1870年代の日本を舞台に、近代的な軍事教育を行う為にやってきたアメリカ人大尉と、古来からの武士道に生きる侍の姿を通じて、近代日本の誕生を描く『ラスト・サムライ』の、日本での撮影が10月10日より、スタートした。時代劇の本場である松竹京都撮影所の全面的な協力のもとに行われる撮影の為、10月8日、本作の主人公ネイサン・オールグレン大尉を演じるトム・クルーズ、エドワード・ズウィック監督、マーシャル・ハースコビッツ プロデューサーが来日し、日本側キャストと共に本作の製作発表記者会見に臨んだ。
「今日は監督の誕生日なんだよ。“ハッピー・バースデイ”の歌は、日本ではどう歌うんだい?」。挨拶を求められるなり、自分のことはさておいて、丁度来日と重なった監督の誕生日を報告すると、おもむろにトムは“ハッピー・バースデイ”を歌い始めた。そのフランクで笑顔を絶やさない姿には、演技力を兼ね備えたブロック・バスター・スターであることの驕りのようなものは、ひとかけらも感じさせない。

$navy ☆『ラスト・サムライ』は、2004年正月作品として、日米同時公開となる。日本では、丸の内ピカデリー1他、全国松竹・東急系にて2003年12月より超拡大ロードショー公開!$









記者会見は、ハリウッドが描く日本の歴史、文化をより確かにするべく選ばれた、日本側キャストによる会見からスタートした。

Q.それぞれの役についてお願いします。
菅田俊(中尾役)——僕の役は勝元の配下で柔術の達人にして、身体は大きいけれど気の優しい男です。日本人として恥ずかしくない芝居をすることが、自分の役作りだと思っています。

福本清三(無口な侍役)——私の役は“サイレント・サムライ”と言うことで、主役のトム・クルーズさんについていて、良い者なのか悪い者なのか判らないというような役所です。頑張りたいと思います。

小雪(たか役)——私の役は勝元の妹役で、あることがきっかけでネイサンをお世話することになるのですが、いろいろな心の葛藤とかがあり、自分自身も変化していく役柄なんですけど、その時代を生きる女性として、動きの一つ一つを演じていきたいと思います。また日本の文化や習慣、その美しさ等を、同じ日本人の様々な年代の人が見ても、おかしくないような作品に作っていけたらいいと思っています。

渡辺謙(勝元盛次役)——勝元という男は、明治維新後に自分達のアイデンティティを守るために政府軍に叛乱を起こした男で、侍として戦うという姿勢を見せてしまったために、大村と相対し、そうした中でやってきたネイサンと、最初は敵を知りたいというところからはじまり、次第に彼の孤独等と自分の共通点を見出し、友になっていき、最終的には二人で死地に向かって戦を仕掛けていくという、非常に映画自体が持つ異文化とのコミュニケーションを、映画の中でも体現できる役だと思います。トムもナイス・ガイなので、これから半年以上にわたる撮影を楽しみにしています。

真田広之(民尾役)——今回は勝元の侍軍団の中にいて、一番古いタイプの侍と言いますか、廃刀令、断髪令が出されても、髷を切らずに二本挿で頑張って、一番攘夷を唱えているタイプです。一番外国人嫌いで最後まで受け入れたくない男なのですが、剣を通じて信頼関係が生まれて、最後一緒に戦う役です。異文化で色々な意見が飛び交って、大変なことは目に見えているのですが、それを楽しみながら戦って行きたいと思います。

中村七之助(明治天皇役)——明治天皇は実際にいらした方なので、資料等を読み人物像を研究し役を作っていきたいと思います。外国の文化を取り入れるべきか、昔の日本を守るべきか、どちらかわからぬまま苦悩する若い天皇なので、そういう部分を見せられたらいいと思います。

原田眞人(大村役)——新人なので、どう挨拶していいかわからないのですが、役としては岩倉具視、大久保利通といった人たちを併せたようなワンマンな役なのですが、明治天皇の側近でもあって、密かに自分の愛するもの全てが勝元の方になびいてしまうので、悔しい思いをするビジネス・マインドの開国派日本人を演じています。















