植物性の惑星アストリアに墜落した宇宙探査船の影響で誕生した樹木“アクシス”。誕生から600年が過ぎ、アストリアの命の源とも言うべき樹液を取り入れながら巨木に成長した“アクシス”は、惑星の生命を危機に曝していく。そんな絶望的な状況の中、一人の少女が立ち上がる…。
 異星を舞台に壮大な物語が展開されるSFファンタジー『アクシス』は、欧州初のフルCG長編映画として、またプレイステーション2用のゲームとして同時に開発が進行中の話題作だ。この作品の製作発表記者会見が、第9回フランス映画祭横浜2001が開催中のパシフィコ横浜にて行なわれた。記者会見上には、“アクシス”をイメージした樹木のオブジェが飾られ、また褐色に輝くファンタジックで魅力的なその映像の一部が披露されるなど来年の作品完成への期待を高めてくれた。






 この日行なわれた記者会見には、株式会社ナムコ代表取締役会長兼社長の中村雅哉氏、スタジオカナル上級副社長のダニエル・マルケ氏、シャーマン・プロダクションズ社長のデニス・フリードマン氏、株式会社ギャガ・コミュニケーションズ代表取締役社長の藤村哲哉氏らが出席、それぞれの企業がどのような立場で作品に参加し、また今後どのように展開をしていくかについての概要を発表した。また、日仏の共同プロジェクトということで、同会場のメインホールで開催されていた第9回フランス映画祭横浜2001の副会長でユニフランス・フィルム・インターナショナル会長のダニエル・トスカン・デュ・プランティエ氏も来場し、さらなる両国の交流を推進するこのプロジェクトを歓迎する挨拶を行なった。
 『アクシス』は、映画製作に関しては、シャーマン・プロダクションとスタジオ・カナルが行い、日本ではギャガ・コミュニケーションズが配給を担当、ゲームに関しては同じくシャーマン・プロダクションとナムコが共同で進め、世界販売もナムコが手がけるという布陣で進められる、世界初の映画・ゲーム同時開発プロジェクトだ。現在製作は、横浜・パリ・フランス南部のビアリッツという三拠点をネットで結ぶ形で進行している。映画は2002年の春には完成し、日本では秋頃にゲームとの同時リリースがなされる予定だ。またインターナショナルな英語ヴァージョンでは、キルスティン・ダンスト、リチャアード・ハリス、アンジェリカ・ヒューストンなどの実力派俳優陣が声優として参加しているのも、映画ファンには楽しみな部分だ。なお、CG部分を担当するシャーマン・プロダクションは、これまでゲームの世界を中心に活躍してきたフランス有数のトップCGスタジオで映画製作はこれが初めて。他の会社へのCGサービス会社としてではなく、自社による映画製作の展開を積極的に行なうという姿勢で臨んでいるとのこと。また、ゲームの方に関しては質疑応答の際のナムコの岡本部長の話によると、ジャンル的にはアクション・アドベンチャーとなり、映画と共通する登場人物に加え新たなキャラクターも登場するとのこと。世界観に関しては、映画のスタッフと密接な共同関係の元に構築されていくので、映画と相互に補完しあい深めていくものになるようだ。
 現在進行中の『ファイナル・ファンタジー』など、フルCG作品の製作が続く昨今において、『アクシス』はフルCG作品の決定版となるか。その完成を期待して待ちたい。

執筆者

宮田晴夫

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