ストーリーが心を揺らし、ダンスと音楽でアツくなる。
それが映画『ステップ・アップ』だ。

主人公は落ちこぼれ高校生、タイラー。
夢も目標もなかった彼が芸術学校でノーラに出会い、物語は動き出す…。

この映画の一つの大きな魅力は”人”。
夢を追いかけるタイラーやノーラ、周りを取り巻く人達の姿が何よりもキラキラしてるのだ。
それがどれだけ眩しくて、どれだけ大事なことなのかを思い出す。
彼らはきっとあなたの背中を押してくれる。
この映画を観れば、じっとしていられなくなるから!

そんな『ステップ・アップ』でタイラーを演じたチャニング・テイタムにお話を伺いました!






——本作に出演することになったキッカケは?
「タイラーには僕の若い頃に似たところがあったんだ。自分の人生がどっちの方向にいくのか全く見えてなかった時期が僕にもあったしね。それにダンス映画の名作になりえるような作品を作るチャンスっていうのは、すごく不安もあったけど、チャレンジが好きだから受けて立とうという気持ちになったんだ。監督のアン・フレッチャーとプロデューサーのジェニファーに会ったら一緒に仕事をしたいと思ったし。撮影中も本当に楽しくてしかたなかったよ!作るのがあんなに楽しかったから、映画がヒットするなんて想像できなかったな。」

——アメリカで公開されるなり大ヒットしましたが、それはなぜだと思いますか?
「1つの理由としては、アメリカでダンスブームがきているからだと思うよ。「YOU CAN DANCE」だとかいろんなテレビ番組もやってるし、「アメリカン・アイドル」も最初の頃はダンスを競ってたんだ。皆ダンスに意識が向いてるから、それがヒットした大きな理由じゃないかな。あとはやっぱりいい映画だから(笑)!!だからヒットしたって思いたいし、日本でもたくさんの人に観てもらいたいな。これは作り手側にいる皆がそれぞれ愛を注いで作った作品なんだ。僕も主役をやらせてもらったのは初めだし、監督もジェナもこの映画で初めてのことに挑戦したんだ。」

——チャニングさんがダンスを始めたのは?
「笑い話があるんだよ(笑)!9歳くらいの時に『ブレイクダンス』が公開されて、姉が友達と観に行く時に着いて行ったんだ。姉とは離れて座って観たんだけど、映画が終わって姉がこっちに歩いてきた時、いきなり目の前でヘッドスピンしようとしたんだ(笑)。たぶん興味を持ち始めたのはその頃かな。誰かが何かをやってるのを見たら、自分もやらずにはいられなかったよ。」

——ダンスはお互いを信頼しなければ完成しませんよね。いい関係を築く時に大事なことってなんだと思いますか?
「とにかくオープンでいることかな。相手のことを決め付けずに、お互いにありのままを受け入れることが大事だと思う。可能な限り相手に与えることができれば、相手も同じぐらい自分に返してくれるから。人っていうのは1人ではなくて、別の人間がいるからこそ反応が起きるんだ。演技もそう。もし自分1人だけでシーンを成り立たせていると思っている人がいたら、それは間違ってる。他の人がいてこそ命が吹き込まれるものなんだ。この映画ではパートナーであるジェナと信頼関係が上手く築けた。その瞬間相手がどこにいるのか信じて頼ることができた。お互いに一億%ずつ与えることが出来たから成り立ったんだ。友情を築く時も同じだと思うよ。」

——ジェナさんはどんな人ですか?共演前と後では印象は変わった?
「第一印象から、今まで会った人の中で1番オープンな人だと感じたんだ。よく俳優はエゴを持っているように思われるけど、ジェナはエゴが全くない人。一緒にいて自分が特別な存在だと認識してもらう必要性を感じている俳優がいっぱいいる中で、そういうとこが一切ない人なんだ。できるだけ人に与えようとする人で、努力を惜しまない人。だからこそ映画を作っている間、彼女に恋をしたんだ。印象はより良くなったとしか言いようがないよ(笑)。彼女は得意なことと、そうじゃないことを理解しているんだけど、それはホントに強いことだと思うんだ。そして自分自身が誰なのかを知っていて、どうすれば自分を育んでいけるのか知っているんだよ。ホントにすごい女性なんだ。」

