デイム・ジュリー・アンドリュースの気品に、場内は陶然と! 『プリティ・プリンセス』来日記者会見開催される
サンフランシスコの街に住む、ごく普通の女子高生ミアが、ある日突然プリンセスに!そんな若い女性なら誰しも夢想したことのある“シンデレラ・ストーリー”と切ない恋心を描き、今年の夏全米で大ヒットした作品が『プリティ・プリンセス』だ。『プリティ・ウーマン』、『プリティ・ブライド』等の作品で、このジャンルの第一人者であるゲーリー・マーシャルが監督し、新星ミア・サーモポリス演じるミアをサポートするクラリス女王役で、ジュリー・アンドリュースが久々の銀幕復帰を果たしている。
来年1月の公開を前に、ゲーリー・マーシャル監督とジュリー・アンドリュースさんが来日を果たし、12月12日にホテル・オークラにて記者会見を開催した。ブロードウェイ版『マイ・フェア・レディ』のイライザ役をはじめ、『メリー・ポピンズ』、『サウンド・オブ・ミュージック』などのミュージカル作品で幅広い人気を誇るジュリーさんは、作品のキャンペーンとしての来日は、今回が初めて。会場は、多くのマスコミ関係者がつめかけ、本当のスター女優としての高い人気をうかがわせた。優しさと優美な気品があふれるその姿は、昔の作品の頃からまったく変わっらず、場内を陶然とさせる。若いマスコミ陣からは、質問の前振りに「子供の頃に最初に『メリー・ポピンズ』見て以来のファンです」という言葉が度々語られるなど、感激と温かさの入り混じった空気の中で会見は行われた。
Q.ご挨拶をお願いします
ゲイリー・マーシャル監督——コンニチハ、今回は新作の『プリティ・プリンセス』、そしてプリティ・ジュリーと一緒に日本に来れて大変嬉しく思っております。今日は沢山の方にいらしていただいておりますが、ジュリーに会いに来てくれたんですよね?それとも、外が寒いから中に入ってきたのかな(笑)。
ジュリー・アンドリュースさん——コンニチハミナサン、大勢の皆さんにお集まりいただいてありがとうございます。私も、こんなにハンサムな監督と仕事が出来て、また久しぶりに来日できて嬉しく思っております。
Q.ジュリーさんに、久しぶりのディズニー映画であり、またかって貴方が舞台で演じた『マイ・フェア・レディ』のヒギンズ教授を思わせる役柄ですが、出演するにあたりどのような思いでしたでしょうか。また監督は、このキャラクターに元々ジュリーさんを想定していたのでしょうか?
ジュリーさん——そうですね。この映画は要素として『マイ・フェア・レディ』『シンデレラ』『醜いアヒルの子』などと重なります。一夜で夢が叶う御伽噺としての意味でも、出演させていただいて喜んでおります。
マーシャル監督——今回は私が脚本を書いたわけではないので、私が彼女を想定して書いたということはありませんが、監督としては女王様役だったらジュリー以外考えられなかった。実際、例えばジュリア・ロバーツにあった時は、普通に挨拶するわけだけど、ジュリーを前にすると背筋がピンと伸びるんだよ(笑)。
Q.監督は『プリティ・ウーマン』でジュリア・ロバーツを世界中に向けた大スターにしましたが、今回の主役のアン・ハサウェイも大スターになると思いますか?そして、ジュリーさんに、この作品はシンデレラのような御伽噺ということですが、ご自身からミアのような普通の女の子にアドバイスはありますか?
