80年代に一世を風靡した『スケバン刑事』が装いも新たに現代に蘇った!

 主演は松浦亜弥。我々が彼女に抱くアイドルとしてのイメージを突き破って、闘うヒロイン=麻宮サキとして、この新たな物語に彩りを添えている。そして共演は竹内力、石川梨華、窪塚俊介。テレビドラマ版に出演していた斉藤由貴、長門裕之の登場もファンには嬉しいポイントだと言える。

今回はその最新作『スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ』がDVD化になるということで、主演の松浦亜弥さんのインタビューをお届けすることにしよう。





◆麻宮サキとして自然に演技ができた

スケバン刑事と言えば、80年代の伝説のドラマですよね。麻宮サキを演じることが決まった時、周りで熱く語った人がいたんじゃないですか?

「そうですね。でも、一番熱く語ってたのは監督でしたけど(笑)」

松浦さんはリアルタイムでは知らないですよね。

「1歳とかでしたからね。再放送でちらっと見た程度でした。
 勉強した方がいいかなと思ったんですけど、監督からはゼロからだと思ってやって欲しいと言われたんですよ。当時と今とでは撮影の技術もキャストもまったく違いますからね。
 だからあえて今までの作品にも目を通しませんでした。今回は新しいものを作りたいということだったので」

松浦さんにとって、深作健太監督ってどんな人でしたか?

「不思議な人ですね。私はまだ掴めていません(笑)。
 スタッフの方々と気になるツボが違うんですよ。気になるところにとことんこだわる人ですね。もちろんそれは大事なことだと思います。
 でも、ヨーヨーとか、CG合成を踏まえた撮影だと、どうしても段取り的な撮影になってしまうんですよね。だけど監督は気持ち重視でやってくれればいいからとおっしゃっていただいたので、私自身はすごく撮影はやりやすかったですね」

具体的に監督のこだわりってどのあたりにあったんでしょうか?

「たとえばスカートの動きですね。太股からヨーヨーを出す時の、あのスカートの広がり方にものすごいこだわりがあったみたいですね。そこはすごく細かく指示がありました」

丸山昇一さんが脚本で参加しているだけあって、内容にハードボイルドな印象を受けました。脚本を読んだ時はどう思いましたか?

「友だちを思うまっすぐな気持ちとか、基本的にはまっすぐなヒーローなんですよね。ちょっと不器用なだけで。言葉が雑で、どうしても暴力に走ってしまうんですけどね。
 ただ、松浦亜弥とはあまりにも違うので、最初はどうやって演じたらいいんだろうとちょっと戸惑ったんですよ。でも制服を着て、メイクをして、現場に立ってみると、意外と演じる意識はなくなってましたね。麻宮サキとして、そこに自然にいられたような気がします」

アクションはやはりキメポーズが命だと思います。松浦さんのアクションはそのキメポーズがバッチリ決まってましたけども、カメラ写りも含めて、アクションで気を付けた部分はありますか?

「私、そういうのは得意なんですよ。目で見て覚えるというのはダンスと一緒ですからね。そこは全然難しくなかったです。ただ、やっぱり生傷は絶えなかったですけどね」

麻宮サキは目力があるキャラクターでしたが、にらみつける芝居はどうでしたか?

「スタッフさんをにらみ慣れてますからね(笑)。でも、自分で出来あがった映画を観て、こんなにきつかったんだとビックリしましたね。こんな顔もあるんだなと思って」

普段の松浦さんの印象とは違う麻宮サキというキャラについて、ファンの方の声はどうだったのでしょうか?

「サキちゃんは全然笑わないけど、逆に私はずっと笑ってますからね。私自身とは全然違いますよとファンの方や家族にも言っていたんですけど。『えー、そうでもないよ。意外とはまってたよ』とか『あれが本性でしょ』なんて言われたんですよね(笑)」

ファンの人がそう言うんですか?

「そうです。みんな結構きついんで(笑)。自然に見ていただけたみたいです。そういうところあるよねと言われたんで、どうやらあるみたいですね(笑)」





◆スケバン刑事をやることで家族が喜んでくれた

竹内力さんとの共演でしたが、どうでしたか?

「もともと、うちの家族が力さんの大ファンなんですよ。なんと言っても(ミナミの)帝王ですから(笑)。私も地元にいた頃によく観ていたんですよ。『スケバン刑事』をやるということで喜んでくれたのは家族でしたね」

いい家族孝行になったわけですね。

「ほんとうにそうですね」

ところでこの映画には初代麻宮サキの斉藤由貴さんが出演したことも話題になっています。そしてDVDには、その斉藤さんと松浦さんとの対談が収録されているわけですが、どのようなことを話したんですか?

「寒いし眠れないし、タイトなスケジュールだったということもあって、私は撮影から逃げ出したいと思ったことがあったんですよ。斉藤さんにそう言ったら、『私は逃げました』とおっしゃって(笑)。かっこいい!と思って。
 女性にはちょっと過酷な撮影現場ですからね。ほこりがすごいし、寒い。かなり大変だったので、そういうところで意見が合いましたね」

松浦さんにとって、初代のイメージはどんな感じですか?

「言葉使いが一番柔らかいのは実は初代なんですよね。二代目、三代目になると方言が強くなってきますから。口が悪いといえば、今回の四代目ですかね。男っぽいというか」

そこらへんはニューヨークから来たというのも関係あるんですかね。

「そうですね。英語は全然しゃべらずに、Fuckくらいしか言ってないんですけどね(笑)。
 撮影が終わってから初代のドラマを見たんですけど、思っていたよりも人間味のあるキャラクターをしていたんですよね。それが自然だったのかなと。もっとホワンとした部分も感じましたね」

最後になりましたが、松浦さんにとってアイドル映画とは何でしょうか?

「きれいなものですかね。すごくきれいな映像だったり、すごく可愛く写っていたりというイメージがありましたが、今回の私は傷だらけでボサボサで、すごく汚いので(笑)。私の思うアイドル映画とは違いましたけど」

 いやいや、僕が思うアイドル映画というのは、まさにこの『スケバン刑事』のような映画だと思うんですよ。

「そうですか?」

その条件として、主演の人が映画の主題歌を歌うこと。物語の中盤では一瞬イメージ映像風になって、挿入歌が流れるということ。そして往年の角川映画が特にそうでしたが、ヒロインを見守る年上の男性の存在があるということも大きな要素です。旬のアイドルを気鋭の監督がいかにして魅力的に魅せるかということに心を砕くところもそうだと言えます。

「ははは(笑)」

昔のアイドル映画には、そういう映画が多かったと思うんですよ。戦うヒロインというのもアイドル映画の1ジャンルとして欠かせないですしね。そういう意味ではこの映画はまさにアイドル映画の王道なんだと思った次第なんです。

「ははは(笑)。これを撮影したのは10代の最後の頃だったんですよ。私の10代の集大成としてこの映画を観てもらいたいですね。アイドル映画として(笑)」

執筆者

壬生智裕

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