昨年の東京国際映画祭でグランプリ受賞作は、家族の再生を描くイスラエル映画『ブロークン・ウィング』だった。今、イスラエル映画を注目しよう!
17人の監督が3分間ずつ、9.11以降のイスラエルを撮った注目作『モーメンツ:イスラエル2002』が上映決定!
プロデューサーのデヴィッド・フィッシャーの来日も予定されている。
5本の上映作品を紹介しよう!




長篇劇映画 国内外で拍手喝采の人気作!笑いと涙、映画の魅力あふれる人間ドラマ。
【A】『デスペラード・スクエア』 Desperado Squre (1999年/92分/35mm)
監督/ベニー・トラーティ
夢枕に立った元映画館主の亡父の言葉に従い、閉館した小屋を甦らせようと奔走する2人の息子。かつて街の人々を夢中にさせたインド映画、中でも大人気だったラージ・カプール主演の『サンガム』を、彼らは映画館復活のこけら落としで上映しようとするが、母は反対する。そこには母の秘められた過去が隠されていたのだ。そして、父の弟のアブラムが25年ぶりに街に帰って来た……。

長篇劇映画 昨年の東京国際映画祭でグランプリ受賞!家族の再生を描く注目作。
【B】『ブロークン・ウィング』 Broken Wings (2002年/87分/35mm)
監督/ニル・ベルグマン
イスラエル北部の町ハイファで日夜、助産婦の仕事に精を出すダフナ。しかし、不慮の死で夫を亡くした彼女のもとには、それぞれに悩みを抱えた4人の子供たちが残された。高校生の長女マヤは、アマチュアバンドのヴォーカル。その双子の弟ヤイルは、父の死後高校へ行かなくなる。小学生の弟イドーは高所からの飛び下り記録をビデオ撮影するのが楽しみ。マヤはイドーと幼稚園児の妹の面倒を見なければならなかったが、ある日、家を出ることを決意し、テルアビブに向かおうとする……。

パーソナル・ドキュメンタリー ロッセリーニの名作に触発された重層的な映像の記録。
【C】『ストロンボリ・テイク2』 Stromboli: Take 2 (2002年/50分/ビデオ)
監督/ミハ・シャグリル
かつてテルアビブの映画館で見たロベルト・ロッセリーニ=イングリッド・バーグマン・コンビによる映画『ストロンボリ』。イタリア南部の小島の、その火山は、かつて大噴火によって島のすべてを破壊しつくした。それは1930年9月11日のことだった。今なお噴火の危険を孕むこの火山を訪ねた監督は、現地での取材や探索を重ねながら、個人の記憶、人々の記憶、そして映画の記憶が交錯するこの地に、中東情勢へのメタファーを読み取っていく。




アート・ドキュ・ドラマ 世界最前線のダンス振付家ナハリンが創造した斬新な映像世界。
【D】『皆既日食:オハッド・ナハリンの世界』 Total Eclipse(2001年/55分/ビデオ)
監督/シュムリク・マオーズ
独りベッドで目を覚ます女。テレビからは「サンセット・ツアー」のCMが賑やかに流れ出てくる。次にテレビに映るのは、バットシェバ・ダンスカンパニーの舞台「サボタージュ・ベイビー」、そして振付家ナハリンの独白を写した映像。それはやがて、ひとり寝室に閉じこもった孤独な女の情動をにわかに掻き立て、彼女はある皆既日蝕の日の公園での出会いを甦らせる。

アンソロジー 17人の監督が3分間ずつ、9.11以降のイスラエルを撮った注目作。
【E】『モーメンツ:イスラエル2002』 Moments: Israel 2002 (2002年/60分/ビデオ)
解説)エルサレム映画祭とテル・アド(チャンネル2)、そして主にドキュメンタリーへの助成を行なっているニュー・ファウンデーション・フォー・シネマ・アンド・テレビジョンの共同企画による17監督によるそれぞれ3分間の作品のアンソロジー。参加監督は、アモス・ギタイを初め、ラフィ・ブカエ(『アバンチ・ポポロ』)、ウリ・バラバシュ(『壁の向こう側』)、長年日記映画を撮り続けている“イスラエルのジョナス・メカス”ダヴィド・ペルロフら、すでにイスラエル映画界で重要な位置を占めるベテラン達から、ヘブライ語初のSF映画「Planet Blue」を発表し、若者の間でカルト監督となったグル・ベントヴィッチ、将来を期待される女性監督ディナ・ズィヴ・リクリス、アリエラ・アズレィまで、内容はフィクション、ドキュメンタリーからアニメーション、パーソナル・ステイトメントまで多彩。マスメディアの伝えないイスラエルの「いま・ここ」を世界に向けて発信している。

■上映スケジュール
3月29日(土)13:00〜A|15:20〜B|17:30〜C|19:00〜D
3月30日(日)13:00〜E|14:30〜シンポジウム|16:30〜A|18:30〜B
3月31日(月)16:00〜C|17:30〜D|19:00〜E
*各回入れ替え制
*全作品日本語字幕付き
■第5回イスラエル映画祭
2003年3月29日(土)〜31日(月)
会場:国際交流基金フォーラム(赤坂)
■入場料
前売券はチケットぴあにてお求め下さい。
(2月中旬より販売開始予定)
前売1回券=1000円/4回券=3000円
当日1回券=1300円/4回券=3500円
*アテネ・フランセ文化センター会員の方は1回券=800円(当日のみ)でご覧いただけます。受付にて会員証をご提示下さい。
■お問い合わせ
イスラエル映画祭実行委員会
TEL:03-3291-1316(13:00-20:00)

執筆者

外川康弘