世界中の人々を魅了する英国の文豪オスカー・ワイルド。彼の代表的戯曲「ウィンダミア卿夫人の扇」を原作に映画化した『理想の女(ひと)』が、絶賛公開中だ。本作は1930年のイタリア社交界に舞台を移し替え、“愛と絆”の物語が繰り広げられる。主演はスカーレット・ヨハンソンとヘレン・ハント。旬&ベテラン女優が、夫に純粋な愛を注ぐメグ・ウィンダミアと奔放な恋愛を重ねてきたアメリカ人女性アーリンという対照的な役柄で競演している。

そんな物語を彩るのが、光豊かな情景、歴史情緒あふれる建造物。撮影は、カメラマン出身であるマイク・バーカー監督たっての希望でイタリアで行われた。「映画の撮影は大変なものだけど、イタリアでならどんな苦労をしてもいい」と話すほどこよなく愛する土地の圧倒的な美しさがストーリーにリアリティと深みを与えている。

$ORANGERED 9月10日(土)よりシネスイッチ銀座他にて絶賛上映中!!$




——原作は英国の文豪オスカー・ワイルドの戯曲です。なぜロンドンで撮影をしなかったのでしょう?
原作では二つの屋内が舞台となっていました。それを脚色したのですが、ロンドンは外にでると灰色のイメージが強いんです。このお話にはもっと光をあふれさせて、広がりがほしいと思っていたからですね。

——ヘレン・ハントが企画初期の段階から参加していたとか。彼女から影響を受けた部分は?
彼女はとても賢い人です。最初彼女が参加したときは全然違う脚本でした。今思えばかなり薄い感じのものでしたね。それから6ヶ月、色々な話をして、どうやって役作りをしていこうか、肉付けをしていきました。これはとても大きな役割で、最初から彼女は作品に立ち向かってくれたといえます。

——スカーレット・ヨハンソン、ヘレン・ハントの関係が見どころです。現場での二人は?
本当の所をいいますと、二人が同時に出ているシーンがあまりないので、一緒だったのは3日4日しかなかったんです。これだけの大きさの映画では珍しいのですが。演技のことでいうと、ヘレンはしっかり準備をする用意周到なタイプ。何度も同じ演技を繰り返せるんです。一方のスカーレットは現場にあるものを吸収して、相手によって変わったり、もっと動きのあるタイプ。二人ともまったく違うんです。もっと長い撮影をして、二人がどんな化学反応を示すか見たかったですね。

——映像が絵画のようでした。何か撮るコツが?
実はドキュメンタリーを撮っていて、その前にカメラマンをやっていました。なので僕はビジュアルが大切だと思うタイプです。セットはひとつかふたつで、他は実際にあるものを使ってる。今回はコスチュームや衣装で時代を、広い風景を写すことでスケール感を表してる。壁にいろんな絵が飾ってあったりしますが、それはその家にもともとあるもの。ベッドルームのシーンも、本物のお城の部屋を使っています。すごく素敵なところで僕もその場から動きたくないと思いました(笑)。

——そんなお城を探すのは大変だったのでは?
いえ、ローマの郊外にはそういったお城は珍しくないので。壁も300年前のものとか、落書きとかも200年前のとかもあるんです。たとえば、1936年に家主が亡くなって、誰も動かさないでくれという遺書を残したお城もあって。当時配達された新聞でさえそのまま。そういう素晴らしいものがある町なので探すのは苦労しなかったですね。おじいさんになったらあそこに住みたいなと思います。

——キーアイテムとなる扇も本物とか。
 そうです。最初は誰かに作ってもらおうと思って、今の職人さんに10本ほど頼んだんですがアンティークに勝るものはありませんでした。でも、船の中で扇を広げて置くシーンがあったんですが、役者さんが間違えてその上に座っちゃったんです(笑)。それでバラバラになってしまって。それを時間をかけて直して…。1本しかないので大変でした。

——アンティークってとても高価ですよね。ちなみにその扇の値段は…?
監督だからお金のことは聞かないんです(笑)。でもローマで見かけたアンティークでは、何千ドルもするもの、500万ドル以上するものもあります。撮影後、その扇はプロデューサーの1人がアメリかに持って帰りました。保存をするという理由でね。

——今後挑みたいテーマは?
次回作はスリラーものをやる予定です。不倫の話なんですが、テーマは本作と同じで「愛」と「人間」です。

——では最後に、監督にとって“理想の女”は?
うーん難しい質問ですね(笑)。今までつきあってきた女性は料理がうまくなかったので、笑わせてくれること、自分のやっていることにも興味を持って、周りの人にも興味を持てる人かな。あれ、あんまり良い答えじゃないですね(笑)。もちろん妻は“理想の女”ですが、料理があまり上手ではないんです(笑)。

執筆者

yamamoto

関連記事&リンク

公式サイト
作品紹介