ブルース・リーに憧れ続けたフリーターの敏幸。伝説のヌンチャクの争奪戦に巻き込まれ、本当の闘いを経験する事で大人になっていく彼の姿を、あえてワイヤー、CG、VFXを使わない生身のアクションをふんだんに盛り込み、ストーリーのコミカルさとシビアなアクションシーンと1本で2度美味しい『烈風Acition!?』。竹田直樹監督は6歳の時に「死亡遊戯」を見て以来の大のブルース・リーファン。その思い入れは作品の随所に見られる。
主演の敏幸役の吉岡毅志さんは「ウルトラマンガイア」の高山我夢役ではどちらかというと頭脳派の印象だったが、実は「身体を動かす事が大好き」。今回の作品でも半年に渡る功夫(クンフー)の厳しい訓練を受け、スタントなしで、すべてのシーンを演じている。本格的な主演映画は初という吉岡さんにお話を伺いました。

2003年4月5日テアトル池袋にてレイトショー公開






–今回の作品は主演という事ですが。
そうです。「ウルトラマンガイア」以外では初めてになります。

–アクション映画ですが、これはスタント使っていないそうですね。
ええ、まったく使っていないです。

–「ウルトラマンガイア」の時の我夢役は頭の良い少年という設定でしたが、吉岡さんご自身は身体を動かす事が好きだと以前お聞きしました。今回、アクションの練習はかなりされたのでしょうか。
元々、身体を動かすのは好きだったのですが、アクションについてはほどんど知りませんでした。殺陣も現場で何回かは教わったりしましたけれど、いわゆるこういう功夫(クンフー)映画としてのアクションは初めてでした。

–そうすると、最初はかなり戸惑ったりされたのではないですか。
その型ひとつひとつ、何故その指の動きになるかとか、凄い悩んだりしましたね。ヌンチャクもやりました。さんざん肘とかにぶつけました(笑)

–今回はブルース・リーが大好きな青年の役で、ブルース・リーの表情や動きを、真似されていましたね。
今回は面白い映画を作ろうと監督とも話しあっていて、真似るんですけれど模写ではなくコミカルに演じたいなというのが僕の中にありまして。そうでない部分はアクションで見せればいいし、表情とか手の動きとかコミカルに・・ブルース・リーファンはもしかして怒るかもしれませんが(笑)

–唇の動きなど似てましたね
本当ですか、ありがとうございます(笑)ビデオを何度もみて、こう、口を引く動き(実際にやって見せながら)とか、あの人の独特のくせですよね。ブルース・リーの映画は全部見ました。この人の表情を見ていると、同じ顔がないんですよね。これだけ顔が違うというのは、それだけ気持ちが違うんだなと。顔の表情とか身体の動きとか、役者としてのこの人から学んだことは大きいですね。アクションスターというより、役者としての彼の大きさというのが、見えてきましたね。

–ブルースー・リーには、昔から興味はお持ちでしたか。
僕はジャッキー・チェンでしたね。良く公園とかで真似していました(笑)でもこの映画でブルース・リーが好きになりました。ブルース・リーのNG集とかもありまして、やはり彼でも失敗する位難しいんだなと。あと、手の広げ方ひとつにしても、カメラを意識してるんだなと。実戦ではあんなに手を広げないじゃないですか、身体を大きく見せる表現のひとつなんですね。そういう事が凄く勉強になりました。






–敏幸という役についてお聞きします。最初にこの役が決まった時、どう思われましたか。
滅茶苦茶、嬉しかったですね。最初にオーデションで監督に「スタントなしでやれるか」と聞かれました。以前お話したように、身体を動かしたいというのが凄くあって。「ウルトラマンガイア」の時も、代わりにアクションをする方はいるじゃないですか、それは役者としては凄く嫌な事で。たとえばそれが空中ひねりとかになれば出来ないのはしょうがないじゃないですか、でもバック転くらいならやりたいという気持ちはあって。でもアクションについては疎かったので、結構、稽古期間はいただきました。

