去る3月17日(日)、新宿歌舞伎町のシネマスクエアとうきゅうで『聖石伝説』日本語吹替え版キャストによる舞台挨拶が行われた。
 オリジナルの台湾語版はひとりの声優によってすべての役が演じられているのだが、日本語吹替え版は基本的にはキャラクター毎に豪華で実に的確なキャスティングがされている。
 この日の舞台挨拶ゲストは、エイリアンである非善類(ひぜんるい)を演じた原口あきまさ、ヒロイン・ルーピン役のさとう珠緒、ヒロインが想いを寄せる傲笑紅塵(ごうしょうこうじん)役の三木眞一郎、メインキャラのひとりである素還真(そかんじん)役の子安武人の4名……のはずが、舞台の上には熱心な女性ファンの黄色い声を受けた三木、子安、そして原口の男性3人だけ? 男性陣の話を聞きながら待つことしばし。春らしい白いワンピースのさとうの登場に、ぱっと華やぐ会場。4人は人形劇の枠を越えた、ドラマチックでパワフルなこの映画の魅力を口々に語り、これから映画を見ようという観客の気分を盛り上げていた。

$blue 2002年3月16日よりシネマスクエアとうきゅうにて公開中$







 映画公開を前に、ラジオドラマでもファンを獲得していたこの「聖石伝説」。会場には、噂に聞く常識離れした映像と、その世界をより身近なものにしている日本語吹替え版声優陣をひと目見ようと多くのファンが集まった。熱い女性ファンの黄色い声に包まれて登場したのは、三木眞一郎、子安武人、そして原口あきまさの3人だ。
 原口は、物語のあちこちに登場しては事件を複雑にしていくエイリアン・非善類たちをひとりで何人分も演じ分ける。本人いわく「4役こなしております。いろんな声で出てきます。さんまさん風だとか、石橋貴明さん風だとか。たぶん、わかりやすいと思います。ただひとつだけデブキャラという初めての声がありますので見つけてみてください」と、まずは自身の聞き所をアピール。声優はもちろん初挑戦で、意外なところで苦労したいことを告白。「僕の声も入れてくれと言われたんですよ、地声をね。『ハイ、わかりました』って言った瞬間、僕の声って?って忘れる場合があるんですわ。さんまさんの声でしゃべってるほうが長いですからね。だから、ちょっとね、自分の声を出すのに時間がかかったんですよ。悔しかったですね」
 この原口の発言には、場内爆笑の渦。
 傲笑紅塵役の三木は、中堅どころの人気声優。「演じるに当たっては、アニメーションでもないし、外国映画の吹き替えでもない。人形というものに対してどういうふうにアプローチしていっていいのか。普通のお芝居よりも、世界観がすごいデフォルメされている。ちょっとオーバーにいったほうがいい部分もあれば、心情的な部分で抑えなければいけないし、そのバランスの取り方がひじょうに難しかったように思います」と、初の人形劇体験を語る。
 盛んにファンの声援を受けていた子安も、三木同様中堅の人気声優。素還真という、メインの役どころを演じた。「まず、傲笑紅塵と素還真がまず似ないようにしなければいけないというところの作業から始めました。ともすれば、僕、傲笑紅塵のほうに行っちゃいそうな声質でもあるので、ちょっと雅っぽい感じでやってみました。賢人って言われているんですけど、剣も振るう。そういうところのバランスがひじょうに難しいですね。それと、小うるさい青陽という義理の弟がいるんですけど、青陽と傲笑紅塵、この3人のバランス」と。
 そんな話をひとしきりした後、ついに紅一点のヒロイン・ルーピン役を演じた、さとう珠緒が壇上へ。白いオーガンジーを使った春らしい装いで、一気に場内が明るくなる。
「人形劇って言ったら、私は『ひょっこりひょうたん島』くらいしか知らないんですけど、この『聖石伝説』は、なんだろ、これはって思うくらいアクションシーンとか美術とかものすごかったですね。そのへんの技術は絶対に見所です。ストーリーにも、すごい切ないところがいっぱいあって、そのストーリーとアクションギャップって言うんでしょうか。どちらも合わせて魅力なんです。わかります?」
 と、一気に語るさとう。彼女にとってルーピンはどんな女性かと言うと
「今どきの日本にはいないような古風でステキな、男性とか目上の人とかを立てる女性なんですね。たとえばね、お腹が空いて『おなか、すいた!』って言うような感じじゃないんですよ、ルーピンちゃんは。本当にこんな女性がいたらいいなっていうような、すごいステキな女性で、私とはぜんぜん違うキャラなんですね」
 そろそろ時間も迫ってきたところで、お約束の原口=さんまも登場し、笑いと拍手のうちに終わった舞台挨拶だった。

執筆者

みくに杏子

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『聖石伝説』公式サイト
『聖石伝説』台湾公式サイト(日本語あり)