神業的なチューンナップ、限界ギリギリのテクニック…。スピードにとりつかれた走り屋たちが命を削り、極限バトルを繰り広げる『スピードマスター』は速さを追及する者たちの死闘を描いた、日本発の本格カーアクションだ。

 かつて死闘を繰り返すも速さに虚しさを感じ、走ることを止めた流れ者、颯人。だが1人の少女との出会いによって驚異のチューンナップカーに巡り合う。その出会いは、彼を再びバトルへと呼び戻していく…。未だかつてないド迫力レースシーンを、実写と最先端技術を駆使したVFXの融合によりリアルに映像化!

監督は『ブリスター!』『最終兵器彼女』の須賀大観。出演者も中村俊介、内田朝陽、北乃きい、中山祐一朗、蒲生麻由、大友康平といった個性派キャストが集結した。

今回は、ピンクのド派手な衣装に身を包み、男勝りのドライビングテクニックでFAIRLADY Z32を運転する大道寺リオを演じた蒲生麻由さんにお話を伺った。





リオというのはかなりぶっとんだキャラクターでしたね。 

「基本はきっと自分に正直な人なんだと思うんですよ。車が好きで、走るのが好きなだけで。
 ただ、私とはかけ離れすぎてるので、最初は理解出来ない部分はありました。何でこんな格好をして、こんなメイクをしているんだろうと。でも、演じていくうちに、自分の中にもリオの要素があるなと思えるようになってきたんですよ」

そのリオの要素とは?

「車に魅了されているところですね。もちろん私はここまでスピードは出さないですけど。でも、運転すると気付けばキャラが変わってますからね。そういう意味では私の中にも走り屋の要素はあるかもしれません(笑)。
 レースのシーンを撮影したときに、スタートの瞬間、リアルにワクワクしたんですよ。これは病みつきになるだろうなと思いましたね。あとは、男の中で女ひとりでいれちゃうところなんかも。私もそういうタイプなので、すごい共感できましたね」

今、お会いしても、スクリーンと同じ人だとは思えないです。

「嬉しいですね。狙い通りです。ブーツを履くと180センチくらいあるし、まつげは二枚重ねでしたからね。北乃きいちゃんなんか私のことを外人モデルだと思ってたみたいです(笑)。
 撮影が終わった後にメイクを落としてその後に私服で『お疲れさまでした』と挨拶したら、一瞬みんな動きが止まるんですよ。あまりに人相が違うから誰だか分からなかったと言われて。そこはさみしかったです」

さみしくもあるけれど、女優さんとしては…。

「楽しい部分でもありますよね」

それはメイクさんや衣装さんの威力もありますよね。

「そうですね。最初は髪の毛もワンレングスのロングだったんですけど、かつらをかぶった状態で切ってもらったんですよ。だから世界に1個しかないかつらですし、衣装も全部、車に合わせてハンドメイドですからね」

こだわりの一品だったわけですね。ものすごくカッコいいと思ったんですが、衣装で参考にしたものはあったんですか?

「私の役は『ブレードランナー』に出てくるダリル・ハンナだと言われました」

なるほど! 着るのに抵抗はなかったですか?

「最初はコスプレ? とは思いましたね。でも嫌だとは言えないので(笑)。ただ、モデルをやっていたので、絶対に衣装に負けてたまるかというのはありました。シャツを切ってくれとか、ベルトの位置とか、いろいろと注文を出しながら、なんとか着こなしました」

脚本を読んだ時の印象は?

「かっこいい女性だと思いました。普段はクールなんですけど、車のことになると、一本ねじが飛んじゃうところがあって。リオのそういう二面性が私にはツボでした」

内田さんと共演するシーンが多かったですね。

「細かいお芝居のアイディアをいろいろと持っている方でした。いい意味で引っ張っていただいたので、ありがたかったですね」

彼も芝居のバリエーションがありますよね。

「私が絡んでいるところだけでも相当面白いと思ってましたけど、完成した作品を見たら、私と絡んでいないところも面白くて。一番好きなのが、(中村俊介さん演じる)颯人(はやと)のところにケンカを売りに行くシーンなんです。殴られたのに、立ったかと思ったらサングラスを拾うところ。あの絶妙な間が好きなんですよ(笑)」

最後にこれから映画を観る方にメッセージを。

「単純にカーアクションとしても、スピード感があると思いますし、ストーリーもしっかりしたものがあると思います。監督が色々と小技をきかせている部分がたくさんあって、観るたびに発見のある映画だと思うので、1回とは言わず、2回、3回と見てほしいですね」

執筆者

壬生 智裕

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