海外作品はもとより、日本映画にも力を入れている映画配給会社シネ・カノンが、日本映画界をより活性化すべく、「A LINE」プロジェクトを始動。そのラインナップ発表会が、11月27日(水)、パークハイアット東京で行われた。

「A LINE」の「A」は「Amusement(娯楽)」「Attractive(魅力的な)」「Attention(注意を引く)」「A class(高品質な)」などの意味が込められていて、劇場映画作品ならではの独自企画性とクオリティを保ちながら、徹底してエンタテインメントにこだわる作品を連続して供給していこうというもの。

発表会には、『ぷりてぃ・ウーマン』『ホテル・ハイビスカス』『さよなら、クロ』『ゲロッパ!』『昭和歌謡大全集』『ジャンプ』ら2003年春以降公開の作品から、監督らスタッフがゲストで登場。それぞれの作品の見どころや撮影前の意気込みなどを語った。

今回は、各ゲストのコメントを紹介する。




■コメント
渡邊孝好(『ぷりてぃ・ウーマン』監督)
この映画は、実在する「おばあちゃん劇団」をモチーフにしたもの。実際に元気なおばあちゃんたちと会って、こちらが元気をもらった気がした。撮影時には「おばあちゃん」という言葉は(ベテラン女優さんには)使わないようにしていたけれど、みなさん役者としても女性としても元気で魅力的な方たちばかりで、最後には「ビューティ・セブン」と呼んでいました(笑)。スタッフにもいい刺激になりました。

中江裕司(『ホテル・ハイビスカス』監督)
原作は漫画で、原作を読んで、精霊の存在や自然との係わり合いなど、豊かな自然が残っている沖縄らしい魅力を感じて、映画を作ろうと思った。自分も沖縄が好きで沖縄に住んでいて、いつも見る「素朴で面白い人たち」の姿を描いてみたい。主人公の小学3年生の少女「美恵子」役は、3,000人の中から選ばれた蔵下穂波が演じているけれど、彼女は役者としても人としてもこれから成長していく年頃で、作品の中でも「怪獣」みたいな存在だった(笑)。その怪獣が人としてどう成長していくか、映画を見て確認してほしい。

松岡錠司(『さよなら、クロ』監督)
犬と人間の関係は、普通は犬一匹対一人の主人や家族だけれど、この映画の原作に出ている犬「クロ」は、10年間もある高校に住み着いていたということで、その実話が不思議に思い、面白いと感じ映画を作ることにした。主人公は犬だけれど、10年間の犬と人の付き合いや、それを取り巻く人同士のドラマも描いて、「犬に癒される人間」も主人公として受け止めることができる、リアリティのあるファンタジー作品にしたいと思う。





井筒和幸(『ゲロッパ!』監督)
アメリカ音楽界でのジェームス・ブラウンのポジションは、日本で例えれば…村田英男さんを100人集めたようなもので、黒人パワーを炸裂させてアメリカの音楽界をリードしてきた偉大なものだと思う。この映画『ゲロッパ!』は、彼の魅力をコメディの形で表現していくもので、これから撮影に入るので情報も随時出していく。主演の西田敏行さんは、日本を代表する名俳優で、そういう人と一緒に仕事をやれるのは願ってもないうれしいことだと思う。実は、ギャング映画を撮るのは初めてのことで、その分がんばって笑いながら楽しめる「スピードムービー」にしたい。

篠原哲雄(『昭和歌謡大全集』監督)
原作の内容は暴力的なシーンが多くタイトルからは想像しにくいけれど、こういう作品を以前より撮りたいと思っていた。撮影は9月頃から始まって、毎日暑いなか、仕掛けもたくさん使って過激なシーンを撮っていた気がする。『バトル・ロワイアル』と似ている世界を描いているけれど、こちらは昭和の名歌謡曲を全体で使っているあたりが違い、フィクションさを醸し出していると思う。今はほとんど作業も終わり、来年の秋予定の劇場公開が楽しみ。1時間50分、全編突っ走っているので、それを楽しみにしてほしい。

加藤悦弘(『ジャンプ』プロデューサー)
ニュースで、年間10万人が家出捜索され、そのうち1万人が見つからないと知り、現実のすごさを感じていたころ、ミッシングストーリーの原作小説を知り面白いと思い映画化を思いついた。竹下昌男監督は、この映画が初めての監督作品だけれど、助監督時代からの付き合いで色々と活躍しているところを見てきたので、彼に監督をお願いした。

竹下昌男(『ジャンプ』監督)
映画の監督業は初めてなので、今はただ「無事に撮影を終えることができればいいな」と思っています(笑)。原作小説がとても面白いので、原作ファンの期待を裏切らない作品にしたいと思います。

執筆者

TAISUKE SAITOU

関連記事&リンク

「シネ・カノン」Webサイト