『ビューティフル・デイズ』はここ10年で最高の初恋映画である。劇中で描かれるのは17歳のときめきと胸の痛み、仲間と彼の間で揺れ動く心。気恥ずかしいけど琴線にビンビンと触れてしまう。どこの国でも初恋って同じなんだなぁとしみじみ感じてしまった。そう、本作は今までほとんど知ることのできなかったインドネシア産の青春映画である。「愛に対する考え方はアジア人は共通だと思います」、ヒロインの相手役を務めたニコラス・サプトラは言う。ドイツとインドネシアのハーフという彼は韓流アイドルを黙らす、正真正銘の美少年である。さて、インドネシアといえばスマトラ沖の津波災害がいまだ懸念されているが、本作は救済チャリティに参加。ニコラス自身、地元で義援金や衣料品を寄付したり、イベントなども開催したという。作品のキャッチコピーではないが、がんばれ、愛。そして、がんばれ、インドネシア!!

※『ビューティフル・デイズ』は3月5日、恵比寿ガーデンシネマほか全国順次ロードショー!!





——本作で俳優デビュー。ヒロイン・チンタの初恋の相手ランガを演じていますが、出演のきっかけは?
「オーディションをやってるから受けてみれば?」って知り合いに勧められたのがきっかけです。オーディションでは実際のシナリオを読んだり、幾つかのテストがあって、とにかく長く掛かった記憶がありますね。3ヶ月くらい掛かったかな。

——初めての演技経験で大役への抜擢。プレッシャーは?
殆ど全てのシーンで大変だなとは感じましたよ。でも、監督やプロデューサーは何度も励ましてくれましたし、共演者とも楽しくやれました。演技することは難しかったけれど、同じようにその面白さを教えてもくれましたね。

——ランガは内省的な少年ですが、役柄との共通点は?
本を読むのが好きなくらい。あとは全然違います(笑)。僕はどちらかというと仲間とワイワイ騒ぐのが好きなタイプなので。

——女性の好みも違う?
決まったタイプっていうのは特にないんですけど、賢くて綺麗で明るい子には惹かれますけどね。

——チンタみたいな子はどう?
うーん、ちょっと違うかな(笑)。

——そうですか(笑)。ニコラスさんの初恋はいつ?
……(苦笑)。えー、と、15歳か16歳か、高校の頃でしたね。相手は同級生で一年くらいはつきあってたかな。

——本作はアジア各国で絶賛されました。他国に受け入れられた理由を?
愛に関する映画だからじゃないかな。アジア全般に愛の考え方は近いように思います。でも、ヨーロッパやアメリカではどうなのかな、それが気になるところですけど。というのも、プロデューサーがカンヌやロッテルダム映画祭などに出品しようと頑張っているところなんですよ。

——ニコラスさんは父親がドイツ人だとか。やっぱり、ヨーロッパへは意識が向く?
 映画に関してはそんなにないですけどね。個人的にはハリウッド映画はあまり好きじゃない。南米や欧州のインディーズ系だったり、規模の小さめの作品の方が好きです。なかでも大好きなのはロベルト・ベニーニの『ライフ・イズ・ビューティフル』。どちらにしても映画はよく観ます。

——日本映画は?
 観ます、観ます(笑)。『呪怨』とか『リング』とかのホラー映画が多いけど。あとは『ハッシュ!』って映画も記憶に残っています。

——さて、本作の後は立て続けに2本の映画に出演したそうで。どんな作品か教えてください。
 1本が『ジョニーの約束』というアクションコメディでもう一本が『ギー』という作品。日本の方には余り知られてないと思いますが、ギーというのは60年代にインドネシアで活躍した革命家です。同作では彼自身に扮しています。

執筆者

寺島万里子

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