2005年に大ヒットした『コーラス』の製作ジャック・ペラン×クリストフ・バラティエ監督最新作で、2008年フランスで130万人動員の大ヒットを記録した、映画『幸せはシャンソニア劇場から』。

舞台は1936年フランス、パリ北部の街角のミュージックホール。経済不況や、忍び寄る戦争の影を背景に、それでも力強く生きる親子、恋人、音楽仲間たちの人情味あふれるドラマが華やかな音楽と共にドラマチックに紡がれます。
親しみやすいミュージックホールの支配人を演じるのは『コーラス』、『バティニョールおじさん』でお馴染みのジェラール・ジュニョ。本作で”歌う”大型新人女優として、たちまち注目を浴びた若干20歳のノラ・アルネゼデールにお話を伺った。



———本作の時代背景は、第二次世界大戦が忍び寄っている不安な時代です。大きな不安の中でも、人々は音楽や、娯楽を求めている姿が本作では描かれていますが、ノラ・アルネゼデールさんが好きな映画や、落ち込んだ時に聞く音楽はありますか?

ノラ・アルネゼデール「落ち込んでいる時は、ディズニーの映画ですとか、古い映画をよく観ます。何の心配もなかった子どものときに観ていた古い映画を観る傾向にありますね。あとは、ロマンティック・コメディーが大好きです。」

———ノラさんは今回の映画で、素晴らしい成功を本国で収め、今後女優として活躍されると思います。ノラさんの尊敬される女優さんはいらっしゃいますか?

ノラ・アルネゼデール「沢山います。マリオン・コティヤール、セシール・ド・フランス、オドレイ・トトゥなどですね。」

———ノラさんが出演される映画の日本公開は初めてになりますので、簡単なプロフィールを教えて下さい。また、ノラさんのご両親はフランスの方ではありませんが、ノラさんはパリ生まれですね。パリジェンヌという認識はご自身の中にありますか?

ノラ・アルネゼデール「自分の事をパリジェンヌであるとは、あまり思っていません。ただ、パリという街に対しては思い入れは大きいです。私は育ったのがパリではなく、実は南仏なんですね。父がオーストリア人、母がエジプト人で2人ともフランス人ではありません。1年間バリ島にいた時期もあるのですが、1年もいるとその土地の人になってしまいます(笑)その時はバリ人であるという意識もありました。何人である、というよりは、精神的なもので自分のアイデンティティーを決めるものだ思います。」

———ダンスや歌を習いながら幼少期を過ごしたという事ですが、デビュー前のお話を教えてください。

ノラ・アルネゼデール「歌のレッスンに関してですが、私が歌を好きであると母が知っていたので、学校では歌のレッスンやダンスを学んでいました。13歳からパリで本格的に演劇学校に入ってダンスのレッスンを受け、そこではクラシックからモダンまで、ダンスの勉強をしました。」

———演技の勉強は、演劇学校でされていたのですか?

ノラ・アルネゼデール「そうですね、ダンスのレッスンを午前中に受けて、午後はお芝居のレッスンをしていました。」 

———本作ではキャストに男性が多い中、ノラさんは紅一点で輝いていました。綺麗、綺麗と褒められるのはもう飽き飽きでしょうか?

ノラ・アルネゼデール「そんなことはないです(笑)いつ聞いても嬉しいですし、「綺麗」と言っていただける事に文句をいう事はありません。仕事で、一日中綺麗だ、美しいと言われて、辛いからこの仕事はやめたい、という事は考えられないですよ。」 

——どのような点が褒められると特に嬉しいですか?

ノラ・アルネゼデール「美しさから、優しさもかもし出しているのであれば、さらに嬉しいです。」

———撮影は家族的な雰囲気であったと思いますが、現場は楽しめましたか?

ノラ・アルネゼデール「とてもアットホームな雰囲気がありました。衣装の方も、メイクの方も、スタッフの方も、みんな一緒に友人のように付き合っていました。翌日、撮影が無い日は、みんなでジャズクラブに繰り出したりしましたね。撮影が終わった今でも、かなりのスタッフと連絡をとっています。自分が経験した撮影現場は、本当にいい雰囲気だったのだと思います。」

———映画も実際アットホームな雰囲気がありましたが、撮影に影響は出ましたか?

ノラ・アルネゼデール「やはり、現場の雰囲気が良くないといい映画はできないと思います。撮影チームがまとまっていないと、作品に出てしまうと思いますので。」

———今後どのような分野で、どんな作品に出演してみたいですか?

ノラ・アルネゼデール「答えるのは難しいですが、ウディ・アレンのコメディーには機会があれば是非出演してみたいですね。」

———20歳には見えない艶やかさ、妖艶さがありますが、美しさを維持する秘訣というのはありますか?

ノラ・アルネゼデール「メイクです(笑)特に秘訣はないですが、なるべく幸せを感じられるように毎日を過ごしています。あとは、お水を飲むことですね。」

———初来日という事ですが、日本の印象はどうですか?

ノラ・アルネゼデール「物価が想像していたより高いです(笑)」

———本作で、新人賞を受賞するなど、歌手として、女優として素晴らしいキャリアをスタートされたと思います。ノラさんにとって成功する人とそうでない人の違いは何であると思いますか?

ノラ・アルネゼデール「私はとてもラッキーであったと思います。今回、『幸せはシャンソニア劇場から』という作品でいい役をいただいた、という幸運ですね。私が本作でいただいた役であるドゥースという女性は、本当に素敵な女性でした。まだ20歳という若い女優としてこの役がもらえたのはとてもラッキーであったと思います。
2作目がどうなるか、まだわかりませんが、これからやりたいことは沢山あります。だからといって、あせる必要はなく、一瞬一瞬を大切にしていきたいです。」

執筆者

椎名優衣

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