1930年代の日本映画黄金時代、松竹に君臨した二人の巨匠『清水宏と島津保次郎』
ロケを多用し、世界に類を見ないのんびりとした詩情溢れる「脱力系」映画にその転載を謳われた清水宏。
松竹小市民映画の創造者として、吉村公三郎・木下恵介・中村登を育て、「やすじろう」といえば「島津」だったモダニスト島津保次郎。
日本映画の最初の黄金期1930年代に松竹映画を代表した二大巨匠の足跡を、現存するプリントで一挙上映
—清水宏(1903→1966享年63才)生涯監督作品163本
—島津保次郎(1897→1945享年48才)生涯監督作品146本
<上映作品>
清水宏監督
○『花形選手』 1937年/64分/白黒/スタンダード 出演:佐野周二、笠智衆 〔田舎の一本道をどこまでも進む学生たちの行軍演習。奇跡のような「脱力系映画」の傑作〕
○『按摩と女』 1938年/66分/白黒/スタンダード 出演:高峰三枝子、徳大寺伸 〔山の温泉地に今年もやってきた按摩徳市。目明きに負けず往来を闊歩するが、東京から来た女に勘が狂い…〕
○『みかえりの塔』 1941年/111分/白黒/スタンダード 出演:笠智衆、大山健二 〔問題児を集めた学院の子供達と教師の交流を得意のロケ主体で描く〕
○『暁の合唱』 1941年/101分/白黒/スタンダード 出演:木暮実千代、佐分利信 〔秋田を舞台にバスの運転手を目指す女とそれを支える人々を詩情溢れる映像世界で描く。〕
○『サヨンの鐘』 1943年/75分/白黒/スタンダード 出演:李香蘭、島崎発 〔かつて高砂原住民の「皇民化」を讃えた国策映画。ヒロインのサヨンと子供達のピクニックのような日常が見物。〕
島津保次郎監督
○『上陸第一歩』 1932年/88分/白黒/スタンダード 出演:水谷八重子、岡譲二 〔弟子五所平之助『マダムと女房』に続きオールトーキーで撮られた1作。港町を舞台にした活劇メロドラマ。〕
○『隣の八重ちゃん』 1934年/77分/白黒/スタンダード 出演:逢初夢子、岡田喜子 〔東京郊外を舞台に隣同士で幼馴染の八重子と恵太郎を中心に描かれるホームドラマ。〕
○『春琴抄 お琴と佐助』 1935年/100分/白黒/スタンダード 出演:田中絹代、高田浩吉 〔谷崎潤一郎の「春琴抄」の映画化。倒錯愛をはらむ「危険」な小説の映画化に成功。〕
○『家族会議』 1936年/71分(*短縮版)/白黒/スタンダード 出演:佐分利信、及川道子 〔株の世界を舞台に同業者の娘達に人気沸騰の若社長の恋の行方と、熾烈な株屋同志の争いを描く。〕
○『婚約三羽烏』 1937年/65分(*短縮版)/白黒/スタンダード 出演:上原謙、佐分利信 〔婦人服のショールームに入社した3人の若者が、各々婚約者がいるのに気まぐれな社長令嬢に恋をして…〕
○『浅草の灯』 1937年/76分(*短縮版)/白黒/スタンダード 出演:高峰三枝子、上原謙 〔大正期を舞台に浅草オペラの世界を描いた風俗映画の名作。〕
*短縮版と記載した作品は、戦後の再公開の際に、GHQなどの指導で短縮されたもので、既に全長版は存在しておりません。
5月25日(土)より 三百人劇場にて上映開始
(以後、大阪・シネヌーヴォなどでも開催)
※各回完全入替制
当日一般・学生1,400円、小中高・シニア1,000円、当日5回券6,000円、当日10回券1,0000円
前売1回券1,200円、5回券5,000円、10回券9,000円
期間中フリーパス25,000円(限定)
★前売券及びフリーパスは開催中の小特集「女性映画の名匠 中村登の世界」でもご使用になれます。
執筆者
外川康弘