サム・ライミのプロデュースによるハリウッド進出第一弾となる『ゴースト・ハウス』(7月21日公開)がすでに、全米興行成績で初登場1位を記録。ダニー&オキサイドの兄弟によるパン・プラザース監督は、ハリウッドでも有名となった。
そんな彼らの日本での最新作『リサイクル−死界−』は、今年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品された。
監督の『the EYE』からのパートナーである女優、アンジェリカ・リーを主演に迎え、前作以上に映像の魅力をたっぷり作り上げている。
そんな監督に電話でインタビューを行った。

(取材協力:オフィス・エイト)







Q.今回の作品は、娯楽でもありホラーの要素をふんだんに感じられる映画に仕上がっているのですが、全編を通して環境保護というメッセージが盛り込まれているようにも受け取れたのですが、これは意図してテーマにされたのでしょうか?

A.それ(環境保護という視点)は、確かに最初に考えていました。
本作品は、娯楽的な部分とホラーとの両面を兼ね備えていますが、これまでもこれからの世界も、環境問題については人々に常々、怖い・恐ろしいという意識を持たれているために、映画という題材においてもきちんと考えないといけないと思い、ホラー作品というジャンルにおいてもあえて取り上げてみました。

Q.作品の後半部分より、とりわけ親子の愛情というエモーショナルな部分に沿う形で、フィナーレへとストーリーが展開していきますが、これは作品においてどのような役割を担うということで描かれたのでしょうか?

A. 劇中において、親子の情愛について深く触れるということについては意図して展開したものです。
それは、現代の世の中においては人と人の関係が時代と共により希薄になる傾向があると感じています。
人格を形成していく段階で人の心の痛みや辛さなど、良い面だけではなくさまざまな経験をしないと、人が感じたその時々の感情は理解しにくくまた忘れられてしまいがちだと思います。
これは、親子の関係においても同じであるので、心と心の情愛につ いては、しっかりと描かなければならないと考え、ストーリー展開として練り込むように工夫しました。

Q.本作では、廃墟のシーンなど美術面が驚くほど独創的であり、精密にその世界観が再現されていますが、このシーンを演出するにあたって、意識された芸術家もしくは映画作家はいらっしゃいますか?

A. ずばり意識しているのは、アラン・パーカーです。
彼の作品である『エンゼルハート』を観て以来、その作風の虜になりました。
彼の作品は、毎回テーマを変えながらも本質的な面白さから外れることなく、いつも新作を観るたびに感嘆させられています。

Q.同じ近隣のアジア圏にお住まいのお二人から見て、日本という国もしくは日本人においてどのようなイメージをお持ちでしょうか?

A. そうですね、日本の人はハイテクな社会に囲まれながらも、普段の生活でも時間をきちんと守るなど、誠実な気質の方が多いと感じています。
また、私自身ホラー映画を撮るにあたっては、幼少の頃に見た日本を代表する怪談話の『四ッ谷怪談』に大きく影響を受けております。

Q.パン監督の作品では、「The EYE【アイ】」や本作品など、心霊体験を扱われている作品が多いという印象があるのですが、ご自身では霊的体験をされることはありますか?

A. 正直なところ、僕たち2人では直接この目で、幽霊という存在を見たことはないんです。
ただ、何となくこの部屋の雰囲気は直感で何かおかしいな、と感じることはあります。
それは、移動先や撮影での滞在先のホテルで、誰もいない部屋にもかかわらず、背筋の方の空気がふいにひんやりと感じることなどです。

Q.今後これから、新しい作品の予定はありますか?

A.今年は、これから年末にいわゆるポリス・ストーリー、『警察物語』というタイトルの作品を撮る予定です。
れは、単純な警察を舞台にした作品ではなく、作品中にホラー映画の要素も盛り込んで、これまでにない面白みのある怖いポリス・ストーリーにするつもりです。

執筆者

Yasuhiro Togawa

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