火山108年(…っていつ?)、生徒による覇権争いの続く火山高に炎の転校生ギョンスがやって来たその日から、秘伝書『師備忘録』を巡っての謀略と死闘は加速を続け、カオスの渦の中最後の戦いが、今始まろうとしていた…。
 韓国映画界旬の俳優達が、最新CGI&驚異のワイヤー・ワークによるハイテンションな映像と、ベタなギャグで魅せてくれる『火山高』。東京国際ファンタスティック映画祭2002でオープニングを飾り大好評だった本作だが、いよいよお正月映画としてそのベールが日本全国で明かされる時が近づいた。
 初お披露目となった東京ファンタのオープニング上映に併せ、キム・テギュン監督と本作により日本でもブレイク必至のチャン・ヒョク、シン・ミナ、キム・スロが来日、10月24日セルリアン・タワー東京にて記者会見が開催された。韓国映画としては初の本格的ワイヤー・ワークの導入と、全篇にわたって利いているコミック感覚など、全く新しい作品世界の魅力について語ってくれた、その模様をレポートしよう。

$navy ☆『火山高』は、2002年12月14日(土)より東京・渋谷東急3、12月21日(土)より
大阪・ナビオTOHOプレックスほか全国順次ロードショー公開!$








Q.出演者の皆さんに、個性的な役柄でしたが演じられていかがでしたか?またそれぞれキャラクターの魅力を教えてください。
チャン・ヒョク(キム・ギョンス役)——『火山高』という作品は、映画的な要素よりもマンガ的な要素が強い作品だと感じています。なので演じる上でもマンガ的な表現が重要視されました。それで想像性を駆使することを大前提に、自分がマンガの中にいると想定しつつ演じたのです。それと多くのワイヤー・アクションを取り入れた作品でもありますので、監督とディスカッションをしつつ演じました。明日、東京ファンタで上映されるわけですが、皆さんにどう受け止められるか気になっています。
キム・ギョンス役に関しては、自分が幼かった頃の純粋な感性を活かせればと思って演じました。『オズの魔法使い』に出てくるライオンや案山子を意識したんです。
シン・ミナ(ユ・チェイ役)——これは私にとって映画初出演作でとても緊張しましたし、剣道も習わなくてはならなかったので大変でした。でも監督や共演者の皆さんにとても助けられました。演技力というよりは、マンガ的な作品だったので、それほど難しくはなかったような気がします。
高校生を演じたキャストの中で、当時現役の高校生だったのは私だけだったんです。ユ・チェイは、高校生なんだけど大人びた演技をするのが難しくもあり、また魅力だったと思います。
キム・スロ(チャン・リャン役)——僕は映画界に入る前に演劇をやっていて、そちらではこのような人物を演じたことが何度かありました。今回マンガ的なキャラを如何に消化するかということを考えました。本作で一つのチャレンジが出来たと思いますし、難しかったけど、楽しかったですね。
私はこれまで8つの作品でキャラクターを演じてきましたが、チャン・リャンという役が一番よかったし好きです。役のための勉強もしましたよ。私の年で高校生の役を演じるなどということは、二度と無いだろうから情熱的に演じました。人生の中で、最もカッコイイ役をやったと思います(笑)。またこの作品の後、主役を演じる脚本が沢山送られてくるようになったので、これからは主役が増えるのではと、嬉しく思ってます。









Q.監督に、ワイヤー・アクションやCGIを、これほど用いた韓国映画は前代未聞ですが、ハリウッド映画は意識されましたか?
キム・テギュン監督——そうした場面が多かったですが、私としては初めての経験でした。そういう意味では、苦労した部分も多々ありますが、香港映画やアメリカ映画、そして日本のアニメーション等を随分参考にしました。ただ韓国ではそうした技術力が試される以前の作品でしたので、一つ一つ学びながら撮っていった感じです。

