“YEAR OF THE MATRIX”に登場するもう一つの『マトリックス』 『アニマトリックス』ビデオ発売記者会見開催!
今夏の『マトリックス リローデット』、そして今秋『マトリックス レポリューションズ』と、2本の続編の公開も決まり、まさに“YEAR OF THE MATRIX”と呼ぶに相応しい2003年。こうした『マトリックス』の集大成に、さらなる新展開を見せるもう一つの『マトリックス』こそが、日本人を中心とした世界有数のトップ・クリエイター達違によるアニーメーション『アニマトリックス』だ。
3月13日、帝国ホテルにて本作の記者会見が開催された。当日は未公開エピソードを含む2エピソードがお披露目されたほか、本作に参加した日本人監督陣が出席し、質疑が行われた。
$navy ☆『アニマトリックス』は、5月24日よりヴァージン・シネマズ六本木ヒルズにて1週間の限定ロードショー公開後、6月3日よりDVD&ビデオリリース。また、エピソード1『ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス』は、現在丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー公開中の『ドリームキャッチャー』の同時上映作品として公開中!$
実写版『マトリックス』の監督をつとめるウォシャウスキー兄弟が、製作・脚本(4エピソード分)を、劇場版のプロデューサーであるジョエル・シルバーが製作総指揮をそれぞれつとめる『アニマトリックス』は、9編の短篇ストーリーからなり、それぞれが“マトリックス”という仮想現実の世界とそこに住むキャラクターたちを巡る物語を、各アニメーターたちが独自のスタイルで紡いでいく。その内容も、“マトリックス”ワールドが、いかに始まったかを描いたもの(『セカンド・ルネッサンス』)もあれば、マトリックス』を『マトリックス リローデッド』へと繋げるもの(『ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス』)など、作品世界を深く広くそして緊密に結び付けていくものとなっており、表現方法もフル3DCGから、ジャパニメーションを代表する日本の監督陣らがその技法を十二分に発揮したものまで様々だ。
「人前で話したりすると、緊張してどもったりするかもしれないので後は英語で…」と流暢な日本語で話だしたマイケル・アリアス氏は、本作のプロデューサー。ご自身の『マトリックス』と関わった経緯に続き、「大の日本アニメのファンでもあるウォシャウスキー兄弟の、映画館でアニメーションを楽しむということと、様々なクリエイターへのオマージュとリスペクトから、『マトリックス』を種として彼らがどんな樹を育ててくれるのかを見たかったという思い。それらがきっかけとして、本作は製作されました。様々なものが詰め込まれた作品で幅も広く、観客の方もそれぞれに感じてもらえるところがあるはずです」と述べた。
製作された作品のポスト・プロダクションは全てアメリカで行われ、6月にはビデオ・DVDが全世界で同時リリースとなる。また、トップ頁に記した『ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス』の先行上映以外でも、現在Webの方では『セカンド・ルネッサンス パート1(パート2は5月より)』、『PROGRAM』、『DETECTIVE STORY』の3エピソードが配信中。リリースに先立ち、アナザー“マトリックス”ワールドの一端が楽しめるようになっているので、気になる方は次頁のリンクよりアクセスしてみるといいだろう。
会見の後半では、作品に参加した5人の監督が登場。それぞれの監督には、他の監督がどのような内容の作品を担当しているかは知らされず、それぞれが独自のやりたいことに100%取り組んでいく方法がとられたとのこと。日本のアニメの影響下で生まれたブロックバスター作品のアニメ版に取り組んだことへのそれぞれ思いにを紹介しよう。
前田真弘監督(『セカンド・ルネッサンス パート1』、『セカンド・ルネッサンス パート2』——期待されていることは、見れば日本のマンガやアニメにインスパイアされたということがよく判る作品ですから、それがこちらに帰ってきて、我々が日本から世界に向けて考えることは何かを考え、ちょっと構えちゃうところがあったんです。ただ最終的には、シノプシスとかをいただいた段階で、無理に日本発であるとかどうこうよりも、シノプシスに対して自分が素直に作るということを心がけたつもりです。奇を衒わず、ちょっと突き放した感じで作ってみました。制作期間は実働1年半くらいですが、プロットをいただいてからだと、2年くらいかかってます。
渡辺信一郎監督(『KID’S STORY』、『DETECTIVE STORY』)——この仕事が来たときに、向こうのスタッフから特にアメリカ風にというような要望も来なかったし、アメリカ風に作りたいならアメリカのスタッフで作ればいいわけです。彼らは日本のアニメーションが好きで僕達に頼んできたというようなことだったので、あまり今までやってきたスタイルを代えずに普通にやればいいのかなと思い、特別に構えたこともせず、自分達の普段作っている感覚で作り気に入ってもらえた部分もあるので、それでよかったなと思います。『KID’S STORY』は1年くらいだと思いますが、最後の方になってオファーが来て急遽作った『DETECTIVE STORY』は、かなりタイトな期間で作ったので、絵とかをあまり動かさずに持たせる作りをしています。
川尻善昭監督(『PROGRAM』)——僕も“マトリックス”というキーワードで、自分の好きにやることと個性を求められていると思ってました。ただ僕の場合、自分のスタイルを発揮するにはストーリーとしてはオリジナルでやってみたいということで2本書き、『WORLD RECORD』は小池君にやってもらいましたが、それぞれが個性を発揮すれば面白くなると思ってましたから、自分でも楽しめました。制作期間は、やはり1年くらいだと思います。
小池健監督(『WORLD RECORD』)——僕は師匠の川尻から脚本をいただいて、スプリンターで“マトリックス”の世界をやってくれと注文を受け、アクション等がすごく好きだったので、そうしたものなら自分のカラーが出せるということで受けました。別段アメリカ向けだからどうこうというよりも、自分が見たいものを重視して作りました。期間は1年くらいですね。
森本晃司監督(『BEYOND』)——自分の場合は、参加してからが1番長いかなと思っているのですが、出来ればシナリオからやりたいと最初に言ったもので、そのシナリオの部分が結構かかってしまいました。それが1年くらいかかったのかと思います。最初に向こうがこちらをどう評価しているかは判らないのですが、自分の中で今回出した作品が今本当に作りたいという思いでは作っているので、自分が一番やりたかったものが出来たかなとは思っています。
執筆者
宮田晴夫