人生に後ろ向きな青年・芹澤直喜。そんな彼の前に突然現れたフレンチブルドッグのペス。そんなペスがしゃべった!!しかも一見かわいいくせに声はおっさんで、それもドスの効いた関西弁。一体どうなっちゃうの!?ペスと一緒に暮らすうちに、彼の人生も動き出した・・・

不器用な主人公・芹澤直喜を演じるのは、『ばかのハコ船』や『リアリズムの宿』、『魁!!クロマティ高校 THE★MOVIE』で圧倒的な存在感を残した注目の若手個性派俳優・山本浩司。撮影中のエピソードや映画について、また俳優としてなど、いろいろ語ってくれました。







——出演に至った経緯や、演じることにした決め手は何だったんですか?
イヌが主役の映画を作るという企画がまずあって。準備稿があがってきたんですけど、そこにもうすでに“芹澤直喜役(山本浩司しか考えられない)”ってあったんです。で、イヌの声を遠藤憲一さんがされるって聞いて、その時点でツボに入ってしまって。(笑)出演を希望しました。

——脚本を読んだ時にどういう人物像を描きましたか?
印象として、すごく子供っぽくて幼稚なネガティブさのようなモノを感じたんですよ。自分にもそういう面があるので、アテガキだよなって。(笑)自分のコンプレックスに感じているモノを面白く出していければ、出せたら出した分だけ面白くなるだろうと思いました。
自分を見つめるところから始めました。見た目でどう伝えやすくできるかな、とは考えてました。

——主人公に共感できる部分はありますか?
共感できる部分は多いです。幼稚なネガティブさだとか。仕事やモチベーションに関しては違うんですけどね。例えば映画の中で彼女が怒ってることを気にしつつも、かわいこちゃんを目にしたら頭が真っ白になるだらしないとことか。(笑)どこか世間を甘く見ているところだとか。ただ違うのは、ここからなんとか成長していこうって気持ちが直喜にはないですね。ちょうど“成長しよう”ってキッカケをイヌにいただく作品だと思ってます。

——ペスの声は演技中は聞こえてるんですか?
撮影中は監督さんや助監督さんに、横でセリフを読んでもらってました。僕の中では遠藤さんがしゃべるのを想像してやってましたね。実際は想像以上にドスが効いてたんでビックリしました。(笑)

——遠藤さんはアドリブがかなりあったようですが?
そんなセリフなかったよっていうのがありましたね(笑)逆にそれがぺスのキャラクターを固めていった感じですね。

——ぺスとの共演はどんな感じでしたか?
基本的にすごくおとなしい犬でした。不思議なことに、こういうむちゃむくれの顔なんで、何をやってもキャラクターとして成立してしまうんですよ。そういう意味ではすごい役者さんでした。

——犬はお好きですか?
好きですよ。犬派か猫派か?って聞かれたら犬派です。猫よりもいい距離感を保てるところとかがいいですね。犬でも室内犬はダメなんですよ、ベタベタしなさ加減がいいですね。

——主人公は鼻が非常に敏感ですが、山本さんはニオイって気になる方ですか?
気になりますね。人のニオイとか、ゴミのニオイとか。でも、そういうニオイという点では、主人公に共感はなかったです。

——横井監督はどんな人ですか?
すごくシャイな監督さんですね。向き合って会話するというより、同じ方向を向いて会話するっていう印象があります。人と目をあんまり合わさない方で。それが僕にとっては居心地がいいというか、話しやすいですね。好きな監督さんです。撮影中は、どう犬をかわいくとるかに集中してて(笑)もう嫉妬ですよ!(笑)

——撮影中のエピソードを教えてください。
毎日いろんな役者さんが日替わりで来るんですよ。来る人来る人皆おもしろくって。まだまだおもしろい役者さんがいっぱいいるんだなって思いました。相手によってこっちのテンションが変わってきちゃって、後で見てヤバイと思いました。現場で楽しみすぎてて。1コ1コの役者さんとのやりとりが充実してました。

——最近たくさんの作品に出演されてますが、キャラクターの切り替えはできる方ですか?
一気には無理ですね。結構今まではアテガキとかイメージに近い役が多かったんで切り替えとかあんまり考えなかったんですけど、最近自分とは違ったキャラクターをやることが増えてきて、そういう場合は他の役との切り替えというよりも、キャラクターをどうやって作っていくかっていう作り方の方にすごく苦労がありますね。
今後は少しずつ引き出しを増やしていきたいですね。

——この映画のどういうところを観て欲しいですか?
やっぱり犬です。このかわいくて憎たらしい犬に振り回される人間もおもしろいんで、よかったらそっちも楽しんでもらえたら。ホントに役者さん皆おもしろいんで。じっくり攻めの態勢で味わっていただけたら、と思います。

——最後に一言お願いします。
犬好き犬嫌いに関わらず、楽しんでいただけると思います。本当は成長しないんだけど、飼い主の直樹が「そろそろ大人になってみてもいいんじゃないか」と思い始める微妙な変化も見て欲しいですね。いろんな楽しみ方ができる映画です。”あなたの犬も、こんなことを言ってるかもしれません”カミングスーン!(笑)

執筆者

Umemoto

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