なので(笑)おウンチとか、おならとかお腹イタイとか大好きで。子供がそういうもので無邪気に笑うのと同じなんですよ。

井口:そう!ドリフ感覚(笑)時代が追いついたか!…ついてないか(笑)

亜紗美:時代を追い越しちゃったなって思いましたね!

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■この子がこんなことを!?有沙ちゃんの意外性を出したかった
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——中村有沙さんは『まだらの少女』以来の7年ぶりの井口監督とのタッグになりますが、久しぶりに演出を受けられていかがでしたか。

有沙:いい意味で変わらず、更に癒しのオーラが出てました。

井口:演出していると自然にオネェ言葉になるんです。

有沙:よろしくねえーとか(笑)現場も楽しく進んでましたね。

——今回は過激なアクションシーンに体を張ったシーンもありましたが、堂々とされていて最高にカッコ良かったです。そこまでまかせてもいいと井口監督を信頼されたのは、どういったことからですか。

有沙:メグミ役が決まって1対1でお話をする機会があって、「私でよければ!」と言う感じでしたね。

井口:度胸がある方でふっきり方が凄いですね。有沙ちゃんは走り方がかっこいいね!

亜紗美:現場でみんなが惚れ惚れしてましたもんね。

井口:有沙ちゃんは、一見アクションしたり、運動神経がいいように見えないんですけど、ダンスやヒップホップもやっていてセンスがある。『まだらの少女』ではストレートな美少女像を作ったので、今回は敢えて一歩先。意外性を出してもらいたいと思いましたね。この子がまさかこんなことはしないだろう!という。

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■さわやかなゾンビ汗!有沙さんと亜紗美さんの出会い
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——有沙さんは亜紗美さんと始めて顔合わせをした時はいかがでしたか。

有沙:最初に出会ったのが、亜紗美さんがお尻ゾンビのアクションコーディネートの方に動きをつけてもらっていたときでした。前屈状態でお尻を前に走るんですけど、最初から速かったですね。

亜紗美:お尻ゾンビになりきってケツに目があるつもりでやりました。だって井口さんから、一応股から顔は覗いているけどメインは「お尻から出る●●」って言われたんですね。だから全身の意識をケツに集中して。

有沙:それで爽やかな汗をかいた顔で「亜紗美です!お願いします」って(笑)

——素敵なお尻の出会いだったんですね(笑)。ゾンビの亜紗美さんとの対決はいかがでしたか。

有沙:ウキウキしました!(笑)

亜紗美:対決シーンを撮ったのが撮影後半だったんですけど、合宿状態でみんな仲良くしていて、カメラが廻ってないところで女の子同士でチューとか(笑)。信頼しているから、安心してケツ任せられましたね!アリ(有沙さん)のお母さんが爆笑してくださったらしいです!

有沙:父には、普段から父相手にキックとか格闘技の真似事をやっているので「素じゃん!面白いな」って言われました(笑)。

井口:素敵なご両親だなー(笑)。

——亜紗美さんはお尻ゾンビを演じられて、アクション的に大変ではなかったですか?

井口:エキストラ軍団はいつも来てくれる方々なんですが、亜紗美さんが尻を向けたまま走るのが凄い速くて。GC処理なしであのスピード(笑)。後ろから付いていけないエキストラ軍団の悲鳴がヒーヒー聞こえましたね。

亜紗美:先頭がプロのスタントマンの方がガイドになって、それに必死で付いて行くんですけど「速い!」って言われて振り向くと、誰も付いて来ていない。スピードを押さえるほうが却ってキツかったですね。

井口:けっこういい会社の部長さんとかいらっしゃるんですけど、地位のある方なのに次の日あまりの太ももの痛さで会社を休んだらしい。

——言えないですね!お尻ゾンビで筋肉痛とは…(笑)。亜紗美さんは恐怖感はないんですか?

亜紗美:ないですね。怪我したらそのときに考えればいいや!って。井口さんの現場は楽しいのでアドレナリンが出っぱなしになるんです!(笑)

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■腐った汚いものが迫ってくるゾンビのイメージを復活させたかった
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——先ほど井口さんが仰ったようにゾンビ映画の数が多すぎて、そんなに怖いと思えなくなっているんですが、ぼっとん便所から出てくるデモ田中さんのウン・デッド、あれは本気で怖いと思いました!