–竹田直樹監督からは、役について注文などはありましたか?
監督がブルース・リーを大好きな方なので、本当は監督が敏幸をやりたかったんじゃないかな(笑)ブルース・リーに関しては勉強してくれと。好きになってくれと。やっぱりジャッキーより好きになりました。監督とずっと言っていたのは「子供に見て欲しいよね、子供が敏幸の技を真似してくれたらいいよね」と。僕がジャッキーの真似をしたように(笑)

–敏幸は、フリーターで夢ばかりみてて、実際は敏幸が助けたわけではない。襲われた彼女を救ったヒーローとして彼女は敏幸を見ている。実際にヒーローを演じた経験のある吉岡さんだと、そのへんの気持ちが理解出来たのではないでしょうか。
敏幸は素の吉岡に近いですよね。僕がヒーローをやってた時に、そういう葛藤みたいなものはありました。俺がヒーローをやっていいのかなとか、子供達は僕が地球を守っていると思っているけれど、現実の世界では僕ではない。という部分は、敏幸と香璃の関係とリンクしていて、結構、地でいかせていただきました。

–敏幸は演じやすかったという事ですね。
そうですね。ただ、やっぱりスイッチが入って変身という部分では、ウルトラマンの時に出来なかった変身後も自分でやるという面白さ、これは目茶目茶面白かったですね。我夢から入った人は、僕が身体が動けるというのは思ってくれなくて、僕を頭のいい人だと思っていたと思うんですよ。我夢と敏幸は対極ですけれど、変身した時は一緒なんですよね。

–後半、メキメキ強くなるあたりですね。
物語上、無敵に近くなっちゃうんですけれど、ヒーローってそういうものだろうなと。






–様々な敵とアクションシーンを繰り広げるわけですが、特に印象に残るシーンはどこでしょうか。
相手に駆け上って蹴るシーンですかね。

–「烈風」という大変に難しい技だそうですが。
ええ、実は練習では一度も成功していなかったんです。相手の方は功夫や踊りもやられている方で、受けがうまくて、やりやすかったのもありますね。本番では、現場の緊張感が助けてくれたのかな。自分じゃない何か違う空気みたいのに助けられて出来たかなという。でも、それが自分でコントロール出来るようになるといいなと(笑)

–一番の見せ場ですね。
あのシーンだけは、監督がOKを出しても「もう1回やらせて下さい」と、自分が納得出来るまで、やりましたね。

–今回の映画はアクション映画ですが、一風変わった雰囲気になっていますね。
監督と話した時に、お馬鹿映画を作ろうと、変な意味ではなく、楽しい映画を作ろうと。観た方は、何だかわからないけれどすっきりしたという感覚になれると思うんですよね。いわゆるアクション映画というのは、内容よりもアクションじゃないですか、見せ場が違うんですよね、普通のドラマと。

–敏幸は最初は駄目な青年ですよね。
だらしなく情けない(笑)敏幸は誰でも共感出来る部分を持っているんですよ。観る人がリンクしやすいキャラクターで、むしろ観る人が対等に見るよりも、ちょっと下に見る方がリンクしやすいキャラクターかな。

–敏幸は、だんだんと変わっていくわけですが。
皆、常に社会に生きてて、現実の世界の中で「本当に俺はこれだけ出来るんだ」と心のどこかで思っていると思うんですよね。最近のキレる少年とかと違った、筋の通った怒り方というのがあると思うんですよね。だから「俺もこれくらい出来るんだ」と思っていただけたら幸せだなと。

–最後に、これからご覧になる方にメッセージをよろしくお願い致します。
ワイヤーもCGも使っていない、今の流れに逆らったものですが、生身でこれだけの表現が出来るという事を役者として見せたいです。生身の良さは絶対にあるはずだから。

–ありがとうございました。

執筆者

NAMIKO SUZUKI

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