第9回フランス映画祭横浜2001記者会見
第9回フランス映画祭横浜2001が、6月20日の午後より開幕となる。カンヌ国際映画祭での上映作品から、本国でも封切られたばかりの新作まで話題作揃いだ。開幕当日の朝、駐日フランス大使公邸、オランジュリー・ルームにおいて記者会見が開催され、駐日フランス大使のモーリス・グルドー=モンターニュさん、フランス映画祭受入委員会会長・財団法人横浜市文化振興財団会長の斎藤龍さん、ユニフランス・フィルム・インターナショナル会長のダニエル・トスカン・デュ・プランティエさん、『エステサロン/ヴィーナス・ビューティ』をはじめ多くの作品で知られる女優で、第9回フランス映画祭横浜代表団の団長をつとめるナタリー・バイさん、そして日仏交流〜日本映画へのオマージュにて『月の砂漠』が上映される青山真治監督の5名が出席した。
まずは、日本人とフランス人の感性に共通点を感じるというモンターニュ駐日大使が、映画祭とは文化の多様性を、映画という一つの文化表現をを通じてフランス政府が支援していくことで、文化の規格化に対する一つの私たちの抵抗方法ではないかと考えていると語った。続いて、斎藤会長から映画祭の関連イベントとして開催される、大学特別好演会や子供のためのフランス映画市民特別上映会などの概要に関して説明がされた。
今回団長として参加したナタリー・バイさんは、フランス映画祭の参加は二度目。今回の映画祭では、『マチューの受難』『バルニーと彼のちょっとした心配事』の二作品が上映される。プランティエ会長と一緒に12年前に初来日して日本が大好きだと語るナタリー・バイさんは会見中は落ちついた笑顔を絶やすことなく、「この役目を引き受けられたことに感動していますし、光栄に思っています。今年のフランス映画は、特によい作品がたくさんあります。また映画は、時差や飛行機などで悩まされることなくフランスを紹介する最適な方法だと思います。楽しんでください」と挨拶した。
プランティエ会長は、「横浜は昔から日本の開国窓口であったことは知っていたが、映画に関してもそうなってきている。今年で9年目、毎年100人以上の俳優や映画がのプロが訪れ、若く情熱を持った観客の方々か来てくれることを理解し、皆満足しています。」と挨拶。今年の上映作品についての紹介をした後、カンヌ映画祭で公式上映される作品の中で、アジア映画など他国の作品が紹介される機会が増え、またフランス国内で上映される他国の作品が増加しているという状況を話された。そうした中で、映画でもより他国との交流を求めていくと言う意味で、今年はプログラムに青山監督の『月の砂漠』が加えられるにいたったそうだ。
青山監督の『月の砂漠』は、フランス映画祭横浜で上映されたジャン・リュック・ゴダール監督の作品からインスピレーションを受け製作された作品とのこと。ゴダール監督やナタリー・バイさんらの数々の映画を観て、学び、魅力を知ったと語る青山監督は、その作品が2年連続してカンヌ映画祭に出品されるなど、フランスからは多大な恩恵を受けているという。また今年の上映作品に関しても、自作と一緒にカンヌで上映された作品が多く、その際に感銘を受けた多くの作品が揃っているそうだ。「これからもフランス映画が刺激を与えてくれ、また僕らの映画がフランスの監督達に刺激を与えていける、そういった交流が行われていければと思います」と、映画祭に関する期待の言葉で挨拶をしめた。これから24日までの5日間で上映される様々の作品は、新たな発見と多くの楽しみ与えてくれるに違いない。
執筆者
宮田晴夫