3月4日中野サンプラザホールにて、TOKYO FM主催特別試写会、“ブーメラン・プレビュー番外編 すんごくこわい!女だらけのミステリアス・ティーンズ・プレビュー”が開催された。この日の観客は、そのタイトルどおりほとんどが10代を中心にした女性ばかり。しかもホラー映画であるらしいという以上の情報は、知らされぬまま期待に胸をふくらませて集まった、怖いもの好きの女性たちばかりだ。当日は、入場時にも上映作品に関してはチラシ等を配らない徹底振り。そして、配給元のディズニー系新作予告の最後として明かされたこの日の上映作品は、昨年の東京ファンタでも、もっとも怖いホラー作品として話題になった韓国ホラー『ボイス(The phone)』だったのだ。短いクリップに、早くも騒然とする場内。そして、観客が心の準備をするための一時として、スペシャル・ゲストとして、アン・ビョンギ監督と劇中でキーとなる若き母親ホジュンを演じた、キム・ユミが舞台挨拶を行った。

$navy ☆『ボイス』は、2002年4月中旬GWより渋谷東急ほか全国ロードショー公開!$








 TOKYO FMの“ブーメラン・サテライト”生放送出演後、会場に駆けつけた二人は、それぞれ一言づつ会場の観客に挨拶。二人とも、実に若々しい。この作品は、韓国本国では昨年の夏記録的な大ヒットとなった。その要因を訊ねられた、アン・ビョンギ監督は「昨年の夏は雨が多かったから、ヴァカンスに行けなかった方が劇場に来てくれたみたいですね」といたって謙虚に分析するも、「また、怖くて最後まで観れなくて、また観に来てくれた方も多かったようですけど」と、その怖さに関しては本人も手応え満点の様子。監督は本作が劇場作品2作目で、デビュー作もホラー作品だったというホラー好きで、小説・映画ともに『リング』が大好きだとか。そうした、国産ホラーと共通したムードと、その中で監督自身が新たに拘ったポイントを探して見ても面白いかも。
 因みに、この作品の公開が決まってから、配給元のブエナビスタでは、試写室で不思議な影が過ぎったり、エレベーターが止まったりと、妙な出来事が続いたことがまことしやかに語られている。ホラー映画には、こうした話題はつきものだけど、実際撮影中にはそうした出来事は無かったのだろうか?「私じゃなくスタッフの体験ですが、撮影現場に向かう車中で電話のベルがなったことがあったそうです。それぞれが携帯を確認したところ、どれもなったものはなく、音の出所を探していくと、撮影用の小道具の子機だったそうです。ならないはずなんですけどね…。皆、怖くなって、口をつぐんでしまったそうですが、公開後にスタッフから聞かされました」(キム・ユミ)。モノがモノだけに出来すぎの感もするけど、貴方はどう思いますか?最も監督は涼しい表情で、「韓国では、映画の撮影中やCDの録音中に幽霊や亡霊を見ると、それらはヒットすると言われてるんです。だから、幽霊を見るということには、拒否感がないようです(笑)」。…と言うことは、大ヒットした本作故に、この話しはホント?
 5歳の娘を持つ母親を演じたキム・ユミは、見かけだけでなく実際未だ22歳の若さだ。しかし韓国では、テレビを中心にキャリアを積み、絶大な人気を誇っている。今回も日本での滞在は、22時間という慌しさ。そんな彼女だが、今回の母親役は彼女自身にとっても、チャレンジングな役だった。「本当にこの役は苦労しました。子役の子を自分の子供のつもりで愛さなければならないわけですが、それをどう表現するかが私にとって課題でした。監督と相談しながら演技をし、最後まで自分の娘だと信じて演じましたが、彼女は本当に可愛い子で、後半では自然に母親になりきることができました」(キム・ユミ)。そんな彼女に、監督も最大限の賛辞を贈ることを惜しまない。その母親像は、劇場でチェックして欲しい。
 最後に、二人はこれから作品を観る方へ、メッセージを一言づつ。「『ボイス』には、確かに亡霊が出てきますが、それはテレビの中でも、携帯の中でもありません。果たしてどこに出てくるのか、推理しながら楽しんで観て欲しい。ホラー映画ですが、充分に楽しめると思います」(アン・ビョンギ監督)。「全てのシーンを見逃さないでくださいね。怖くて目を閉じてしまうと、次の展開に進んでしまうので(笑)」(キム・ユミ)。さて、貴女は、目を閉じずに最後まで観れるだろうか?是非、チャレンジして欲しい。

執筆者

宮田晴夫

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