マーシャル監督——まずジュリアは、またとない独特のものを持っている人なんだ。アンがジュリアなにになるかどうかは、これからが楽しみなのだけど、ジュリアと共通する資質は持っているとは言えるね。大変美人だが親しみやすい、特にアンに関してはよく転んだりものを落としたりと、とてもぎこちない所が親しみやすいんだ。ユーモアやコメディ・センスもあり、容姿的にも十分なツールを備えているから、これから楽しみなスターになっていくと思うよ。
ジュリーさん——私自身も普通の女の子でした。ただ、ひじょうに運が強く色々な奇跡が起こったんです。そういう意味では、アンにも素晴らしい奇跡が起こることでしょう。私自身、今回の映画の一つメッセージは、自分がお姫様である、特別な人間であるということは、素晴らしい洋服を着てティアラをかぶって宝石を身につけるだけではなく、自分の仕事というものがある、つまり責任を持たなくてはならない仕事がある、それがお姫様だったら、本当に自分が努力をした時に、世の中を変えるくらいの自分の行動があるということがわかった時に、それをやり遂げるということが今回のメッセージであるのではないかと思います。
Q.ジュリーさんに、今回の作品は随分長いお休みの後の仕事ですが、どのような気持ちでしょうか?
ジュリーさん——確かに皆さんからは、久々の映画出演と思われるかもしれませんが、私はその間ひじょうに忙しく過ごしておりました。ブロードウェイの仕事やテレフィーチャー、そしてこの春にはもう1本新しい映画が公開されます。そして、子供のための童話作家という大事な仕事もしておりますので、そういう意味では非常に忙しくしてました。また、そうした忙しい時間の合間の時間には、自分はミセス・ブレイク・エドワーズという仕事もあり、子供達にとってよき母です。だから、今真近の仕事としては、クリスマスがあまりにも早くやってくるということです。
Q.先程の質問とも関連しますが、監督はジュリア・ロバーツさんを大スターにしたわけですが、女優さんを演出する秘訣はなんでしょうか。また、この作品に監督のお孫さんが出演されているそうですが、感想をお聞かせください。そおしてジュリーさんは、本当に女王様の風格を漂わせていたと思いますが、そのエレガンスさを保たれている秘訣を教えてください。
マーシャル監督——皆さんは、突然新しい人が現れて一夜でスターになると思われているかもしれないですが、決してそうではない。新人の女優には運も必要だが、それ以上に共演者に恵まれることが必要なのです。ジュリアはそれ以前にも映画に出ていましたが、『プリティ・ウーマン』でスターになったのは、リチャード・ギアという共演者がいたからです。今回のアンも無名でしたが彼女は、ジュリーという素晴らしい共演者に恵まれ、ジュリーが一歩下がった所から彼女に演技をさせてくれたからこそ、あれだけいい演技が出来たと確信している。ジュリーはとても愉快な方で、アンが何か面白い演技をすると、それに対してさらに面白いリアクションをしてくれる。だからこそ、アンが光るんです。だから、相手にちゃんと演技をさせてくれる共演者に恵まれることが大事なのです。そこが鍵になります。
校門の前でプリンセス・ニアにサインをねだる子供達が登場しますが、あれが私の6歳になる孫娘達で、リリーとシャルロットという双子です。正直言って、あのシーンがこの映画の中で一番好きなシーン。台詞まであって、見ていてとても嬉しかったね。
ジュリーさん——エレガンスの秘訣と言いましても、私は毎日気品高くエレガントに生きているわけではないのですが、今回の映画ではそういうキャラクターです。自分でも光栄だったのは、衣裳はアルマーニにヴァレンティノ、素晴らしい宝石を身に付ける。そして、自分自身が役者としてこの役を作るのにどのようなものが必要なのか、監督はどういうことを求めているのかということを、役者として考えます。多分、マーシャル監督ほど場所を作ってくれ役者として一緒に仕事がしやすい監督は、なかなかいないと思います。この役をいただき、ある意味簡単に出来たというのもこの監督がいたおかげです。
マーシャル監督——付けくわえるなら、今回女王様役を演出するにあたって、テクニカル・アドバイザーをしてくれたのはジュリーなんです。ご存知の方も多いかと思いますが、彼女はイギリスの女王陛下からナイトの称号の女性版になるデイムをお受けになっているんです。だから正式に、デイム・ジュリー・アンドリュースさんです。
