モントリオール世界映画祭他、国内外で数々の賞を受賞した『いつか読書する日』から4年。緒方明監督待望の新作は、人気コミックを原作に、人間のひたむきさ、可笑しさ、愛しさを見事に描き出した映画『のんちゃんのり弁』である。
今回、主人公を演じるのは、映画、テレビ、CMなどで幅広く活躍する実力派女優、小西真奈美。
主題歌は、監督からのラブコールをうけスネオヘアーが担当。荒馬を乗りこなすように、人生の荒波を乗り越えて欲しいと「ロデオ」を書き下ろし、cobaの楽曲が映画全体を温かく包み込む。
下町を舞台に懸命に生きる人々の姿を描いた本作の主題歌を担当する、スネオヘアーにお話を伺った。



———いちはやく映画をご覧になったそうですが、どのようなインパクトを得て曲作りをしたのでしょうか?普段の曲作りを含めて教えてください。

スネオヘアー「この映画は、とても人間的なストーリーですよね。一人の女性が離婚されて、子どもがいて、一人で生計を立てていくことの難しさが描かれている。子どもを養っていかなきゃいけない壁の高さを乗り越えていく姿が、精神的にロックを感じたので、主題歌「ロデオ」はそれを意識した曲調にしました。普段の曲作りの場合も、映画の主題歌も一緒です。自分や周りと、感情を置き換えていきながらの作業になりますね。自立している人も、そうでないと思える人にとっても、この映画は会社だったり、人間関係などとリンクできて感情移入できるんじゃないかと思います。今回の曲作りは、人生の葛藤や難しさなど、日々誰しもが感じるテーマから、インスピレーションを受けて作りました。」

———映画『のんちゃんのり弁』の主題歌を担当されたいきさつを教えてください。

スネオヘアー「監督が僕の「ウグイス」という曲を非常に気に入ってくれたのがきっかけですね。スネオにお願いしたいと、ラブコールを頂きました(笑)緒方明監督からは実際に現場に足を運んでいただいて、アドバイスを頂きました。「後はおまかせっ」ていうタイプの監督さんは多いと思いますので、かなり珍しいタイプの方であると思います。緒方監督のリクエストは、まずリズムから頂きました。テンポのあるものがいいと聞きましたね。あとはスネオさんらしく、という事でした。一緒に音楽を作ってるという感じで、緒方監督は関わってくれました。監督自身、音楽にも詳しい方なので。」

———小西真奈美さん演じる、主人公の小巻は仕事が見つからず、とても苦労します。スネオさん自身は、音楽一本で食えない時期はありましたか? 

スネオヘアー「はい、ありましたね。」

———小巻は食べていくために、色々なアルバイトしています。スネオさんのアルバイトや仕事経験を教えてください。

スネオ・ヘアー「お金がないのでアルバイト雑誌も買えない状態でした。近所のアルバイト募集をみて、仕事をしていました。でも小巻と同じで続かないんです。近所のアルバイトを次々やめていくので、自分の住んでいる街を歩けなくなってしまったり(笑)。ある時、働いていたコンビニを辞めてしまったので、それ以来わざわざ遠くのコンビニに行かなければならなかったりしました。」 

———一番苦労された仕事は?

スネオヘアー「ガテン系ですね(笑)」

———映画と関わる仕事が多いですが、スネオさんは普段どのような映画を見ますか?

スネオ・ヘアー「知人から面白いと聞いたDVDを見たりしています。実は映画はすごく見ているんですよ。1日2本は映画をみていますね。」 

———とても映画をご覧になっていますね。観る映画を監督で選んだりしますか?

スネオヘアー「コーエン兄弟は好きです。タランティーノ監督や黒澤明監督なども大好きですね。」

———好きな映画に共通点はありますか?

スネオヘアー「最終的に決着していない映画が好きです。考えさせる部分のある映画や、答えがはっきりでないものが好みではあります。」

———スネオさんは映画監督をやってみたいと思う事はありますか?

スネオヘアー「やってみたいですね。写真は好きで、昔はよくカメラを持ち歩いていました。音楽をやっている人は、うまくいえないイメージを曲や言葉で表現するものだと思いますので、映像をやりたい人は多いと思います。」

———どんなストーリーの映画をとりたいですか?

スネオヘアー「自分の過去の痛い恋愛などですね。SFやアクション映画よりも、現実味のある映画をとってみたいです。」

———映画を見てインスピレーションを得てから、音楽になることはありますか?

スネオヘアー「映画をみるとスイッチが入ります。映画の内容から、感動を受けてスイッチが入って、音楽をやりたくなるんです。創作意欲自体がわいてきますね。」 

———主人公の小巻は、無謀ですが常に本気で、前向きに生きています。そんな強い女性の生き方をどう思いますか?

スネオ・ヘアー「一緒にいたら楽しいでしょうね。でも女性の好みでいえば、小巻だと少し強すぎますよね(笑)小西真奈美さんはとても素敵ですが。」

———お弁当はどんなものが好きですか?

スネオヘアー「ハンバーグ弁当が好きですね。ハンバーグが大好きなので(笑)ハンバーグのソースがご飯にかかっているものが好きです。」

———映画を見て何かお弁当は作りましたか?

スネオヘアー「ちぎりのり弁は作りました。のりをちぎってご飯の上にのせると、やっぱりお弁当箱の裏にのりがつかなかったです。」

———スネオさんは俳優としても今年活躍しています。アーティストとしてのお仕事と俳優のお仕事の違いは何でしょうか?

スネオヘアー「音楽は自分の中の主張のアウトプットであると思います。しかし、役者さんは自分のスキルの中で、役の解釈を中心に行っていくんじゃないかと思います。」 

———これからは、どちらのお仕事が中心になりますか?

スネオヘアー「音楽ですね。」 

———緒方明監督がこの映画のテーマの一つに「何かを得ることは、何かを失うことだ。」とおっしゃっています。スネオさんにとって、この映画のテーマは何であると思いますか?

スネオヘアー「日々、生活は連続していくものだし、何かに憤ることは誰しもあると思います。そんな暮らしの中の壁を乗り越えていく事がテーマの一つではあると思います。」

———本作をどのような方に見ていただきたいですか?

スネオヘアー「同じような形で、これから何か目標や夢にむかって頑張ろうという人にとっては、背中を押してあげられる調度いい映画だと思います。しかし、あまり葛藤だったり、悩んだりせずに暮らしている人、特に若い学生さんたちにも是非見てもらいたい映画です。」

———スネオさん自身、学生時代思い悩んだこと、努力したことはありますか?

スネオヘアー「何も悩んでいなかったんですよ。悩みがないのが悩みでしたね。当時は、時間が無限だと思っていました。」 

———時間を持て余している学生にメッセージはありますか?

スネオヘアー「自分のやりたいことを先に見つけられた人が勝ちだと思います。一つのことをやりこんだ先に、後で自分のひきだしになると思います。」

———スネオさんの成功のアドバイスを教えてください。

スネオヘアー「ひとつひとつ、その時に出来ることを精一杯やっていく事だと思います。現状を維持する、継続しつづけることの難しさもありますので。」 

執筆者

椎名優衣

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