——チャニングさんがティーンエイジャーの頃に見ていた夢はなんですか?そして今追いかけている夢は?
「高校時代は大学でアメフトをやることが夢だったよ。僕の父親もアメフトをやってたし、それが唯一の夢だった。結局、奨学金を貰って大学でプレイすることはできたから、ある程度のカタチにはなったんだ。でも思ってたものとは違って、急速に情熱を失ってしまったんだ。あの時はもうどうしていいかわからなくなったよ。フラストレーションを抱えて、自分を失ってしまったんだ。今は新たな自分を発見している最中かな。特に演技をすることは僕の夢であって、かなりの執着心も持ってるんだ。夢を叶える為に成長できるよう、モノを書いたり本を読んだりということもしてるよ。おもしろいのは、夢を見つけると自分の人生における他のものも発火していくってこと。どんどん火がついていくように、他のものへの好奇心も強くなるんだ。」

——今回演じてみて、タイラーみたいにバレエに挑戦してみたくなった?(笑)
「今はクラシックバレエに強い興味を持ってはいないけど、将来的にはわからないよ。フィナーレで一緒に踊った男性2人がいるんだけど、彼らはクラシックバレエをやってきた人たちで。彼らはその土台があるからこそ身体の動かし方に応用が利くんだと思ったんだ。2人が跳躍したり、ターンをしたりするところを見てると本当に魅了されたよ!」

——日本人のファンはどうですか?
「僕はロスみたいな大きな町で生まれ育ったわけじゃないし、どこにでもいるような普通の人間で。そんな人間がティーンのトップスターと共演することによって皆の見る目が変わるのは、すごく妙な感じがするよ。でもとても幸せなことだし、とても謙虚な気持ちにさせられるよ。日本はとても気に入ったし、また戻ってきたいな。特に文化や歴史に興味が惹かれるんだ。」

——これからどんな役を演じてみたいですか?
「タイラーに比べてもっとリアルでざらざらした役をやってみたいな。人から理解され難い人間を演じてみたいんだ。どうしてその人がそういう人になったのかというのを、映画を見れば理解できるような役がやってみたい。人っていうのは理由があってそこに至ると思う。どうしてその人がそんな行動を起こすに至ったのかということを理解できるようなストーリーに惹かれるんだ。あとは歴史が好きだから、そういう作品に出演してみたいな。」

——数あるダンスムービーの中で『ステップ・アップ』が他の作品と違うと思うところは?
「ダンスムービーって、やっぱりストーリーとダンスのバランスが取れていることが大事だと思うんだ。ダンスが多くてストーリーが失われてしまったりすることも、またその反対も起こりえる中で、『ステップ・アップ』はホントに上手くバランスが取れていると思うよ。」

——本作で挑戦したことの中で一番大きかったのは?
「ダンスかな。自分のことをプロのダンサーだとは思ってないし。カウントを取ることが苦手で、よくジェナに取ってもらってたよ。それに他の人と踊るのは大変だった。長い振り付けを覚えるのも大変で、皆に助けてもらったからなんとかやり遂げられたんだ。」

——現場の雰囲気はどうだった?
「この映画で初めてに挑戦する人が多かったからなのか、現場にいる誰にもエゴがなかったんだ。皆とにかく最善の努力を尽くそうとしてたよ。純粋な意味でのコラボレーションという感じで、皆で作っていったんだ。脚本が毎日変わっていったしね(笑)。ホントに皆仲が良くて、今でもよく集まったりしてるよ。別の作品でも関わりあってる人たちもいるんだ。1つの家族みたいで。僕達の間には特別な何かがあるんだよ。集まったらノスタルジックな気持ちになって、昔話ばかりしちゃうんだけどね(笑)!」

執筆者

Umemoto

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