1988年、記念すべき一作目の公開以降、【平成】という時代と共に歩んだ『釣りバカ日誌』シリーズ。西田敏行演じるハマちゃんと、三國連太郎演じるスーさんが織りなす悲喜こもごもの人間ドラマは、映画ファンのみならず、老若男女あらゆる層の方に愛され、シリーズ認知率93%(松竹調べ・15〜69歳男女で実施)を誇る国民的大ヒットシリーズへと成長しました。
そして2010年、記念すべき20作目にして、シリーズ完結作となった『釣りバカ日誌20 ファイナル』は劇場公開されるやいなや前作を超える大ヒットを記録しました。

【平成】を代表する国民的人気シリーズが遂に完結!
ファンの皆様のご愛顧に感謝して全28枚組DVD-BOXを発売!!

主演の西田敏行演じるハマちゃんにインタビュー!

 
 




——『釣りバカ日誌』シリーズがついに完結。その感慨から、まずお聞かせください。
西田『釣りバカ日誌』は自分の役者生活として半分以上の長きにわたって出演してきたシリーズであり、そこで一番長く深く付き合ってきた男がハマちゃんこと浜崎伝助なんですよ。でも22年も一緒にいながら、不思議なことにこいつと別れたいと思ったことは一度もありませんでした。あんなに迷惑かけてばかりの男なのに(笑)。やはり彼の中に何か憎めない、愛すべきものがあるからだと思います。

—— そもそも西田さんにとって、ハマちゃんはどのような存在だったのでしょうか?
西田 僕自身、ハマちゃんは不変の存在でありたいと思いながらずっと演じてきました。ちょっとうるさいけど、いざ離れると妙に寂しくて、また会いたくなる奴(笑)。そんな奴って実は世の中に必要だと思うし、ハマちゃんを許容できる社会であれば、世の中まだまだ大丈夫だぞ、というのが自分の尺度として常にありましたね。

—— 今、シリーズ全体を振り返ると、どのような印象を抱かれるでしょう。
西田 第1作に出たとき僕は41歳で、スーさん役の三國連太郎さんは64歳。あれから歳月が流れ、ふと気がつくと僕は第1作の三國さんの年齢に近づいていました。その間、稀代の名優たる三國さんとプログラム・ピクチャーの大コメディでずっとご一緒できたということも、僕にとって本当に大きな宝でもありますね。当初はシリーズ化の予定は全くなくて、初期のころは毎回撮影が終わっては「これでサヨナラね」という風にスタッフともお別れし、改めて出演交渉を受ける。その繰り返しでしたので、毎回が新鮮でスリリングでもありました。また僕が心筋梗塞で倒れた後、復帰第1作が『釣りバカ日誌14 お遍路大パニック!』だったんです。だから役者として新たなスタートという意味でも、このシリーズは意義深いものがあるんです。

—— 共演の方々も実にユニークでした。
西田 三國さんとずっと一緒に同じ空気を吸ってこられたというのは、それだけでも幸せなことですよ。また、みち子さん役の浅田美代子さんをはじめレギュラー陣とも家族のような雰囲気が出来上がっていましたので、撮影でお会いするのが毎回楽しみでした。

—— 最終作『釣りバカ日誌20 ファイナル』の見どころなどを教えてください。
西田『ファイナル』は、しっとりした味わいやナンセンス、現代社会との関わり、そして釣りがもたらす大自然への畏怖の念など、今までのシリーズの要素が全て詰まった作品になりました。これはシリーズ5指に入る傑作、もしかしたらベスト1ではないかと思います。撮影も楽しくてね。ラストシーンの撮影では、インターネットの応募で全国からファンの方々がエキストラとして集まってきてくださったんですけど、撮影後の挨拶のとき、ハンカチを目に当てている方がいっぱいいらっしゃって、僕らもたまらず落涙しちゃいました。

—— 最後に、これからDVDをご覧になる方々に向けて、一言お願いいたします。
西田 これからも、ハマちゃんはDVDなど映像メディアの中で生き続けていく。これこそが舞台とは違う、映像文化の中にいる俳優としてとても面白いことだなと思います。でも一方で、これからは22年分が一気に網羅出来てしまうわけですから、不思議な気持ちにもなってしまいますね。今は、お茶の間でお父さんがディスクを再生し始めて、子供たちも何気なく付き合って観ていくうちに、いつしか「『釣りバカ日誌』ってこんな映画なのか!」と微笑ましく思ってくれる、みたいな光景が目に浮かぶんですよ。だから『ファイナル』のDVDも、マイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』みたいにいっぱい売れてくれると嬉しいな!(笑)
(聞き手:増當竜也)

執筆者

Yasuhiro TOGAWA

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