恋愛大国イタリアから届いた『イタリア的、恋愛マニュアル』。
ちょっぴり皮肉に、でも恋する人々をまっすぐに捉えたこの作品はイタリア本国で大ヒットを記録。
また昨年日本で開催された「イタリア映画祭2006」でも上映され、たくさんの人々を魅了しました。

ピリリとスパイスの効いたこのマニュアル、
きっとあなたの恋愛だけじゃなくて人生までも少し違った角度から見せてくれます。
本作でヒロインの1人を演じた、とってもキュートなジャスミン・トリンカ。
映画の話や恋愛の話、いろいろ聞いてみました!

メイクアップ 田中里佳
ヘア・スタイリスト 石塚千絵子(シグノ)




——イタリアでも恋愛マニュアルって売られてますか?
「もちろんあるわ(笑)。でもこの映画のタイトルは、ある意味皮肉っているようなものなの。」

——読んだことはありますか?
「恋愛のマニュアル本ってたくさんあるし、どれから読み始めればいいのかわからないわ(笑)。この映画を観ればわかると思うけど、マニュアル通りに進めてみても恋愛って上手くいかないもの。自分で飛び込んでいって、ルールの無い中で生きていくしかないんじゃないかな。」

——考古学を勉強されていたそうですね。女優になったキッカケは何ですか?
「私の場合、ちょっと特殊だと思うわ。演技の勉強をしたことも、ましてやそんな学校に通ったこともなかったの。女優になる夢だって持ってなかった。初めて出演した映画のナンニ・モレティ監督が私が通っている高校に来たのがキッカケだったの。彼は俳優ではない二人の女の子を探していたわ。彼に会って、そこから全ては始まったの。」

——今、女優としての手ごたえは感じていますか?
「実は迷いはすごくあるの。それは女優というのは多くの人が憧れる職業だから。他の人の方が私よりも女優になりたがっているんじゃないかと思った時期もあったわ。でも映画に出るという経験ができたことはとても幸せだと思ってて。他の女優さんも、迷いは持っているはず。だから私も、迷いながら女優を続けていってもいいんじゃないかと今は思ってるわ。」

——カンヌ国際映画祭の「ある視点部門」の審査員に選ばれたそうですね。
「大きな責任を感じてるわ。今までにも小さな短編のコンクールの審査員をやったことがあって、その時にもすごく感じたんだけれど、審査員って他の人の仕事を評価しなくちゃいけないわけだから。自分が映画に出るようになってからは他の作品を観る時も批判的にじゃなくて、自分で理解しながら観れるようになったの。だから「ある視点」部門の審査員をやることに関しても、やっぱり責任を感じているわ。」

——シルヴィオ・ムッチーノさんと共演してみてどうでしたか?
「彼は演じることに対してとても情熱的で、大きなエネルギーを持っている人よ。私は静かなタイプなんだけど、彼からはそういうエネルギーをたくさんもらったわ。彼の方が1歳ほど若いんだけど、彼とは友達だったから共演することに不安はなかったわね。楽しみながら演じることができたし、お互いからかいあいながら演じてたの。」

——トンマーゾみたいな男性はどう思いますか?
「ちょっとしつこいかな(笑)。シルヴィオが演じるトンマーゾはすごくかわいいんだけど。この映画ではとても上手くいって、彼には女の子のファンが増えたわ。感じが良くて優しいタイプの男の子っていうイメージがついたみたい。」

——理想の恋愛ってありますか?
「理想の出会いとか理想の人ってないと思う。すごくかっこよくて優しくて性格もいいパートナーとの出会いを見つけるのは大変でしょう(笑)?恋愛って偶然の要素から始まることが多いと思うわ。相手の欠点や、失敗から恋愛が生まれることもある。偶然に任せるのが一番いいんじゃないのかな。」

——運命の人って何人いると思いますか?
「運命の人に出会うのは1回じゃないと思う。1回だったらそれはとても幸運なことだと思うけど、何度もあるかもしれない。その人の人生によると思うわ。多くの人生経験を積めば積むほど理解が深まるかもしれないし、人の愛し方もわかるようになるかもしれない。だから繰り返すことも良いと思うわ。」

——恋をしたらどういう風になりますか?
「トンマーゾみたいに脅迫観念を持つのはいけないと思うわ(笑)。恋は夢みたいじゃなくちゃ。恋人に限らず友達でもそうなんだけど、突然その人の見方が変わって別のタイプの人間みたいに見えてくることがあるの。たぶん恋愛が始まる瞬間もそういうもんじゃないかと思うわ。そうとは思ってもみなかった人が突然変わって、そこから恋愛が生まれてきたりするんじゃないかな。」

——本作はイタリア本国で大ヒットしましたが、どんなところが人々に受け入れられたんだと思いますか?
「まず人気役者が揃っていたこと。そして恋愛の本当の姿をシリアスな部分からだけじゃなく描いたということ。かっこ悪かったり、間違ったりすることもあるんだよということを見せてくれたからだと思うわ。イタリア的な恋愛観で描いた映画だと思うし、恋愛を神聖視するんじゃなくて皮肉な見方もしているからだと思う。外国でもこの映画を見て笑ってくれた人がたくさんいるって聞いたわ。外国の方にも笑ってもらえるということは、撮影中は考えていなかったことだからとても嬉しいわ!」

執筆者

Tomoko Umemoto

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