Q.出演者の皆さんに、ワイヤー・アクションでの御苦労等はありましたか?
ヒョク——ワイヤー・アクションは、正直言って大変でした。韓国映画としては初めての本格的ワイヤー・アクションということで、肉体的にも負担がありましたし、初めてということでの精神的な負担もありましたよ。ですが、作品として出来上がった時に、自分達がやったことが出ていなければその甲斐もないわけで、骨の1本や2本が折れても、やらなくちゃいけない覚悟でしたよ(笑)。
ミナ——『火山高』の撮影は約1年間かかったので、私は最初の作品で映画とはこんなに長くかかり、また沢山のカットからなるものだと知りました。ワイヤー・アクションも最初は楽しかったんですよ。6時間も吊られた時は、先にトイレに行ってなかったので流石に参りましたけど(笑)。
スロ——一言で言えば大変だったということになりますが、これ以前の作品でも身体を酷使する作品はありましたから、それ程でもないという思いもありましたね。それで後輩達にも、撮影は肉体的に大変でもそれを楽しみなさい!…なんて言っていたのですが、8ヶ月くらいたった頃には、自分でもそうは言ってられなくなって、兎に角頑張ろうね…って(苦笑)。

Q.映画はとてもマンガ的だったと思いますが、参考にされた日本のマンガなどはありますか?
テギュン監督——日本のマンガやアニメは好きで、よくみてますよ。ですからそれらの影響は、作品中に出ていると思いますし、特にアクションシーンで参考にしました。

Q.監督に、ミナさん演じたユ・チェイが女性でただ一人ガクラン姿で際立っていましたが、特に意識されたのでしょうか?
テギュン監督——私が育った頃は、韓国でも制服があった言わば制服世代なんで、『火山高』に出てくる制服はその頃のものを意識して着せました。ただユ・チェイに関しては何を着せるかとても悩みまして、彼女自身は制服世代ではないのですが、男子と同じ制服を着せることにして、パンツとスカートそれぞれのヴァージョンを準備しました。それで実際に着てもらったところ、パンツのヴァージョンの方がしっくりいったので、そちらにしたんです。








ここでスペシャル・ゲストとして、元SIAM SHADEで高い人気を博し現在はソロ活動中、本作で待望の映画音楽初監督をつとめたDAlTAさんが登場。

Q.監督に、音楽監督としてのDAlTAさん起用のきっかけと感想をお願いします
テギュン監督——『火山高』のポスト・プロダクションの最中に、アミューズ・ピクチャーの会長より薦められ、初めてDAlTAさんの音楽を聴きました。とても素晴らしく、大好きになったんですけど、韓国で公開された本編では時期的な問題もあり、作品全体に使うことは出来ませんでした。その後、日本公開版の編集をはじめるに当って、映画全体を通してのものとして、DAlTAさんの音楽を使わせてもらうことにしたのです。作品の魅力をより引き出してくれる、素晴らしい音楽になっていると思います。

Q.DAlTAさんに、初の映画音楽ということで、バンド活動とは違って苦労された点は?
DAlTA——音楽だけの場合は、自分が頭でイメージしたものを音に置き換えていけばいいのですが、今回は出来上がった映像というものがありまして、シーンもカット割りも決まっている完成品に音をつけるという、稀な作業だったと思います。その中で、僕も映画を見てマンガっぽい印象を受け、個人的にもマンガやアニメが好きでしたので、この映画に対してはテンポよく、そして映像の迫力に負けない勢いのある音作りを心掛けて作曲とアレンジをしました。自分で出来得る限りのことは、やり尽くしたと思いますよ。本当に初めての経験でしたので、新鮮に取り組むことが出来まして、普通の映画音楽とは多分違ったものになっていると思います。特に好きなシーンは、作品中唯一のラブ・シーンで、そこだけはロック一辺倒できた音楽のほうも変えるようこだわりました。

Q.監督に、音楽の話が出ましたが、韓国公開版と日本公開版ではどのような点が異なるのでしょうか?また編集には、監督御本人が携わられたのでしょうか?
テギュン監督——韓国版の方が日本版より若干時間が長いです。韓国版は韓国の公開時に併せて編集を行ったので、タイム・リミットがあったんです。だから私としては、もう少し編集する時間が欲しかったというのが実情でした。それに対して、日本版はあらためて全体を見直す機会にもなりましたので、韓国版よりドラマの部分がより整理されたと思います。

執筆者

宮田晴夫

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