驚異のマジック・マッシュルーム・ムービー、日本上陸!
『アバター』のSFXクリエーター、ピエール・ブファン率いるフランスのVFX工房BUFが創造した<マジックマッシュルーム3D>映像感覚で繰り広げられる、セックス、ドラック、死、そして輪廻転生…、その驚異のビジュアルは3D映画以上に脳髄を刺激する、まったく新しい映像体験として、すでに世界中の観客たちをハイパーにトリップさせている。
あてもなく日本にやってきたオスカーは定職を持たず、日々ドラッグに溺れながら、ジャンキー仲間の紹介でディーラーをして金を稼ぎ、最愛の妹リンダを日本に呼び寄せた。だが、彼女はやがて夜の街で知り合った男マリオに誘われ、ストリップ劇場のポールダンサーとして働くようになっていた。ある晩、オスカーは警察の取り締まりを受け、銃で撃たれてしまう。彼の意識はしだいに薄れ、その魂はかつてない陶酔に包まれながら肉体から離脱した。愛するリンダと離れたくないオスカーの魂は、死を受け入れることができず、欲望と犯罪が渦巻くTOKYOに翻弄される妹の姿を追って、夜の街をさまよい、浮遊するのだった…。
出演は、リンダを演じる『リミッツ・オブ・コントロール』『サイダーハウス・ルール』のパス・デ・ラ・ウエルタ、オスカーの友人ビクターを演じる、ジエーン・カンピオン監督の『BRIGHT STAR』など出演作が目白押しのイギリス注目の新人オリー・アレクサンダー、ビクターの母親を演じる元スーパーモデルで、『ブリジット・ジョーンズの日記』や『スパイダー』などに出演したサラ・ストックブリッジの他は、オスカーを演じるナサニエル・ブラウン、その友人アレックスを演じるシリル・ロイ、麻薬密売人ブルーノ役のエド・スピアーなど、多くが映画初出演。またマリオを演じる丹野雅仁は、数多くの三池崇史監督作品で助監督を務め、『イツカ波ノ彼方ニ』『ラブレター 蒼恋歌』などの監督作もある日本人演出家。
撮影はノエの『アレックス』をはじめ、『エコール』『変態村』『デス・サイト』『変態島』など、ヨーロッパの異形な作品を次々と手掛けている名手ブノワ・デビー。音響効果も『アレックス』に続きダフト・パンクのトーマ・バンガルテルが担当。VFX監督はピエール・ブファン、VFXを手掛けるのは『ファイト・クラブ』『マトリックス』『スパイダーマン3』『アーサーとミニモイの不思議な国』『スピードレーサー』、そして全世界で大ヒット中の『アバター』などを手掛けるフランスが世界に誇るCGI工房BUF、VFX監督のピエール・ブファンはその創設者でもある。
毎作、新たなる衝撃の映像新世界へと観客を誘うギャスパー・ノエ監督にインタビュー!



ーー本作は日本が舞台となっています。今年日本で行われたフランス映画祭で上映された感想は?

「日本で撮影して大変上手くいったと思っています。例えば、フランスの若い青年が短篇映画を作るという事になると、ボランティアなどでスタッフを集めて働くという事になり、職行人として映画製作に関わるようになると、家庭の事など色々な制約があって思い切りできない事があると思います。そういった意味で、大人になって映画を撮るというのは若い頃に自主映画を作るという事とは大分違う事なのです。
今回の撮影はカナダと日本で行いましたが、カナダでの撮影は非常に居心地が悪かったのです。というのも、組合がかなり力を持っていて、時間の制約がありました。
一方、日本での撮影は凄く気持ちよく撮影ができました。皆、職行人として参加してくれ、非常にモチベーションが高く、スタッフの年齢は様々でしたが青年の様な生き生きとした情熱を持っていたが事が感動的でした。
フランスに帰ったら皆が同じエネルギーで参加してくれるかなと考えると疑問に思ったりもしますし、また日本で撮影できる機会があれば喜んで飛んで行きたいです。
私の撮影のやり方は少し変わっていて、アマチュアな監督の様な方法を取っているかもしれません。
非常に感覚的で、いきなり方針を変えてしまい周りの人をびっくりさせてしまう事もあります。それは、最後の最後まで一番よいものを熟考しているからなのですが、日本のスタッフを随分驚かせたのではないかと思います。
助監督が一番びっくりさせられた人かもしれませんね。役者、撮影方法、セットに関しても、そしてキャストに関しても当日変更してしまったりもしました。決断をギリギリになって下すという感じだったので、彼はさぞかし驚いた事でしょうね(笑)
彼が言うには、”最後の決断がいつも一番よかった”という風に言ってくれるので、よかったです。」

ーー『2001年宇宙の旅』から始まって『ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう』など、あらゆる作品を超越したものを感じました。

『アレックス』では時間を遡る様に描かれていましたが、今回は魂の浮遊とい事で、テーマが更に壮大になったと思いました。この様なテーマは、どのような経緯で生まれたのでしょうか?

