5人の監督による銃弾の饗宴!本誌でも撮影現場を含め紹介してきたガン・アクション・オムニバス『KILLERS』が、いよいよ2004年3月26日にDVDリリースが決定した。ガン・アクション競作と言いながらも、それぞれ銃への思い入れが強い5人の拘りゆえ、実に個性的でバラエティに富んだオムニバスに仕上がった本作。DVDはそんな5人の思い入れをタップリと堪能できる特典がバッチリ収録されるので、劇場で観た方も、初めて作品に触れる方にも決して見逃せない仕様に仕上がる模様だ。そんな嬉しい特典の一つが、DVDには欠かせないオーディオ・コメンタリーだ。それもなんと、2本収録の豪華版!
 コメンタリーのうち1本は、従来のDVDでも最早常識の各作品について監督御本人が語るもの。これはこれで、自作への熱い想いが聞けそうで楽しみだが、もう1本が前代未聞で、通称“吊るし上げコメンタリー”!?。実はこちらは、作品を撮った監督本人はスタジオの外で待機状態で、当事者以外の4監督がその作品について教育的指導…いや熱く語るという欠席裁判方式なのだ。
 12月8日、都内スタジオに5監督が集合し、各作品2回づつのコメンタリー収録が行われたが、収録スケジュールは大幅に超過!なんでも、吊るし上げコメンタリーの方がヤバネタ?と爆笑の渦で、収録が終わっても直ぐに次の収録に移れなかったからだとか。その内容がなんとも、気になるではないか。収録を終えて、取材陣の前に現れた5監督。かなり酷いことを言われた人もあったようだが、それは拘りのガンアクションを限られた条件で撮るという闘いをしてきたもの同士。それぞれの表情は実に明るく、楽しげだった。

$navy ☆DVD『KILLERS』は東宝ビデオより、2004年3月26日より発売(税抜4800)。DVD特典として、メイキング映像、ロマンシング・プランツPV、予告編集、そして2週類のコメンタリー等を収録!また、レンタル版ビデオは一足早く3月12日よりレンタル開始!$





——コメンタリーの収録を終えられてご感想は?

きうちかずひろ監督 収録自体はとても楽しくやらせてもらいましたね。特に、欠席裁判と言う形のものはどうなることかと思ってましたが、中には楽しくなかった人もいたかもしれませんが(笑)、大川監督が酷いことばかり言うんで負けないようにと思ってたら、ちょっと酷いこと言い過ぎたかなとちょっと反省してます。

大川俊道監督 僕の撮影は去年の3月だったので、ほとんど忘れてたのと徹夜明けということで、自分の作品に関しては何も言えずに終わっちゃいましたが、他の人の作品には思う存分言えました(笑)。ただきうちさんとかが、言って欲しくないことを言っちゃってるので、家に置けないDVDになりそうで、それが不安です。

辻本貴則監督 自分の分は結構普通に喋ったんですが、欠席裁判の方はいろいろケチョンケチョンに言われるんだろうなと思って、言われないように遠慮してたら、結果的にやっぱり言われたので、やっぱり言っとけばよかったなと。一番僕のところが、盛り上がっていたので、その点では美味しいかも…

河田秀二監督 欠席裁判で大川監督から、監督して脚本書いて主演までして本望だろうとの言葉をいただいて、確かに本望なんですけど(笑)、これから階段を上っていくところなので、『KILLERS2』の時はまた呼んでください。

押井守監督 コメンタリーは随分録ってるけど、今回くらい疲れたのは初めてだね(笑)。酷いよね、皆ね。若い二人をすり潰そうと思ってるんじゃないかな。でも今観てみると、あのスケジュールでよく撮ってるなって思いましたね。半分くらいは、笑い疲れちゃったけど。他の監督だったら、今頃殴りあいになってるんじゃないかと思うけど、しんどいものをやったという共通認識があるから、笑って許してって感じで。





——同じガンアクションでありながら、それぞれが個性的な作品になっていましたが、皆さんが自分の作品で、特に拘られた部分は?

きうち いかに他の人と違う感じのものを出せるかを意識したんですけど、結局は皆が自分の好きなことをやったら、違っちゃったということみたいで。僕の場合は、静かな緊張感みたいなもので、ガンアクションでありながら発砲するシーンは極端に抑えて、そこに至るまでの緊張感を出した作品になっています。その狙いは、ある程度達成できたと思います。

大川 ガンは皆一緒なので、僕は女性二人のアクションということで、衣装やハイヒールを活かして、綺麗なアクションを撮ろうと思いました。ヴィジュアル系のね。

$darkorkhid 辻本$ 僕は低予算であっても、できる限りのアクションを、予算を感じさせないで撮ろうという感じでやったんですけど、今日のコメンタリーを聞いていると、もうちょっと他のところにも気を遣えばよかったなって感じになりましたけど(苦笑)、当初の目的は達成できたかと。

河田 僕はとりあえずお笑い担当ということで、受ければ全てよし!と言うか、多少大雑把でも許してくださいという感じで、そこはコメンタリーで突っ込まれてます。それとリボルバーが好きなんで、そこは拘りましたから観ていただければと。

押井 兎に角、全然時間が無かったので、合理的でインパクトがあるワンアイデアというコンセプトが全てです。瞬間的に思いついた話をぱぱっと形にするって、映画ってやっぱいいなと思いましたね。3年近くかけてアニメやるのもありなんですが、全然違うことが出来て楽しかったですね。ある役者さんとの出会いという経験をしたので、そういう点では僕が一番楽しかったかもしれないですね。
銃の映画って日本では難しい中で、銃以外のところをどう見せて、結果的に銃を見せるという風に考えればいいのかなって。作り手も観る側も、必ずしもガンマニアでなくともいいような作品を。そうしないと作る機会も、どんどん減っちゃうと思うし。兎に角、実写の楽しみを充分に堪能しましたね。





——『KILLERS』もこうしてDVDになりますが、皆さんそれぞれの現況や今後の御予定をお願いします。

きうち 映画に関しては撮るチャンスがあればやりたいですが本業ではないので、具体的な話があるまでは本業であるマンガの方をコツコツと。

大川 今年は『超星人グランセイザー』という東宝製作、テレビ東京放映の特撮ヒーローものを書いているので、それに集中してます。だから本当は今年も映画を撮りたかったんですけど撮れなかったので、来年は是非代表作となるような作品を作りたいと思います。

$darkorkhid 辻本$ 監督を本業と決意はしましたので、企画は色々練っています。なかなか現状では撮れないのですが、着実に進んではいると思いますので、来年1本撮れたら嬉しいなと思ってます。

河田 監督としての仕事はなかなか難しいのですが、とりあえずテレビの脚本の仕事に活路を見出しつつ、虎視眈々と監督の機会を狙います。役者としてはもう本望なので(周囲爆笑)。

押井 来年3月公開の『イノセンス』というアニメーションの追い込み中です。兎に角長かったんで、来年の抱負というか…兎に角家に帰りたいです。こういう『KILLERS』みたいな作品は、また作りたいです。来年は多分何ヶ月か倒れているかと思うけど、次はやはり実写をやりたいですね。こういう映画が出来るかはわからないけど、無理矢理でもやりたい感じですよ。映画の原点と言うか、鉄砲バンバン撃って仕事になるって、他にはないと思うし。僕にとっては3年かかった映画も、3日で撮った映画も基本的には一緒なんです。両方楽しいですね。辛いと言えば、辛いし…。

執筆者

殿井君人

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