日本が誇る国際派アクション・スター、倉田保昭。
30年以上にわたりアクション界の第一線で活躍し続ける“世界のクラタ”が、構想5年、準備期間2年を経て製作総指揮、原作、脚本、主演を兼ねて完成させた超娯楽アクション『黄龍イエロードラゴン』。
最近も香港映画『クローサー』、フランス映画『SAMURAl(未公開)』などで現役パワーを見せつけている倉田保昭が自ら製作総指揮・原案・主演をこなす作品の魅力を聞いてみた。



−−−この作品のアイディアは?
1971年の南ベトナム陥落の前に映画の宣伝でサイゴンに行ったことがあって、そのサイゴンで老人と女の人しかいない町を見て戦争って悲惨だなぁと感じました。それから香港に帰って友人から戦争の最前線はアメリカ人だけでなく、アジア人が“イエローベレー”という名称で参戦しているんだよ、と聞かされて、“イエローベレー”という名称が気になり、あと友人と薬を飲んだら10メートルくらジャンプできる便利なものはないかなぁというアイディアの2つから生まれたのが、『黄龍イエロードラゴン』なんです。実際にはそんな薬は無いですが・・・。

−−−この構想は、20年近い前からのアイディアなんですね?
そうですね。人にこの話をすると、今なんてベトナム戦争を知っている人なんていないよって言われるんですよ。

−−−ワイヤーアクションが凄いですが・・・・
構想は、シナリオを作る段階からあって、あの高さの鉄塔で、その上で戦いがあって、最後に鉄柱が床に突き刺さる。実際には、体をワイヤーでつられている状態は、バランスが悪く、あのシーンの撮影だけでも4日もかかったんです。
ガラスに飛び込むシーンなどは、本来なら飴ガラスを使う予定だったのですが、北京ではなかなか飴ガラスが手に入らなくって強化ガラスに飛びこんで怪我をしたくらいで、飴ガラスの入手に苦労をしました。





−−−アクション初めての宮本真希さんについて
実際に撮影前に2週間くらい練習をしまして、アクション監督のフィリップも関心するくらい上手くなりました。あと半年くらい練習すれば、アクション女優でいけるじゃないかとフィリップも言っていましたね。

−−−アクション監督のフィリップとの仕事について
彼とは、この作品の前にフランス映画「SAMURAI」(2002)で4ヶ月ほど一緒にパリで仕事をしていました、その前が彼の監督デビュー作である「Ninjutsu」(1985)という台湾映画で20年くらい前になるわけで、久しぶりに再会しました。彼は、僕がどれくらいアクションができるのかを知っているので、このシーンは、こうやるけど、いい?みたいな感じであうんの呼吸で仕事ができますね。彼に任せきることができます。
アクションのアイディアに関しては、私とフィリップと二人で出し合いながら作ってきましたね。薬を飲んでいるから、このようにジャンプしようよ、とか、水の上をポンポンっと飛んでみようとかアイディアを出すと、逆に彼はそれはできないよ。とかフィリップがいいますね。彼は、どちらかというとワイヤーよりは生身の格闘アクションが好きみたいですね。

−−−ワイヤーアクションでかなりの高さのジャンプを見せていますが・・・
建物の高さは2、30メートルの高さはあるんですが、ワイヤーの引き手は、『マトリックス』などでも担当しているスタッフで、あれこそ機械ではできない人の手の力で見せる演出なんです。サァーっとジャンプしてスーっとゆっくり降りてくる演出は人の手でしかできない技術だと思います。








−−−もう60歳手前57歳にしてアクション俳優一筋ですが・・・。
俳優をやりたくってなったわけでなく、日本人で初めて香港映画に飛び込んだだけで、入ってみてアクションってこんなに面白いんだと感じました。そのときはこの先10年くらいだろうと思い演じてみたんです。ただ、35歳のときにそろそろダメかなぁと思ってみたら、実際は全然違っていて感覚的には20代のころと同じ感覚で、まだいけると思いましたね。しかし、酒、たばこなど食事にも気をつけるようになって、今回もあのアクションを演じてみて、疲れを感じないんですね。僕にとっては、もっと凄いことをやってみたいという気持ちでした。普段からトレーニングと怪我をしないという点には十分気をつけています。

−−−撮影期間中で怪我はあったのでしょうか?
ちょっと足をひねったくらいはありますが、怪我というものは出演者だれも無かったですね。

−−−CGを使おうと思ったきっかけは?
僕はCGのノウハウを知らないので、分からないんですが、香港でアクション映画をやってきた自分にとっては、ボディ・アクションの演出に限界があって、すべての手法はつかい切っているので、リアルに人を切る、首が飛ぶなどのシーンはCGを使わないとだめでしょう。

−−−大変だったシーンは?
巨大な地下のセットですが、あのシーンの撮影だけは、眠れないほど悩みました。どうやってセットを作ろうかと考え、撮影日数も約10日、250人くらいの人を使ってあのセットを組み立て、水路まで引き込んで作ったのですが、完成したときは、感動しましたね。

−−−今後の予定は?
日本よりは、香港やタイで仕事をしたいですねぇ。5月に香港映画の撮影に入る作品があります。

超娯楽アクション『黄龍イエロードラゴン』は、4月5日より銀座シネパトスにてロードショー公開。
初日舞台挨拶とトークイベントも決定!

●初日舞台挨拶
12時20分より(10:30回終了後)
登壇者(予定)
倉田保昭、宮本真希、田中陽子、鹿島勤監督

●トークイベント
4月11日(金)18時50分より  倉田保昭トークイベント
4月12日(土)12時20分より  倉田保昭、照英 舞台挨拶

執筆者

YASUHIRO TOGAWA

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作品紹介
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