「バスケットボールって全然知らなかったんですよ(笑)。なので、ルールはプレイステーションで覚えました。バスケットのゲームのね。一週間やり続けてれば技とかも、なんとなくわかるようになった(笑)」(佐々木浩久監督)。「発狂する唇」&「血を吸う宇宙」でカルト監督の地位を揺るぎないものにした佐々木監督の新作は、ラッパ我リヤ主演の地獄のバスケットボールムービー「スリー・オン・スリー」。ルール無用のファイトシーンに撮影期間のほとんどを費やした同作だが、その一方で複数の三輪ひとみが出没する場面があったり「発狂〜」的サービスも付いてくる。また、ラッパ我リヤと戦う最後に闘う敵チームのボスに日向崇。「悪役なのでとにかく目だけは見据えて、力を込めるようにしました。ただ、ドライアイなので(笑)ちょっときつくなったりもしたんですけどね」、こう語る彼は本作が映画初出演となるものの、「仮面ライダー龍騎」で知っている方も少なくないのではないか?四月初旬、劇場公開に先駆け、佐々木浩久監督と注目の新人俳優・日向崇に会ってきた。

※「スリー・オン・スリー」は4月26日、テアトル池袋でレイトショー公開!!






——ラッパ我リヤさんと対決する悪のチームAZELのボスに日向崇さんをキャスティング。決め手となったのは?

佐々木 浩久監督 あの役はね、結構、悩んだんですよ。バスケットがそれなりにできるということもあったんですけど何せ一番欲しかったのは華。華がある人が欲しかったんです。それに僕は基本的にキャスティングはガラで決めていくんで、演出は特にしない。よっぽどでない限り、役者さんの好きに動いてもらうから、ある意味、やったもん勝ちという現場なんです。だから、見た感じは非常に大切なんです。

日向崇 実際、すごく自由にやらせていただきました。そこが演技経験の少ない自分にとってはやりやすいようでやりづらい点でもあったのですが(笑)。
 でも、衣裳合わせの時に監督に「パワーとエナジーだ!」って言われたんですよ。それが強く残ったので目にだけは力を込めようと思ったんです。しっかり相手を見据えようと。ただ、困ったことに僕はドライアイなんです(笑)。撮影がスタートする直前まで目を閉じていたりしましたね。

——初めての悪役ですが、日向さんは脚本を読んだ時、どう思いましたか?
日向 実は撮影ぎりぎりまで詳しいところはわからなかったんですよ。悪役というのは聞いていましたが、近未来が舞台だとは知りませんでした。バスケットに関しては特にやっていたというわけではないんですが…まぁ、運動神経は悪くないんです。自分で言うのもなんですが(笑)。
 
——バスケットのシーンは大変だったのでは?
佐々木 アクションだけで2週間の撮影中、10日間を費やしたんですよ。アクションチームに関してはバスケット経験のある人をお願いしたんですけど、リーバーズのメンバーの一人を演じたDice-Kさんがすごくってね。彼、実際にアメリカでスリーオンスリーをやっていて州のベスト3まで入ったりもした。今回、八面六臂の活躍というのか、役者兼バスケット指導兼、黒子みたいなこともやってもらってた(笑)。我リヤさんのところも一部彼が代わりにやってくれたりね。
 
——役者から見て、現場の雰囲気はいかがでしたか?
日向 和気あいあいとして楽しかったです。佐々木監督はカット割りがすごい。ものすごく撮るんです。映画は初めてなだけにどうやって作ってくのかっていろいろ知りたいじゃないですか。新鮮だったし、びっくりしながら見てましたね。

——1日何カットくらい撮ったんですか?
佐々木 100カット。朝七時から夜九時くらいまでずうっと撮ってました。これって香港アクションから学んだことなんですよ。香港の人たちってとにかくカットをすごく撮る。人の体と体がぶつかり合う寸前まで。カメラが近づき過ぎて頭から血を流したスタントの人もいたしなぁ。







——劇中では何人もの三輪ひとみさんがわらわらと登場。「発狂〜」シリーズのファンには嬉しい特典でしょう。
佐々木 もとの脚本にはなかったんですよ。三輪ひとみを使って「発狂〜3」をやろうって高橋洋さんと言ってたんですが、それがどうも進みそうになくて。だから、「スリー・オン・スリー」に入れてみたんです。劇中には全部は出てこないけど、実際には6パターンくらいの三輪ひとみを作りました。

——聞き捨てならないですね。「発狂〜」シリーズ第三弾は進みそうにないんですか?
佐々木 脚本はね、随分前に高橋洋が書いてきたんですよ。でもねぇ…、どう考えても製作費は40億くらいかかる(笑)。冒頭からもう大カンフー活劇なんですよ、中国の太平天国の乱が舞台で三輪ひとみが魔女だったりする。それで処刑されて地面がグワーと割れて三輪ひとみがその中に呑みこまれていってね。それから150年くらい経って現代の東京駅に三輪ひとみが蘇り、世界を破滅させようとするという…。すぐ女を犯す巨根男が出てきたり、巨大なギロチンが空を飛んだり、砂漠で大バトルやったり、巨根男が仏になったり。もうムチャクチャでね、莫大なお金がかかりそうなんですけど、内容的に莫大なお金をかけてまでやるものじゃないだろうってことなんですよ(笑)。

——かなり見たいんですけど…。さて、日向さんも映画の次回作があるそうで。やっぱり役者を中心とした活動をしていく予定なんですか?
日向 今はまだ毎回が勉強という感じですが、将来的にはやっぱり役者ですね。演技力の向上はもちろんですが、同時に人間性をもっと磨いていきたいです。そういう存在感が画面ににじみ出るような役者になりたいと思っています。
 次回作は大沢在昌さん原作の「天使の牙」で八月に劇場公開されます。これもまた近未来が舞台で犯罪組織と警察組織が闘う話。僕はここで刑事の一人として出演しました。
 
——最後に「スリー・オン・スリー」をこれから見る観客にメッセージを。
日向 いろいろな要素のつまっている映画だと思います。我リヤさんたちがヒップホップの人たちだからか、そういう力みたいなものを画面から感じることができると思います。僕個人的にはパワーを持っている我リヤさんたちに負けないようにやったつもりなんで。一番最後の対決シーンを楽しんでもらえたらと思います。

佐々木 ヒップホップとバスケットと三輪ひとみとカンフーとJ・カーペンターが好きな人ならぜひ(笑)!!

執筆者

寺島万里子

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