Q.ジュリーさんに、昔は『マイ・フェア・レディ』の花売り娘、今は『プリティ・プリンセス』の女王様を演じるということで、どのような心境でしょうか。
ジュリーさん——私のキャリアを振り返ると、私ほど幸運な女性はいないのではないかと思います。自分のキャリアを振り返りますと3つのブロックに分かれると思います。幼い頃、自分はソプラノ歌手として人生を始めました。当時は、こんなに小さな身体からと言われるくらい大きな声音を持っていたんですけど、イギリスのボードビルから始まりました。次は多分ブロードウェイ、そしてそこからハリウッドという形で、その間色々な方のお手伝いがあったからこそ、私はここまで来れたんです。そういう意味において、多くの恩師の方達に勇気付けられながらこのキャリアを築いてこれたことに、非常に感謝をしています。
Q.ジュリーさんに、児童文学を書かれていますが、演じるとき、書かれるときに、次の世代の子供達にどのようなメッセージを伝えたいと思われて仕事をされてますでしょうか。
ジュリーさん——多くの皆さんは、自分の映画キャリアに関しては、素晴らしい脚本がドンドンドンドン自分の所に来てると思われる方が多いかと思いますが、そうではないんですね。様々な脚本の中から、自分がこれだったらやってみたい、そしてその脚本を呼んだときに、自分がこの映画にどのような貢献が出来るかということを常に考えます。もし自分が貢献できないときは、監督さんからのアドバイスをいただきながら素晴らしい映画にしていこうと思うのが、私の役者としての仕事です。しかし、自分が本を書くということになりますと、これは誰かが作ったものに貢献するのではなく、自分が自分の頭の中で描いたものを作っていくという仕事です。そうすると自分の中で、常に一つのテーマとして何をこれから未来の子供達に伝えていきたいか、またその子供達にもっと自分の周りを見れば、様々な可能性があり、色々な色がある、どれだけ素晴らしい世の中に自分達が生きているかということに気づき、再認識して欲しいと伝える事が私の小説家としてのテーマだと思います。
Q.お二人に、御一緒に仕事をされて楽しかった点、困難だった点などありましたら教えてください。
ジュリーさん——私自身マーシャル監督と仕事をするのは、とても光栄なことだったので、毎日仕事に行くのが非常に楽しかったです。だから二人の間の難しさ、大変さは全然無かったんですが、ある場面で、ロサンゼルスの空港の旅客機が離陸する所の下で撮影することになったのですが、ロスの飛行場は15〜30秒ごとに物凄い音を立てて飛行機は飛び立ちます。ですから、二言喋ってはカットという状態がずっと続きまして、出来上がったシーンはジグソー・パズルのように編集されたのではないかと思いますが、演じるものには自分の忍耐がどこまで持つかのエクササイズになり思い出となってます。
マーシャル監督——この作品はレイティングがGということで、誰でも見れる作品です。ディズニー映画にはGランクの作品は多いのですが、主人公がアヒルだったり毛が生えてる獣だったりするわけですが、私達の作品は人間で実写ですので大変苦労しました。そうした作品で、子供からお年寄りまで楽しめる作品をというのが苦労した点でありますが、それと同時に映画の中では若い二人が恋に落ち、またジュリー演じるクラリス女王とヘクター・エリゾンド演じるジョセフがお互い惹かれあっているであろうというところを出しています。後者はオリジナルの脚本には入っておりませんでしたが、若い二人の恋があれば年配の方々の恋もあるべきだと思っていれたわけです。その入れ方も苦労した点です。そう、僕にとって撮影中一番嬉しかった瞬間をご披露したいと思います。私は撮影中に誕生日を迎え、この作品のプロデューサーの一人であるホイットニー・ヒューストンがケーキを持ってセットに現われ、なんと彼女とジュリーがデュエットでハッピーバースデーを歌ってくれたんだ。聞いた所、マイケル・ベイは『パール・ハーバー』撮影中のバースデーに、ダイナマイトを持った二人の男からハッピー・バースデイを歌ってもらったらしいけど、それに比べ僕はなんと幸せだろうと思ったね(笑)。
なお、『プリティ・プリンセス』は、2002年1月下旬より日比谷みゆき座他全国ロードショー公開予定だ。
執筆者
宮田晴夫