『魚介類 山岡マイコ』は映画のタイトルである。
懐かしの名作『ジョーズ』(’75)の、ロバート・ショー演じるクイント船長にまつわる「人魚!」なんてギャグがあるけど、あれとも違って山岡マイコはどう見ても女子高生。女子高生の姿をした魚の女の子を巡るをちょっと不思議な爆笑コメディだ。

誰もが気になる「じゃあ服の下は一体どうなってんだ???」の疑問に応えるように、板前はマイコをさばくことを妄想して大暴走の実力行使。マイコの保護者であるOL・鴨子は彼女を守り切れるのか!?

主演は、ミスマガジン2009の佐武宇綺さん、バラエティ番組やFM大阪「MUSIC COASTER」で活躍中の高見こころさん、初代スコラグランプリの松下美保さん、元アイドリング!!!1号の加藤沙耶香さんという4人のアイドル。また、『第五回声優アワード』にて助演男優賞を受賞した岡本信彦さんの怪演も見逃せない。

メガホンを取ったのは、アイドル作品の監督として独特のセンスを発揮し、Webサイト『日刊サイゾー』に『アイドル映画専門映画監督・梶野竜太郎の【アイドル映画評】』を連載中の梶野竜太郎監督。

2009年のしたまちコメディ映画祭で【映画祭20分バージョン】が公開され大好評を博したが、今回2月26日のゆうばり国際ファンタスティック映画祭でお披露目となったのは、82分の劇場公開バージョンだ。

アイドル4人の魅力を引き出しつつ、映画マニアが思わずニヤリとするようなネタも入魂注入、海鮮丼のようなサービス精神溢れる味わいに仕上がっている。
ゆうばり映画祭にゲストで登場した梶野監督と松下美保さんにお話を伺ってみた。








■■■なぜ、女子高生が魚介類だったのか■■■

——摩訶不思議なタイトルですが、女子高生を魚にしようという発想はどこから始まったんでしょうか。

梶野:タイトルを聞いて「これ何?」って言われるようなキャッチーなモノにしようと思ったんです。というのが建前。本音は、濡れた女子高生を撮りたかった。湿ってる系(笑)。濡れた髪とかきれいなので撮りたいなぁという下世話なスタートです。

——松下さんを始め4人のアイドルが出演されていますが、梶野監督が期待された4人のポジションを教えてください。

梶野:脚本は根本だけ決まっていて、キャストが決まった後に詳細を変えて行ったんですね。マイコ(佐武宇綺)は可愛さと幼さ。美保ちゃんのユカカは、しゃきっとしてるタイプではないんですけど、キャラ的にお姉ちゃん。お姉さんではなく、お姉ちゃん。ここ、大切(笑)。コハル(加藤沙耶香)は完全な姉的要素。鴨子(高見こころ)は、それに振り回されるOL的な存在、という立ち位置を考えました。

■■■梶野監督だから撮れた松下美保の可愛らしさ■■■
——松下さんを撮るに当たってのプランを詳しく教えてください。

梶野:美保ちゃんは、はにかむ姿が一番可愛いんですよ。そこは絶対におさえながら。お姉ちゃん的なキャラクターって、しっかりしながらも女の子の可愛らしさが一番出易いというところで、美保ちゃんをこのキャラクターに選びました。
彼女とは何度か仕事をしていたので、いい所や癖も全部分かってるつもりです(笑)。こう撮れば美保ちゃんが可愛く見えるというのも熟知していますっ!(キッパリ)
フツーに美保ちゃんと初めて会った人ならこうは撮れないだろうと(笑)。

——松下さんはユカカを演じていかがでしたか。

松下:これまでは兄弟愛や家族愛がテーマになった作品が多かったんです。コメディって聞いて、初めてだし難しいだろうなって思いがありました。脚本を読むと、とにかく純粋で喜怒哀楽も全部裏表なく出して、でも鴨子には寂しい顔を絶対見せたくない。とにかく真っ直ぐな女の子だったので、余計なことを考えず素直にやれました。

——常に制服が濡れているのは寒くなかったですか。

松下:日差しが出ている時は丁度良かったんですが、翳っている日はマイコと「寒い!」「寒い!」って言いながら撮影してました(笑)。

——濡れているんですけど、いやらしくはなくさわやかなイメージでしたね。

梶野:いやらしく撮るとそっちに目が行っちゃって、お話しが変わってきちゃいますからね。

——撮影中に困ったことはありましたか。

松下:シェフの3人が個性的で面白すぎて、女の子みんな撮影現場で笑っちゃって。何回もNGを出して(笑)。一番面白かったのは美容室のシーンで。自分がいないシーンでもガマンしよう!とするのに、どうしても笑っちゃって大変でした。

梶野:美保ちゃんがいない所だけど、餅郎(吹原幸太)が舌をペロペロさせるシーンがあって、本編の尺の2倍は撮ってる。高見こころが限界で、「殺す気ですか!」って(笑)。本当の引きつった顔って演技じゃできないですから。意味なく女優イジメをやってる訳ではなくて、もうちょっと待ったらいい顔するかなって。

——お気に入りのシーンがありましたら教えてください。

松下:髪型を変えてもらって喜んでるシーンなんかは、ずっとストレートだったんで素で喜んでる部分もありました。

梶野:“美保ちゃんここ可愛くなるよな”って狙って撮ったシーン以外で、うわっこんな顔するんだ!なんて一番嬉しかったのが、最後のくだもの屋のシーンですね。(笑)フラフラーっと動くのが可愛い!ベスト・フラフラ賞(笑)。予想外の動きって結構あるよ。

松下:嬉しいですね。ホントですかー(笑)。

梶野:髪をいじってる時の「やった!」は着メロにしたいね!あの「やった!」は美保ちゃんのかすれてるんだけどすごく軽くしゃべるキーがあって、それが一番出てる時で、ベスト・ボイス賞(笑)。

——DVD購入特典にすると良さそうですね!

梶野:それは言われるまでもなく!(笑)10枚購入特典とか。

■■■海外の映画祭に出したら『シーフードガール マイコ』!?■■■
——ゆうばりファンタに参加されていかがでしたか。

梶野:映画が好きで、サラリーマン時代にゆうばり映画祭に来たんですよ。ジャッキー・チェンの『タキシード』(’03)とか、あとは、『新・空手バカ一代 格闘者』(’02、’03)を観てますね。ぼんちゃんのオールナイト・トークショーを朝まで観たり、憧れのギャスパー・ノエ監督と2ショット撮ったり(笑)それ以来で、久しぶりにやって来たんですけど、変わってないですねー。昨日なんてオールナイトに行ったんで、40分しか寝てない(笑)。めちゃくちゃ満喫しましたね。

松下:北海道は3度めで、ゆうばりに来たのは初めてです。ゆうばり映画祭ってどんなんだろうって思いながら来て、近くに来るまで雪も凄いし、ホントに人がいるのかなって思っちゃって(笑)。でも近くまで来たら看板が見えて、中に入ったら凄い熱気が伝わって来ました。

梶野:『魚介類 山岡マイコ』は今日、上映がありまして。冒頭の台詞で『殺人魚フライング・キラー』のネタが出てくるんですが、韓国の人が笑っていたのが印象的でした。ワールドワイドでイケるんだーと自信が湧きましたよ(笑)
松下:凄くウケてましたね(笑)。

——最後に劇場公開のご予定について教えてください。

梶野:今秋ですね。全国、海のあるところはどこでも(笑)というのはジョーダンですが、海外の映画祭にも挑戦はしてみたいです。『シーフードガール マイコ』っていいと思うんですよね!(笑)

執筆者

デューイ松田

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