「私は、死後の世界というものに興味を持っており、以前から沢山それに関係した本を読んでいたのですが、魂が浮遊して現世を見下ろすといった内容の映画を作った監督はいないと思ったので映画化を試みました。その為には、非常に年月もお金もかかったのですけれどもね。」

ーー独特の世界観が描かれていますが、影響を受けたアーティストは?

「どれと言えないぐらい色々なものから影響を受けていますが、参照した資料などが私の中に取り憑いていました。映画を作る時に、ノートだったりCDだったり色々な映画の画像や、写真の抜粋を集めた資料集のようなものを作成しました。
最初のクレジットの場面は、本当に私の発明というか、私の作品と言えると思いますが、あとは色々なものから影響を受けてジワジワと醗酵するような形で作品になったのではないかと思います。
冒頭の2、3分のクレジット画面がサンダンス映画祭で上映された時に、会場で拍手が起こったのは嬉しかったです。ラストシーンでは、観客の反応が心配でしたが笑ってくれて、それも嬉しかったですね。次も真面目な映画を作らなくては(笑)」

ーー今回、何故東京が舞台でなくてはならなかったのでしょうか?撮影を終えて印象が変わった点はありますか?

「今まで私は20回以上日本を訪れているのですが、日本語が全く喋れません。では、何故学ばなかったのかというと、どこか日本ではアウトサイダー的な立場でありたいと思ったからだと思います。
毎回、日本に来る度に印象は良くなっており、今回も撮影の為に長期間滞在する事で更に印象は良くなりました。
私が住みたいと思う都市は世界で二つしかないのですが、それはパリか東京です。
最近、フランスの14、5歳の若者は、日本には是非行きたいと思っているのです。かつては、それがアメリカだったのですが、現在では日本が憧れの国になっている様ですね。特に、男性の方がその傾向が強い様です。」

ーーこの作品に登場するのは日本の外国人コミュニティーですが、あまり異国感は感じられませんでしたね

「私は、生後二ヶ月の頃にアルゼンチンからニューヨークへ移住しており、家があってないような感じなのです。その頃はアメリカ人とは見なされず、その後ブエノスアイレスに戻ったのですが、英語訛りがあった為、ヤンキーと呼ばれたりもしました。
12歳の時にフランスに移住し、そこでも生粋のフランス人ではありませんでしたし、目が覚めた所が自分の家だという感覚を持っています。」

ーードラッグを使ってトリップした時の映像と、魂が浮遊した時の映像を見て、監督は”セックス、ドラッグ、輪廻転生”というものは似たようなものであると描いている様に受け取りましたが、このテーマを何故描こうと思ったのですか

「この映画を撮りたいと思ったきっかけは、死後の世界について書いた本や、チベットの死後の本を19歳の頃に読み、”本は沢山書かれているけれども映像にはなっていない。何かできないかな”と思っていたら20年経ってしまった訳ですが、一番最初の構想としては、死後の世界を旅する映像を作ろうというものでした。
私が非常に残念に思っているのは、フランスでは私の映画を未成年が観る事ができないという事です。私は6歳の時に『2001年宇宙の旅』を観て、強い衝撃を受けました。
ですから、私もいつか子供が多感な時期に観る事のできる映画を作りたいと考えています。」

ー今回、主観撮影に徹底していたり、ワンショットにこだわっていましたが、撮影する上で苦労した点はどこですか?また、使用したカメラの機種は?

「冒頭の鏡の前のシーンは、バスルームに入るまでは本当のアパートなのですが、室内のシーンはセットを使っています。
鏡に主人公の顔が映って、手を洗うシーンがありますが、あの手はアシスタントの手で、監督が後ろでカメラを構えていて、アシスタントが手を洗っているところを撮影し、その後に向こう側にいる顔を撮影するという方法を使いました。鏡や歯ブラシなど、すべて二重に置いてあり撮影したのです。マチュー・カソヴィッツという監督が、『アサシンズ』と『憎しみ』という映画で使われた手法なのですが、それをもう少し進化させて使いました。
ロバート・ゼメキス監督の『コンタクト』にも、鏡を通過して向こう側に行ってしまうというシーンがあり、私もやってみたいと思いました。
使用しているカメラは、Super 35を使っています。オスカーが歌舞伎町のトイレで撃たれてからは、Super 16を使っています。」

執筆者

池田祐里枝

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