Q.渡辺さんに、トムさんの印象はいかがでしたか?また、台詞はどのようになるのでしょうか?
渡辺——先月2習慣ほどロスに行きまして、ひじょうに綿密なリハーサルを監督とトムとやりました。その時、本当にGパンにTシャツ…僕もそんな格好だったんですけど…で、プライベートな時間でやったきがして、すごく昔から知っている友達みたいな感じで楽しかったです。本当に「いい奴じゃん」って感じで。スターでも本当にカジュアルで、こちらも全然構えず、この映画を一緒に撮ろうという気持ち一つでリハーサルにきた感じで、本当にいい時間を過ごせる人なんだなと思いました。
僕の場合ダイアローグは8割方英語なので、この半年くらい訓練を続けています。でも、その最中に、ドンドン台詞が新しいものに変わっていくものですから、今頭の中で渦を巻いてる状態です(笑)。

Q.菅田さんに、『KILL BILL』に続いてのハリウッド映画ですが、いかがでしょうか?
菅田——スーパーエキストラとしてのデビューでしたので(笑)、ハリウッド相手に、ここまで役が膨らむぞみたいな、そんな大和魂を見せるように頑張ります。

Q.福本さんに、日本一の斬られ役ということで、40年間やってこられて、今回ハリウッド映画に出る心境をお聞かせください。
福本——割り切っているんですけどね、どうなるのか。日本のチャンバラ、時代劇は沢山ありますから、全世界の色々な立場の人に見てもらいたいと思います。

Q.真田さんに、先程の異文化の中での撮影ということでの期待感と、大変だと思われるところをお聞かせください。
真田——監督のエドは、本当に僕達が感心するほど勉強してますし、武士道の精神にも惚れ込んでくださっているので、基本的には同じ目標に向かっていけると思うのですが、やはり世界配給のエンターテイメントですから、多少のアレンジは必要とされてくるとは思うんですね。そこで日本人が見て、おかしくなく考証に則りつつやれるようにという部分がmイーブンで戦っていける部分だと思います。期待することで言えば、この日本でも中々描かれ難い時代を彼らがどう解釈し、演出してくるのか。ですからこちらも、あまり既成概念に捕らわれず、真っ白な気持ちでその時代を見つめ、撮り続けていくうちに、単に時代劇という括りではない、日本映画にとっても一つの血路が見出せるのではないかという期待もしてるので、あまり臆病にならずに飛び込んでみようかと思います。

Q.小雪さんに、トムさんの印象をお願いします。
小雪——お会いする前までは、ちょっと緊張しておりましたが、実際にお会いしてみて、本当にスターの驕りみたいなものが無く、スタッフの方にも気配りできる方で、そうした部分が、今まで築いてきたキャリアに繋がってきているんじゃないかなと思える人です。共演は大変光栄なことだと思っています。

Q.中村さんに、このような大作での映画初出演ですが、その心境等をお聞かせください。
中村——父も兄も映像をやったことはあって、その話だけは聞かされていてとてもやりたかったのですが、この話が来て幸せですし、やはり舞台と映像は全く違うというわけでもないと思うんです。やはり芝居を作る根元の部分は一緒だと思うので、皆さんと話し合って芝居を作っていけたらと思います。

Q.原田さんに、役を演じるにあたって監督からの演技指導等についてをお聞かせください。
原田——2週間のリハーサルの時、僕は台詞がほとんど英語ですが、そんなには多くはないので頭に入れていったのですが、最初のリハーサルで出てこなかったんです。そういう時にも、エドにしろトムにしろ目が優しいんです。僕が監督の立場の時には、怒るんですが、それぐらいリラックスさせ、誉めてくれて自信を持たせてくれるんです。そういう人間として接触する時の温かさが有難かった。それと僕はビデオでのテストだったんですけど、二度目の時に「お孫さんがいても本当に優しい人、兎に角自分のものを出してほしい」と注文され、個人のおまえがいいのだからというそこですね。

そして続いては、自家用ジェットで大阪につくやいなや、空港につめかけたファンの熱烈歓迎を受けたトム、ズウィック監督、ハースコビッツPが加わり、会見は第2部に。







Q.ご挨拶をお願いします
マーシャル・ハースコビッツ プロデューサー(兼脚本)——私は25年間この企画を監督と温めてきました。本当に時間はかかったけれど、夢が実現してここに来れ、至福な気分です。

