「麻雀放浪記」シリーズなどの作品を生んだ無頼派作家・色川武大の短編小説「明日泣く」が原作の雰囲気そのままに実写映画化された。
メガホンを握るのは『不良番長』シリーズの内藤 誠監督。25年ぶりの映画作品ということで往年のファンを中心に話題になっている。
主演にはドラマ「QP」や来春公開の映画『逆転裁判』などの話題作へ出演が続く斎藤 工。
本作で斎藤さんは、原作者の色川自身がモデルとなっている主人公の「武」をクールかつ無頼派らしい男気ある姿勢で演じている。
今回はそんな「武」を自由奔放な言動と行動で振り回していく、JAZZピアニストのキッコ役に抜擢された汐見ゆかりさんにお話を伺った。



Q:音楽がカッコいい作品だと思いましたが汐見さんは『明日泣く』はどういった作品だと思われますか?

汐見:人間ドラマという部分では、破天荒な女とそれをどうなるんだろうと観察している男の物語だと思いますね。JAZZがカッコいい作品だなとも思いました。

Q:JAZZというジャンルは元々お好きでしたか?

汐見:元々は聴いていなかったんですが、今回JAZZを愛してやまない役柄ということで歴史なども含めて勉強しましたね。よく聴くのはHip Hop なんですが、そのルーツはJAZZからきているのでそういった意味では本当に勉強になりました。

Q:「キッコ」という人物は傷を負いつつも、夢に向かって自由に生きるという意味では表情と心情でズレがある難しい役だと思いますが、汐見さんは演じてどう感じましたか?

汐見:怒りだったり悔しさだったり、表情には出せない心情というものをピアノにぶつけて表現するシーンが結構あるんですが、そういったところで感情のコントロールは出来ていた人物だったと思います。

Q:演じていた中で印象的なシーンはありますか?

汐見:武(斎藤)が女性編集者を連れてキッコに会いに来るシーンがあるのですが、武とキッコは恋愛関係という訳ではないのに「嫉妬」の感情でピアノを弾くシーンがあるのですが、キッコの役柄を象徴しているようなシーンで、印象深いです。

Q:同じように印象に残るセリフは?

汐見:「生きたいように生きる。私は泣いたりなんかしない」というセリフは、自分自身の願望でもありますね。なかなか現実ではそうはいかないことがありますが、このセリフのように生きたいという姿勢はあるので素敵だなと思いますし、うらやましいです。

Q:共演した方々との印象はどうでしたか?

汐見:斎藤さんとは現場ではあまり話さなかったんです。役柄の関係もありましたし、あまり話す機会がなかったんですよ。
ドラマー役の武藤さん(勝手にしやがれ)とは絡みもありましたし、お話してコミュニケーションをとるようにしました。

Q:キッコという役はその境遇から幼い頃から居場所がなく、落ち着くホームもない役だと思いますが、汐見さんはご自身が落ち着ける場所や落ち着ける時がありましたらお聞かせください。

汐見:実家のある岡山に戻った時はゆっくりできますね。海外だとサイパンにもよく行くんですが、
何も無い感じが地元の感じに似ていて、言葉が通じないので逆に開放感があっていいですね。
クリスマスからお正月くらいまで過ごしたりしたこともありますね。

Q:サイパンではマリンスポーツなどを楽しむんですか?

汐見:実は…泳げないんです。浮き輪をとられたらパニックですね(笑)

Q:CMや映画・ドラマなど多方面で活躍していますが、汐見さんが影響を受けた映像作品というものはありますか?

汐見:最近では『ブラック・スワン』ですね。素晴らしい作品だと思います。
あとは『カーマ・スートラ~愛の教科書~』という作品の主人公に影響されましたね。
主人公は女性で友人が王家に嫁ぐことになるんですが、その嫁ぎ先の王様を誘惑して自分の虜にしてしまうという内容で、女性のパワーを前面に出す演技にすごいなと関心し、とても刺激になりました。

Q:今回のキッコという役は「夢」が支えでしたが、汐見さんご自身キャリアを積み重ねている中で今後の「夢」や「目標」みたいなものがありましたらお聞かせください。

汐見:役者として年齢に応じた役を演じていきたいなと思います。もう30代になりましたし、母親の役だったりもっと歳を重ねればその時々にあった役を演じていけたらいいなと思っています。

執筆者

有城裕一郎

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