宮沢りえがモスクワ国際映画祭最優秀女優賞を受賞、フランス・ドゥーヴィル映画祭ではBEST IMAGE賞受賞、香港批評家協会賞では最優秀撮影賞、そして米「タイム」誌が選ぶ2001年傑作映画ベスト10では堂々4位にランクイン。「華の愛−遊園驚夢−」は公開前から話題の多い中国映画である。21日には渋谷・セルリアンタワーにてヨン・ファン監督と主演女優の宮沢りえが緊急記者会見。映画から抜け出したような宮沢りえの美しさにはっとすることしばし。お隣に着席したファン監督も「彼女の存在そのものが芸術。ただいるだけで良かったといい位、撮影中は演出の必要を感じませんでした」と大絶賛。会見の一部をオンライン中継する。

※「華の愛−遊園驚夢−」は5月テアトル新宿、6月シネリーブル梅田ほかでロードショー!!











ーー宮沢さんに。主演女優賞を受賞した感想を。
宮沢りえ 全く予想も期待もしていなかったので本当にびっくりしました。受賞したことで私自身に変化はないんですが、周りの方の反応は変わった気がしますね(笑)。
 受賞以上に嬉しいのが今回の日本公開です。撮影は一昨年に行われたんですけど、日本では公開されないかもって話もあったんです。たくさんの方に見て頂いて、感想をお聞きしたいと思っています。

ーー監督に。宮沢りえさんを起用した理由を教えてください。
ヨン・ファン監督 「華の愛〜」の台本に1年近くかけたんですが、いざキャスティングとなるとジェイド役を探すのは至難の技でした。あの役はいろいろな経験をした人じゃないと出来ない。若くて綺麗な女優はたくさんいるけれど、彼女たちはおうおうにして経験が足りない。かといって、人生経験が豊富な女優となると、あの役をやるには年齢が上過ぎてしまう。中国、香港、台湾とたくさんの女優さんを見てきたけれど、これだと思う人にはなかなか会えなかったんです。
 そんな時に日本の雑誌を見て、宮沢りえが目に留まった。すごく美しいけれど、なんだか目が寂しげだった。彼女のことは名前だけは知っていて、16歳でトップアイドルになり、写真集「サンタフェ」を出したり、18歳で婚約するも破局になったり、若くしていろいろな感情を覚えてきた人だ。スクリーンテストは一切しなかったけれど、彼女ならできるだろうと確信したんですね。

ーー中国の女性を演じるのは大変だったのでは。
宮沢りえ 撮影に入る前は国境なんて関係ないと言い聞かせてきましけど、実際現場に入って分化や背景の違いを感じざるを得ませんでした。けれど、今回感じたのは、その人物が生まれ育った土地に身をおきさえすれば、演じるエネルギーは湧いてくるということ。中国の蘇州での撮影にアンティークな衣裳、そういったものがあの時代の匂いを感じる手助けになりました。
 「華の愛〜」を経験したことで、どの国に行っても撮影はできるんじゃないかって、すごく自信がつきましたね。

ヨン・ファン監督 劇中に3分半くらいの踊りのシーンがあります。中国人でも難しい踊りだから、当初は1フレーズずつ撮ろうって話になったんです。いざカメラを回し始めると、気づいたら6フレーズを越えてしまった。カットを掛けたら、りえは「続けてやりたい」と言った。結局、通しで撮ったんです。終った後はスタッフ全員が、踊りの先生までも拍手喝采した。あのシーンが僕にとって一番の思い出になりましたね。

ーーそのために宮沢さんは汗にじむような努力を?
宮沢りえ イヤホンが耳に引っ付くくらい(笑)、ずっとテープ聴いて練習しましたね。でも、大変だったといえば大変じゃなかったことは一つもないくらいなんです。だから、今は敢えて難しいことは何もなかったって言いたいですね(笑)。

ーー実際に映画を観て、どう感じましたか。
宮沢りえ 監督は美しさ、ということを最初にお会いした時から言っていました。その言葉通りの映像で、美しさの中にはかなさがあったり、強さがあったり、悲しみがあったり…。自分の出ている映画ながら本当に感動しました。

執筆者

寺島まりこ

関連記事&リンク

作品紹介