沖縄県浜比嘉島、子宝の授かる霊石として祭られている“シルミチュー”という大きな洞穴がある島を舞台に、望まれない妊娠をしてしまった少女が、戸惑いながらも母親に成長していく姿を描く映画『おぎゃぁ。』の撮影が快調に続けられている。女優としても目覚しい活躍を見せる岡本綾さんが、初主演作品として取り組むこの話題作。既に、沖縄での撮影は全て終了し東京ロケを残すのみとなった。
 12月26日、東京世田谷区の三茶亭において、本作の冒頭部分の撮影が行われ、その様子がマスコミに公開された。祖母の葬儀を終えて古色蒼然たる居間に戻ってきた花を演じる岡本さん、静かな佇まいの中に垣間見えるエネルギッシュな様子が作品の完成への期待を強く感じさせてくれる。
 この撮影の合間に、岡本綾さんと光石冨士朗監督が、作品について語ってくれた。以下、その様子をお伝えしよう。

$navy ☆『おぎゃあ。』は、2002年初夏全国公開予定!$



Q.この作品の物語についてお聞かせください。
光石冨士朗監督——花と言う主人公を、出産を軸に考えてみようと思いました。ただ出産だけでなく、揺り籠から墓場までという人生の諸々から、人が生まれ、死んでいくといった人生の悲喜こもごもはどんな風にうつっていくかをテーマに、段々と広げていきました。ただハッピーなだけでもなく、辛いだけでもない。なんか、やっていくんだぜ!というメッセージが伝わればいいと思います。

Q.花という役どころはいかがでしたか?
岡本綾さん——撮影に入る前からリハーサルをやらさせていただき、“花=岡本綾でいいとおっしゃってくださっていたので、私的には演りやすかったです。その中でも一番大事なことは、目で見え、手で触れられるものではなく心で感じるものだという感じでしたので。
座長として映画を演らせていただくのは初めてでしたが、そんなにプレッシャーとかもなく、心で感じたものを出していっただけです。現場の空気もすごくよくて、皆楽しんで一つのものを作ろうとしていました。

Q.未婚の母役はいかがでしたか?またご本人と違って難しかった部分などありましたでしょうか?
岡本さん——経験していない分、妊婦さんの苦労や歩き方一つにしても判らないことは多かったですが、いろいろな作品や本で勉強させてもらったり、5Kgの錘をつけて歩いてみたりちょっとずつ克服していきました。そういう部分をうそ臭く見えないように演じるのが一番の挑戦だと思いますし、見所に繋がっていればと思います。そうした経験的な部分をのぞけば、性格的には=岡本綾ですから演りにくいことはなかったです。




Q.監督から見た岡本さんの印象は?
光石監督——脚本読みの段階から、何かを演らせようとかは全然無かったですよ。意思の疎通とか入り口のところだけ打ち合わせをし、演ってみれば彼女はこちらの思ったとおりにこなしていくので、何の心配も無いというのが第一印象ですね。だから、意思確認はしても、こう動かそうとかいうのはやめました。現場でひょいっと動いてくれればいいかなと。一緒にやりやすい女優でした。

Q.岡本さんが目指す女優さんは?
岡本さん——NHKの『オードリー』という作品で、大竹しのぶさんや賀来千香子さんというベテランの方々と共演させていただきまして、そういう方に近づきたいという目標は、これから先も絶対ありますし、今目指すところですね。

Q.沖縄での撮影時のエピソードなどお聞かせください。
岡本さん——沖縄は思ったよりも寒かったって感じです。映画の中ではそんなことはないんですが、三日くらいしかお日さまを見なかったみたい。役を演じる時に、お腹に赤ちゃんがいるという設定を思うだけで、自然と手がいっちゃうようになりました。
光石監督——だからって、カットの声が掛かると大きなお腹をフリフリ走り回るのは、やめなさいって(笑)。

Q.最後に来年の抱負と作品のPRをお願いします。
岡本さん——今年は仕事も順調で、最後に『おぎゃあ。』という作品をやらさせていただいて、感謝しています。この作品を一人でも多くの方に観ていただき、また違う岡本綾をどんどん見せていけたらなと思います。結構奇想天外な作品で、おもちゃ箱をひっくり返したような作品ですが、必ず笑わせ泣かせます。是非、観てくださいね。

執筆者

宮田晴夫

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