2002年7月6日より新宿武蔵野館にてロードショー公開の映画『笑う蛙』。6月19日、その完成披露試写会が、銀座ガスホールで行われた。

上映の前には、平山秀幸監督と原作者の藤田宜永、そして長塚京三、大塚寧々、雪村いづみら出演者がゲスト出演した舞台挨拶が行われた。今回は、そのコメントを紹介する。


■コメント
平山秀幸(監督)
この作品は、去年の今ごろに撮影をしていました。こうして皆さんに見ていただけることになる、スタッフや出演者の皆さんに感謝しています。

この作品を作るにあたっては、特にこだわったところはありません。映画は監督だけでできるものではなく、いろいろなスタッフの考えも反映させつつ、原作をどう映像化するかで、試行錯誤な作業なんです。そこが面白くて映画を作っているので、「この原作だからここにこだわった」ということはなかったです。

個性的な俳優さんたちに囲まれて、僕は演出をしないといけないんですけど、仕事だと感じないくらい楽しい現場でした。あと、この作品で初めて「ラブシーン」を撮りましたけど…映画監督としては何の自慢にもなりませんね(笑)。

映画のタイトルは、「もし(原作とは)違うタイトルにするなら」と思い、スタッフやキャストの皆さんから募集をしたものです。そのときに大塚さんが面白いものを出してくれたのでこれに決めました。

本当に芸達者な俳優さんたちが揃っていて笑える作品になっているので、肩の力を抜いて楽しんでいただければと思います。


長塚京三(倉沢逸平 役)
どんな作品でも「何かやってみよう」と決めて演じることはあまりなく、監督やスタッフの皆さん、共演者の皆さんたちの魅力に吸い寄せられて、自分の役作りに反映させているので、役作りで苦労をしたとかいうことはありませんでした。

現場での平山監督は、理路整然と演技指導をすることもなく雰囲気を大事にされる方で、、そんな自然体でマイペースなところが好きです(笑)。監督の短い言葉の中にある意図を感じ取って演じました。


大塚寧々(倉沢涼子 役)
涼子という役は、最初は、直接的に「女っぽい女性」にはしたくはないなと思い、不思議な雰囲気を持つ女性として演じようと思っていました。監督も同じ事をおっしゃっていて、演じやすかったですね。

実は、映画のタイトル『笑う蛙』を命名したのは私なんです(笑)。撮影中に監督が「映画のタイトルを募集する」とみんなにおっしゃられて、私は「冗談だろう」と思っていたんです。お話の中に蛙が出てきて「その蛙も笑うくらい面白い映画だな」と思って、何気ない気持ちで『笑う蛙』にしたんですけど…これに決まるとは思ってもいませんでした。


雪村いづみ(稲松早苗 役)
若い頃から60本を越える映画に出ていますけど、今回、15年ぶりに「映画にでないか」とお誘いを受けて、本読みのときから緊張していたのを覚えています。寛大で優しい平山監督やスタッフの皆さんのおかげで、大塚寧々さん演じる涼子の母親役を地で演じさせていただきました(笑)。本当に楽しい撮影でした。

映画出演を決めた理由は、平山監督が決めてくださったものと思うんですけど、最初に「ミッキー・カーチスさんとの共演です」と言われたんです。大好きなミッキー・カーチスさんとの共演ができると知って「喜んで出演させていただきます!」と答えました。この映画にでて本当に良かったです。ありがとうございます、平山監督(笑)。


藤田宜永(原作者)
僕の小説が映画化されるのは、これが初めてです。いろいろと口を出す権利はあるんですけど「いっさい(口を)出さない」と決めて全てを平山監督にお任せしました。長塚さんや大塚さん、雪村さんら芸達者な役者さんたちばかりで、素敵な映画になりました。平山監督に感謝しています。

映画のタイトルはシュールですね。原作には出てこない蛙が映画に所々出てきていて、ブラックユーモア風の作品には合っていると思います。

映画と原作小説はかなり違うので、映画を楽しんだ後は小説『虜』もよろしくお願いします(笑)。

執筆者

TAISUKE SAITOU

関連記事&リンク

作品紹介