『GANTZ』に出演、7月には『忍たま乱太郎』の公開も控え、『極道めし』『ハードロマンチッカー』など目紛しい活躍を見せる落合モトキくん。作品への思いや撮影の思い出、また役者仲間である柄本時生くんと賀来賢人くんとの壮大な計画!?など、盛りだくさんに語って頂きました。

$red −−−『最後のつぶやき』はショートムービーですが、演じるカワマサは親友である勇二の死や学生実業家としての成功、そこからの転落と立ち直りなど、短い中に波瀾万丈のドラマが詰まっていますね。 $

落合:歌うのは好きだし、ギターも弾くので、シナリオは自然とカワマサの気持ちになって読めました。わりと自由にお芝居させてもらったんですけど、監督はギターの弾き方にはこだわっていましたね。劇中で歌っている曲もCDをもらって練習したんですけど、歌は難しかったです。カラオケではあんなに歌えるのにいざ人前で歌ってみると……自分の声をあらためて聴くのは恥ずかしかったです(笑)。演じていて思ったのは、欲張りにはなれないということ。何かをやるためには別の何かを捨てなくちゃいけないんだなと考えさせられました。カワマサが最終的に歌を選ぶところは愛があって人間らしいなと感じましたね。


−−−死んだはずの人間が現れるという意味では一種の怪談とも言えますね。

落合:撮影中はもちろん実際に勇二役の武末君がその場にいるんですけど、自分の気持ちとしても、常にカワマサの側には勇二がいて見守ってくれているような感覚で演じていたんです。勇二がカワマサにちょっかいを出すのも、怖がらせるためではなくて、もう一度音楽をやって欲しいという思いからなんですよね。その結果、最終的にはカワマサのビジネスのキャリアも駆使して音楽にたどり着く。ラストで勇二にお花を備えるところは自分でも好きなシーンです。

−−−カワマサにとっての勇二のように、誰かに背中を押してもらった経験はありますか?

落合:親には助けられていますね。気長にやればいいんじゃない?というスタンスで見守ってくれているので、仕事も含めてのびのびと生活できている実感があります。この前『ハードロマンチッカー』(2012年公開予定)の撮影で一ヶ月ほど北九州に行っていたときに、久しぶりに親と電話で話したんです。普段は一緒に暮らしているので普通に話してはいるんですけど、電話をすることって実はあまりないですよね? そう考えるとそれだけでも気持ちが後押しされました。

−−−園子温監督や井筒和幸監督、三池崇史監督などクセのある監督との仕事が多いですが、役者としては自分が役に近づくタイプですか? それとも役を自分に引き寄せるタイプでしょうか?

落合:それに対する自覚はあまりないんです。昔は考えていたんですけど、最近は意識しすぎてもしょうがないなと思っていて、現場では役としてセリフが言えたらOKぐらいの感覚で臨むようにしています。どちらのタイプがよいかは作品にもよると思いますね。たとえば漫画原作の作品だったらキャラクターに近いほうが観ている人にとっても気持ちいいだろうし、逆にオリジナルだったらある程度は自分の好きなようにやったほうが面白くなるんじゃないかなという気もしています。

−−−最近は『ハマリマン』や『華鬼』など舞台にも挑戦されていますね。

落合:『ハマリマン』は初舞台で、お客さんの前で演技をするのが初めてだったので、すごく緊張しました。『華鬼』は殺陣がとにかく大変でしたね。ずっと映像の仕事をしてきたので舞台はこわいという意識があったんですけど、逆に舞台出身で映画の世界に来た役者さんは羨ましいとも思います。まず声がすごく通るし、頭の回転が早くて、その場の状況に合わせてどんどん臨機応変に対応していく。自分はそんなに融通がきかないし、きかせようとしてみたらしてみたでまた後悔したり……(笑)。でもまだまだ未知数の魅力があるので舞台はこれからもやっていきたいですね。

−−−子役からキャリアをスタートして大人になっても役者を続けるとは思っていましたか?

落合:気がついたら続いていた、という感じなんです。ただ、廣木隆一監督の『4TEEN』(04)に出演させてもらったとき、初めて仕事がすごく楽しいと感じられたんですよ。廣木監督との出会いは大きかったです。何でもわかっていて、でも自由にやらせてくれて……ズルいですよね(笑)。しかもカッコいいんですよ。人とのコミュニケーションが上手くて、やられちゃったなぁと思う。廣木監督とはぜひまた一緒にお仕事してみたいですね

−−−これからはどんな役をやってみたいですか?

落合:『極道めし』(11)では囚人役、『忍たま乱太郎』(11)では忍者というなかなかできない経験をしたので、逆に次が難しくなっちゃいましたね。乱太郎なんて小学6年生の役ですよ!? 超・斬新ですよね! それも含めて、一生懸命バカをやるというか、見ていて楽しい役はやっていきたいなと思っています。あとは今、役者友達の柄本時生くんと賀来賢人くんと三人芝居をやろうかと考えていて、シナリオを書いているんです。仕事としてだけではなく、自分のやりたいこともやってみようかなと。三人だけで打ち込むということ自体が面白いですし、この組み合わせは逆に仕事やプロの現場では考えつかないものかもしれないですよね。まだ書き始めたばかりなんですけど、普通に期待を裏切りたいんです。見ていてつまんないような、生意気な作品を作っちゃおうかなという気もちょっとある(笑)。今まで役者として自分から何かを発信することはなかったので、一度やってみたらどうかなという期待がありますし、やってみたら自分としても大きな励みになるんじゃないかなと思っています。

−−−では最後に、『最後のつぶやき』の見どころとメッセージをお願いします!

落合:自分としては「何かをやり遂げた!」と感じるようなことがまだそんなになくて、むしろこれからだと思うんです。自分の夢を叶えることは簡単ではないけれど、あきらめてしまったら終わりですよね。逆境にあってもそれをいい方向にもっていくのが生きる手段だと思うんです。観ている間は楽しんで、観終わってからそういうことを感じてもらえたら嬉しいですね。あとは僕のボウズ頭も貴重なので必見です!

執筆者

Yasuhiro Togawa

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=49384