エドワード・ズウィック監督(兼脚本・製作)——私は19歳の時に日本の歴史を学びました。そして日本の歴史を扱った映画を撮ることは、人生最大の夢でした。私はこの映画を通じて、日本人との物語、ひじょうに素晴らしい感情の旅を称える映画にしたいと思っています。

トム・クルーズ(ネイサン・オールグレン大尉役)——僕は常に、日本の文化、人々にひじょうな敬意と強い感情を持ってきました。侍魂の優雅さ、そして美しさにです。そしてそれを映画化すると監督から聞いた時に、僕には断ることなどできるはずもなかったんです。僕にとっても夢が叶った思いです。監督は既に2年、後から加わった僕も1年、この映画を作るたびに関わってきました。キャスティングも素晴らしく、皆が到着する前夜は嬉しくて眠れなかったほど。楽しいのみならず、彼らの才能にひじょうに敬意を持っています。僕に寛大に接してくれていることにも、心から感謝したいと思います。この作品は決して忘れられない作品になるであろうし、その体験を今から待ちかねています。そしてこの作品は、ベストの侍魂を称える映画にしたいと思います。製作発表というのは初めての経験なんだけど、皆さん作品の成功を祈ってください。

Q.トムさんが考えられる具体的な侍の姿を教えてください。
トム——武士道は僕が理解しているところでは、名誉を重んじ人への思いやりを持ち尊ぶことで、自分の信じたもののために殉ずれる人々だと思います。正しいことのためには、死ぬことを怖れないそういう男達と思っています。










Q.トムさんは、毎回成長を続けられる俳優ですが、今回はどういた方向に向かいたいと思われていますか?
トム——それはこの映画を撮り終えた時に見えてくると思うよ。兎に角今は、この映画をどうしても作らなければならない、そして自分とこの映画には内面的な繋がりがあると感じてます。このキャラクターと一番共感できるのは、名誉を重んじるというところで、侍の芸術的な能力と優れて知的な能力、そうした資質を尊敬し、演じる道を歩いていきたいと思います。

Q.ズウィック監督に、日本の侍が出てくる作品で、特に影響を受けたものはなんでしょうか?
ズウィック監督——私は16歳の時に黒澤明監督の『七人の侍』を見て、それ以来少なくとも25回は見ていると思います。黒澤監督の作品は全て見ましたし、他の方々…小津監督、原田監督等の作品も見ていまして、こうした素晴らしい古典に匹敵するような、日本映画の生徒でありたいと思います。

Q.トムさんに、髭をはやされているのは役作りのためかと思いますが、その他役作りのためにされていることはありますか?
トム——この髭も長髪も役作りのためだ。侍の歴史の本やアメリカの南北戦争の歴史の本を読むなど、膨大なリサーチをしてます。今までの映画とは比較にならないくらい、剣術、空手などフィジカルなトレーニングもよくやってます。真田さんや謙さんのレベルに達するよう、頑張っています、

Q.ハースコビッツPに、日本人キャストに関しまして、どのようなポイントで選ばれましたか?
ハースコビッツP——どんな作品をキャスティングする時でも、言葉や物語には関係なく、その役に最も素晴らしい人という基準で選んでいきます。そして本当にベストな俳優を揃えるという意味で、今回監督は何百時間もかけて、何大陸も横断しながらベストな人たちを選ぶことが出来たと思います。

会見終了時には、監督及び作品の誕生日のお祝いを兼ねて、大きなバースデー・ケーキが用意され、この映画こそ最高のプレゼントと思いを語った監督は、新たなプロジェクトのスタートと成功を願い、蝋燭を吹き消し、会場からは喝采が贈られた。

まお、本作は、日本での撮影に続き、ニュージーランド、アメリカで撮影が行われ、2004年正月作品として、日米同時公開される予定。これまでもエキゾチックな対象として、日本を描いたハリウッド作品は多々あったが、本作は日本側、アメリカ側それぞれが、真の武士道と日本の文化を伝える作品にしようとする強い意気込みが感じられた。完成を楽しみにしたい。

執筆者

宮田晴夫

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