亜紗美:メイキングもやらせていただいたんですが、目を背けたくなるような汚さもあり....コワイですよね(笑)

井口:最近のゾンビ映画はスタイリッシュでかっこいいゾンビになって来ているんで、原点回帰ですよ。ゾンビって腐っていて汚いものが迫ってくる、あのイメージを復活させたかったんです。ゆうばりの上映は日本で初めてなので、一般のお客さんはどう受け止めてくれるのか。ひくのか乗るのか非常に楽しみなところです(笑)

——他、島津健太郎さん、岸建太朗さん、デモ田中さんといった常連のキャストに加えて、護あさなさん、菅野麻由さん、優希さんといった方々も井口組の洗礼を受けて大活躍でしたね!

井口:護さんは初演技にして、いきなりキシケン(岸建太朗)とディープキス(笑)。口の中が3箇所くらい刃物で切ったみたいになったようなんです。どんなシャープなキスなんだろう(笑)

——キシケンさんと言えばエキセントリックなキャラクターが多いので、役の上では変に納得してしまうんですけど、 実際にお会いしたら物静かで聡明な方で。

井口:ネコ被ってるだけですよ!(笑)

——女性のキャストの皆さんは思い切りのよさが共通されていて、恥ずかしいシーンですらむしろ輝いて見えました。

井口:日本特有の話ではあるけど、日本人の嫌な面の話にはしたくなかったんです。かっこつけるじゃないですか、日本人って。心が丸裸の映画にしたかったので、都会的なものとは真逆の泥臭い映画を作りたかったんです。

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■『ゾンビアス』をやったら何でもできそう!
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——有沙さんは『ゾンビアス』の出演でオファーの質が変わってくる可能性もありますがその辺はいかがですか?

有沙:『ゾンビアス』をやったらもう何でもできますね!もっとやってやるよ!って感じです(笑)

井口:責任感じてます(笑)

亜紗美:これからフツーの仕事では物足りなくなりそうだね。それだけ!?って(笑)

——亜紗美さんは、今回ゆうばりで上映される作品のアクション指導をされてますね。主演でもありますが友松直之監督『レイプゾンビ』、山口和彦監督『ぼくのセックス』など。

亜紗美:『ゾンビアス』のアクション監督が自分の師匠・鈴村正樹さんで、師匠には「お前ごときが早いんだよ!」って言われますけど(笑)。皆さん凄くアツイ思いを持って制作されているので協力していきたいなって。

——今後もこういった形で作品に参加されますか?

亜紗美:それは程々に(笑)。アクションする方が専門ですから。

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■『モテキ』のポスターは落ち込むよね!
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——『ゾンビアス』は井口さんの嗜好がストレートに反映された作品になりましたが、今後はこれで描きつくしたということでなく更に追求されますか?

井口:映画の数だけ様々なジャンルがあるので、今までやってないジャンルに挑戦したいですね。いわゆる人間ドラマや家族ものもやってみたいですね。ストレートな恋愛ものもほとんどやったことがないので。監督名を言わなければ分からないくらいの(笑)。モテない奴が急にモテ出すとか。

——そう言えば井口さん、ツイッターで『モテキ』のポスター観る度落ち込むってツイートされてましたね。

井口:落ち込みますよ!あのポスターは良くないですよ(笑)。神輿を担ぐのが男です。重いのを我慢するのが男。神輿に乗ろうなんておこがましいですよ(笑)

——確かに『ゾンビアス』は常連の男性陣にザ50回転ズのダニーさんも加わって、輝く女性たちを下から支えている映画でしたね!

井口:耐えてこそ日本男児。そんな映画を撮りたいですね。農村の映画とか。思い付きですけど(笑)

有沙:思いつき!(笑)

——では、観たことのない井口さんの映画とまたゆうばりで出会えることを楽しみにしています!

執筆者

デューイ松田

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