ミュージシャンとして絶大な人気のHYDE、そしてGacktのダブル初主演が話題の映画『MOON CHILD』の完成披露試写会と完成披露記者会見が、3月27日に東京・赤坂で行われた。
 この映画は、永遠の命を持つケイと、アジアの片隅の移民の街で孤児として生き抜いてきた向こう見ずなショウを中心に、若者たちの友情と運命に翻弄される姿を描いたもの。HYDEはケイを、Gacktはショウを演じる。ほかに、2人と友情を交わす青年・ソンに台湾のトップアーチストであり挿入歌も提供したワン・リーホン(『SPY_N』)が、ソンの妹に香港の新進女優ゼニー・クォック(『金魚のしずく』)が、ショウの幼馴染のトシに山本太郎がキャスティングされている。
 当日は、HYDE、Gackt、瀬々敬久監督のほか、ワン・リーホンとゼニー・クォックが駆けつけた。映画同様に友情を築いた撮影の日々を思わせるコメントや、昨今の社会情勢を見つめた平和を希求する言葉も飛び出す会見となった。

$red 『MOON CHILD』は4月19日丸の内ピカデリー2ほかで全国ロードショー$


HYDE:今回映画に参加して新鮮(な経験)でした。撮影中は暑くて大変だったんですけど、すごく楽しくて学生の頃の夏休みのようで、とても良い思い出です。映画を見てその時のことを思い出しました。良い映画になっていると思います。
Gackt:映画の中で表現し存在している世界は他人事ではなく、世の中で起きている戦争 についても、自分で考えなければならないものだと思っています。自分達の思いの中で何を考え行動するのか、映画を見て何をするべきなのか、どんな思いを持って行動するのか、考えてほしいと思います。
ワン・リーホン:この映画に出演でき大変光栄です。素晴らしいプロジェクトでした。無邪気な子供時代を思い出させてくれるものでした。皆さんにも、きっとそういう時代を思い起こさせてくれる映画です。
ゼニー・クォック:自分にとって子持ちの役ははじめてのチャレンジでした。是非多くの皆さんに見ていただきたい。
瀬々監督:好きなシーンは、内乱のどこか遠い国の刑務所で捕らわれているケイにショウが会いに行ったその面会室で、HYDEがGacktに「生きててよかったな」と言う、このシーンが好きです。昨年の夏に撮影をしたメンバーとこうして再会することが出来、とても嬉しく思っています。生きてて良かったなという感じです。

≪質疑応答≫

Q ワン・リーホン、ゼニー・クォックを起用した理由は?
瀬々監督:ゼニー・クォックは映画『金魚のしずく』を見て、彼女なら出来ると思い決めました。ワン・リーホンについては、出演映画などは全く見ずに、1枚の写真を見て決めました。繊細な中にも孤独感がある印象を受けました。彼は台湾人でありながら、アメリカに生まれたという生い立ちで、ある意味移民的立場にある。映画のテーマに合っていると思い決めました。

Q 劇中で最後、HYDEとGacktが2人で歌う曲についておふたりで作られたそうですが、エピソードを聞かせてください。
HYDE:セッションが出来ればいいなという話をして、いくつか曲を作ってGacktに聞かせたら彼が色々とアレンジをしてくれた。途中でがっちゃん(Gackt)はごはんを食べにいって、戻ってきたらその曲は完成していた。彼はごはんを食べれば曲が出来るんだなぁと思いました(笑)。
Gackt:あの時に食べた餃子が僕にインスピレーションをもたらしてくれたと思います。(笑)

Q 台本になかったシーンでハプニングなど追加したシーンはありましたか?
瀬々監督:撮影中は特にハプニングなどはなかったですね。質問と外れてしまいますが、Gacktは男気のある骨太な人。TVで見ている印象とは違いました。HYDEは穏やかでやさしい人。2人の良い面が映像の中に出ればいいなと思っていました。ワン・リーホンは「ヨーイ!」と言ってもよそを向いていて大丈夫かなと思ったが、「スタート!」と言ったらちゃんとしていて、さすがだなと思いました。

#Q 今日久しぶりに再会した感想を
HYDE:一緒に夏を過ごした友人達に、新学期がはじまって再会して、嬉しいのとはずかしいのが混在している気持ちです。
Gackt:撮影中からこの時間が永遠に続けばいいと本気で思えるほど、皆と一緒の時間を過ごしていることが嬉しくて楽しくて、大切な時間だった。こうやってまた皆と再会して、楽屋で顔を見合わせた時に、「生きてて良かった。また会えたね。」という気持ちでいっぱいになった。車の上でタバコを回しのみしているシーン、部屋でふざけているシーン、それらは映画の中のことなんだけど、昔から知っている家族に久しぶりに会ったような気がします。
ワン・リーホン:はじめて完成した映画をみて、全くあの通りでリアルだと思った。幸せなシーンの時は、本当にHappyな気持ちだった。日本の友人達に僕のホームタウンを紹介し、撮影が終われば自宅に帰れた素晴らしい環境。HYDEが言ったように、サマーキャンプをしているようでした。この映画の中に描かれていることは、すべて無邪気で無垢な現実のようです。
ゼニー・クォック:大変親しみを感じています。気はずかしい気持ちです。現場では、私は現場の紅一点だったので、皆さんが気使いしてくれて、とても嬉しかった。

Q 『MOON CHILD』の経験と出会いが皆さんにもたらしたものは?
瀬々監督:今回の作品はキャストとスタッフは、アジアの混在した人々の中で完成した。その経験は、世界が変わっても、色々な国の人達と共同して作業していく喜びと希望を感じました。
HYDE:今まで映画には興味がなかったけど、いい経験をしました。撮影を終えた時は、ライブツアーの最終日のような感覚で、終える喜びも同等だった。何でも食わず嫌いはよくないと思いました。。
Gackt:日本の中から世界を見た時、目線の置き方は他国の人と異なっていると思っていた。自分達は今回、多くの国から集まって1つのものを作るという行為を通して、共にひとつの道を歩くことが出来るのではないか。言葉の壁や文化の壁などがあったとしても、ひとつの道を歩いていけるのではないかという未来の可能性をすごく感じました。
ワン・リーホン:音楽は共通の言語と言われるけれど、映画もそうなんだと実感した。様々な言葉が飛び交っていたが、すべての人は連帯できる、一緒につくればそこからパワーが生まれ、何かが出来るのだと感じた。
ゼニー・クォック:これまで香港でしか仕事をしたことがありませんでした。今回、台湾と日本のスタッフと仕事をして、他の国の言語や文化だけではなく、皆さんの仕事に対する姿勢や、他の国の仕事の環境について勉強になりました。

 会見後に行われた完成披露試写会の舞台挨拶では、ワン・リーホンの「キミたちが大好き」という言葉に合わせてHYDE、Gackt、リーホンの3人が指でハートを描くパフォーマンスをして会場を沸かせ、と同時にチームワークのよさを実感させた。
 舞台挨拶には、このほか山本太郎も参加。大阪人らしいパワフルなトークで場を盛り上げていた。

執筆者

みくに杏子

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