1876年の独身貴族と現代のキャリアウーマン、そんな全く境遇の異なる二人が125年の時を越えてニューヨークで出会い恋に落ちるというファンタスティックで最高にロマンチックなラブ・ストーリー『ニューヨークの恋人』。この作品で、ナチュラルな仕種や表情で現代に生きるヒロインを瑞々しく演じたメグ・ライアンさんが、ヨーロッパ・キャンペーンの合間をぬって、4度目の来日を果たし2月8日にパークハイアット東京にて記者会見が開催された。
 ハードなスケジュールにも関わらず、素敵な笑顔をで「今日は、また日本に来れて嬉しいと思っています」と挨拶したメグさんは、映画の中と同様シックな黒いドレス姿。「これが一番皺になりにくい服だったの(笑)」と持ち前のユーモアで応えたメグさんだが、ファッションはその時その時の作品に影響されることが多いそうで、今回は流れるような流線型のイメージとのことだ。

$darkred ☆『ニューヨークの恋人』は、2002年初夏より日比谷スカラ座他全国東宝洋画系にてロードショー公開!$











Q.ケイトがレオポルドからしてもらったことで、メグさんご自身がしてもらったら一番嬉しいことはどれでしょうか?
——レオポルドがトーストにバターを塗って朝食を作ってくれる場面の、あのささやかな仕草に私はすごく心を打たれました。今は男性がああいうロマンチックな仕草を見せることが気恥ずかしく、また女性もそうした気持ちを受けるのを気恥ずかしく感じる時代に、あの場面がとても気に入りました。

Q.もしメグさん自身が過去の方と逢えるとしたら、誰とどのような話をしたいですか?
——逢いたい方は沢山いますよ。キャンペーンでローマに行って来たばかりなのですが、レオナルド・ダ・ヴィンチに逢ってみたいですね。彼となら、何時間でも話せる話題があると思います。それから、ちょっと質問から離れますが、レオポルドを演じたヒュー・ジャックマンさんご自身も公爵のように優雅で毎日仕事をしていて楽しい素晴らしい男性だったことは付け加えたいです。

Q.今回貴方が演じたケイトは、確かにキャリアもありますが失恋してたり生活に失望している女性でしたが、メグさん自身はどのように思いますか。また、貴方は本作を含め多くのニューヨークを舞台にした作品に出られていますが、昨年の同発テロをどのように思いますか?
——ケイトは映画の最初では全くバランスを崩した女性だと思います。私自身も、人生のバランスが崩れた状態を経験したことがありますので、非常によく共感できました。失恋したにも関わらず上階の元彼のことばかり考えて失恋の問題は解消されず、しかもキャリアの面で男のように成功しようという方向にばかりエネルギーを注いでいるというバランスを欠いた暮らした女性です。そこに現れた一人の男性が、彼女の生活にバランスを与えていく物語で、そのあたりが自分の経験からも納得のいくキャラクターでした。
ニューヨークですが、私は大学もそこから15マイルほどの所にありましたし、人生の大部分を過ごした都会で、言葉に出来ないくらい愛している街です。この作品の撮影は昨年の春に行われたのですが、たまたまその撮影中にLAとか他所に住んでる友人ともそこで会い楽しい時を過ごし、以前以上に愛する気持ちを強くしました。NYは、あらゆる経験をブローアップしていく街であり、映画の設定としても最適なのです。それほど愛しているNYに9月11日に起こったことは哀しく、心を潰していましてそれ以上の言葉はありません。しかし、あの事件があった故に、今までよりもっといい場所になったと思います。それは、コミュニティとしての結びつきが美しく緊密になったのではと、私は思っています。

Q.テロ以降、アメリカでの映画作りの状況が難しくなったりしますか。
——私は製作面に関してお答えする立場には無いですが、ハリウッドは観客が何を求めているかをいつも考えている町です。ですから、あの事件が観客の意識に与えた影響などに関して戸惑っていて、その変化の上でどのような映画を作るかは大変な問題ですね。












Q.貴方は最近『プルーフ・オブ・ライフ』等シリアスな作品に出られてましたが、今回ロマンティック・コメディに戻ってきた理由は?
——私は本当にこういう映画が好きなんですよ(笑)。私はロマコメが楽しくなおかつチャレンジングな分野だからやるんです。それには独特のトーンがあり、また一歩間違えると酷い作品にもなりかねないジャンルですので、それを素敵な作品へと挑戦していくことが好きなんです。また、台詞にある独特の音感を演じることが好きです。私はシリアスもコメディも出来る、ラッキーな女優だと思っています。それから、その楽観性や愛を最上のものとするキャラクター性等、一種のフェアリーテイルになっています。そんな所も、私のトーンに合って、こういうジャンルに惹かれるのです。

Q.ここ最近、作品ごとに来日していただいてますが、それは数年前にご自身のプロダクションを持ったことからプロモーションの考え方が変わってなのでしょうか。また、プロダクションを持たれてから、女優として変化はありましたか?
——そうじゃないですよ(笑)キャンペーンに熱心なのは、仕事の一部でありまた楽しいからですよ。プロダクションは忙しくってやりきれないから、無くしちゃったの(苦笑)。でも、持っていた数年間には色々なことを学びました。一つは、映画を完成させるということが、本当に大変だということです。そして脚本家の話しや、映画を組み上げていくプロセスに関してよく理解できました。私達俳優は、セットに行けばいいんですけど、それ以前に多くの方がサポートをしているということを強く感じました。

Q.今回の映画でご自身のアイデアが取り入れられていましたら教えてください。
——マンゴールド監督は俳優の意見をよく聴いてくれる人で、色々な申し出をしました。でも、具体的な場面で私のアイデアよと言える物は特に無いです。またこれがご質問への答えになっているかはわかりませんが、私がこの映画で興味深く思いましたのは、現代社会では男女共に互いにロマンチックナ関係を見直す時期にきているということです。つまり、ウーマンリヴが盛んな頃は、男性が女性のためにドアを開けるとひっぱたかれるという時代でした。今は、男性が何かをしてあげて、女性もまたそれを受け入れるという時代へと見直す時期に入っていることが面白いと思います。決してそれは見下しているわけではなく、女性への敬意を表す礼儀正しさとして男性がそれを行い、女性もそれを素直に受け入れるそういう時代に変わったことが面白いと思います。

Q.フェアリーテールを演じるのがお好きということで、劇中ひったくりの場面で現れるヒュー・ジャックマンはまさに白馬の王子様といった感じでしたが、メグさんご自身白馬の王子様を夢見たことがあったのでしょうか。それとニューヨークを舞台にした作品への出演が多いですが、ニューヨークは恋のミラクルが起こりやすい場所だと思いますか?
——私は白馬の王子様へのファンタジーはなかったですね(笑)。劇中でも、あれはコメディの要素として出てきたと思います。そう、ニューヨークは他の場所では起こらないことが起こりうる街だと信じてます。さっきも話しましたが、ニューヨークでは様々なことが度を越えて起こり、様々な人種の坩堝でありルールを壊すことを怖れないし、そうした行為にリスペクトする気風があり、自分に正直なことでマジカルなことが起こる街だと思います。

執筆者

宮田晴夫

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