『アニマトリックス』、『鉄コン筋クリート』など、数々の話題作を生み出し続けるSTUDIO4℃の下に集結した7名の映像作家による7つの完全オリジナルストーリー『Genius Party <ジーニアス・パーティ>』。世界も注目する本作は2008年2月に米ワシントンで開催される「ジャパンフェスティバル」でのワールド・プレミアが決定。柳楽優弥と菊地凛子が声優初挑戦した「BABY BLUE」も話題の一つとなっている。

高校生の裕が自分以外の“自分”に翻弄される不条理で不思議な世界を描いた「ドアチャイム」。監督の福山庸治は、70年代から漫画家として活動し「Bbのソナタ」「夜は散歩者」「マドモワゼル・モーツアルト」などで日本のみならずヨーロッパでもカルトな人気を誇り続けるアーティストである。

「ドアチャイム」の主人公・裕の声優に抜擢された栩原楽人さんにお話を聞いた。







——アニメの声優は初挑戦なんですか?
 小学生の頃、テレビ東京「ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom」(00)というアニメにちょっとだけ出演したことがありますが、ほぼ初めてです。以前は、声優も役者の仕事と同じだと思っていたんですけど、今回のアフレコを経験して全然違うなと思いましたね。どういう風にやろうか結構悩んでいた時に、声優の関智一さんから「声優さんが欲しかったら声優さんを使うから、そこで役者の楽人を使ってくれるということは、自然な感じでいいんだよ」とアドバイスを頂き、監督からも「自然な感じで楽人のままでやればいい」とおっしゃってもらえたので、安心してやれました。

——自分以外の自分がいるという不思議なストーリーですよね。このストーリーを初めて読んだ時はどう思いましたか?
 最初に台本を読んだ時は、どうなるのか想像がつかなかったんですよ。まだ音が入っていない映像を見たんですけど、完成する時はどんどん変わるんじゃないかなと思いました。

——では、実際完成した映像を見ていかがでしたか?
 絵も音もきれいで良かったですね。すごい僕、妄想する人なんですけど、なんかこう妄想に入りやすい雰囲気だったので、見ていて世界に入っちゃいましたね。途中で飛行機が唐突に飛ぶんですけど、なぜ飛行機なんだ?から始まって、誰が入っているんだ?どんな会話をしているんだろう?下を見ているんじゃないかという風に。

——もう一人の自分がいるという経験談が実際、ネットにも多数投稿されていたりするんですが、ドッペルゲンガーや霊的な現象についてはどう思いますか?
 僕は霊感が全くなくて、昔は全然信じなかったんですけど、細木数子先生や美輪明宏さんや江原啓之さんも大好きで、言っていることがすごくて、うそくさくないんですよね。
 もし、自分の分身がいたとしたら、自分と同じ性格だったらいいですよね。きっとうるさいんだろうな(笑)。めちゃくちゃ意気投合するか、気まずくなるかどっちかだと思いますね。

——もし、『ドアチャイム』の実写版があっても栩原さんがピッタリ合うと思います。
 この絵がめちゃくちゃ僕に似てると思うんですよ。横目の含みのあるちょっとやらしい感じが(笑)。

——これからも声優を続けていきたいと思いましたか?
 この作品で僕が思ったのは、役者とアニメの中間ぐらいの仕事なのかな。アニメアニメしていないというか、役者としての栩原楽人でアフレコができたので、今度はこてこてのアニメでポケモンの声とかやりたいですね。すごいテンションの高い役とか、めちゃくちゃ声の低い役もやってみたいです。

——『Genius Party <ジーニアス・パーティ>』には同じ声優として柳楽優弥さん、菊地凛子さんも出演されていますね。
 実は、柳楽くんとは同じ学校の同じクラスなんです。学校で柳楽くんから「楽人、『Genius Party <ジーニアス・パーティ>』出てんの?」と言われてそこから始まって、柳楽は先に試写で全編通して見ていて、僕はまだその時見ていなかったので、とりあえず「『ドアチャイム』どうだった?」と聞いたら「面白いよ」と言ってくれました。

——今後、お仕事で取り組みたいことは?
 もしできたら柳楽くんと実写版をやりたいな。普段だと柳楽くんはクールな感じで、ボクはちょっと3枚目な感じで、そんな感じで一緒に仕事ができたらいいなと思います。

——お仕事以外で今興味があることは?
 最近趣味でロック系のバンドを組んで、ライブも2回やりました。曲にしても芝居にしても自分で作ることが好きで、僕、ギターとドラムとベースもいけるんですよ。曲を作る機械があって、声、ギター、ベース、ドラムを入れて、作った曲に自分で詩を書いています。いろんな曲をやりたいんで、曲調によって、きれいな曲もあれば、かっこいい系も。
 詩って面白いですね。書いていることが曲によって違うんですよ。書いている時間帯だったり時期だったり、結構深夜だとロマンチックで情熱的な詩を書いたりしますね。日記みたいですね。“このとき僕はこんなだったなあ”なんて振り返っています。

——役者の面白さはどういうところにありますか?
 色々あるんですけど、役者だったら例えばカメラの位置とセリフと動き。ギターと同じですね。この動きが美しいなと思ってやって、その考えが監督と合致すると感動しますね。

——今後の目標について
 遠い先を見るよりも、次にこれをやりたい、あれをやりたいって感じでやっているんで。今年に入ってからそろそろ声優をやりたいという話をして、この仕事を頂いてテンションが上がっている感じですね。次は作り込んだ役をやってみたいですね。今回は結構僕のまんまの雰囲気というのがあったので、今度は楽人がこんなのやるの?驚かれるようなことをやってみたいですね。10年後も俳優とアニメも含めた仕事と音楽はずっと続けていると思います。

——『ドアチャイム』のみどころ
 映像が美しいと思います。妄想しやすいので妄想族の方にはおススメだと思うし、何度も見たくなると思います。僕自身も、何度も見たいです。難しい話なので、勝手な解釈で構わないので妄想して見て頂けると面白いと思います。

執筆者

Miwako NIBE

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