愛しいという気持ちが、心の奥から湧きあがる。どうしようもないほどに惹かれ合い、運命の恋と感じる。そんな経験、あなたにもありませんか?
 本作『きみに読む物語』は、材木工場で働く青年ノアと良家の子女アリーの、まさに理想を絵に描いたようなドラマティックで美しい恋物語を初老の男性が女性に話し聞かせるストーリー。「なんとなくベタな展開の予感…」と思わないでください。やはり観る人は皆、溢れる涙を止められないのです。きっとそれは、人を愛するという憧れと幸せを、心が忘れていないからなのではないでしょうか。
「愛を誠実に正直に描きたかった。」と語るのは、ひたむきに一人の女性を愛し続けた青年ノアを熱演したライアン・ゴズリング。お茶目で明るく、とても親しみやすい笑顔を見せてくれる彼の演技に、全米中が涙しました。そして日本でも、ひとつの奇蹟の物語がいよいよ語られることとなります。

$red ☆2月5日より、丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系にてロードショー! $





——脚本を読んだ時の感想は?原作は読まれましたか?
「原作も読んだけれど、脚本の方を先に読んだんだ。とても感動したよ。でも、自分がやるような役ではないと思っていたね。」
——それはどうして?
「だって、こんな顔だからさ(笑)。ロマンティックな役を演じる柄じゃないと思ったんだ。」(と、いたずらっぽい笑顔で自分の顔を指差すライアン。)
——ニック・カサヴェテス監督との仕事はいかがでしたか?
「ニックはジョン(ニックの父:ジョン・カサヴェテス監督)とはもちろん違う監督なんだけれど、映画作りに対する情熱が似ていると思った。“今日の分を撮り終わったから解散”というふうにはならなくて、皆で集って「今日はどうだったか」「明日はどう撮ろうか」という話し合いがずっと続く。映画を撮っている間は、それが自分たちの生活になってしまうんだ。濃密な時間を味わうことができるよ。」
——観覧車のシーンは、どんなふうに撮影したのですか?
「ああ、あれね(笑)。実はグリーンバックもブルーバックも使っていないんだ。安全用のハーネスを付けて、フォークリフトで上まで連れていかれて、高いところに何時間もぶら下がってたよ。このシーンは最後に撮ったんだけど、もし何かあった時のために敢えてそうしたということを僕は知っているよ(笑)。」
——前半の10代の頃と、後半の戦争から帰ってきた頃のキャラクターの演じ分けは、どのように?
「時間経過をいかに見せるかということは、監督と話し合った時に最初にあがったトピックの一つ。お互いにまず合致したのが、戦争前後で肉体的な変化がなければいけないということ。体重を9㎏ほど増やして戦争後のシーンの撮影に臨み、ジーナたちの撮影が行われている間に痩せて、10代のシーンを撮ったんだよ。」
——アリー役レイチェル・マクアダムスとの息がぴったりでしたね。
「彼女なくしてこの映画は作れなかった。イメージ通りの女優でないと撮れない、今までに「I LOVE YOU」と言ったことのない俳優二人を起用したい、という二つの気持ちが監督にあってオーディションで探しまくったけれど、なかなか見つからなくて。彼女が受けに来る寸前まで「これじゃもう撮れないね」と監督と言っていたんだ。でも彼女と会ってセリフを読み始めてもらった途端、「彼女しかいない!」とピンときたんだよ。」
——この映画のような、永続性のある愛を信じます?
「現時点では、僕自身のノートブックはかなり空白が多い状態(笑)。とはいえ、愛は信じているよ。ある意味で、映画とは愛についてのものしか作ることは出来ないんじゃないか。映画を作るに値するのは、愛について、または愛を求める心についてだけなのではないか。そういう思いがある。ノアとアリーのような恋をしたという人たちの話を、この映画を撮り終えた後にたくさん聞いたんだ。全ての人にこのようなことが起こるわけではないけれど、起こる可能性はあると改めて確信した。シニカルであることからは何も生まれない。ロマンティックであることは重要。物事を心で感じて、それに関して恥ずかしがったりしないことが大切なんだ。」

執筆者

村松美和

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