この夏公開映画の本命と目されるSF超大作『A.I.』。19日に開催されたスティーブン・スピルバーグ監督の衛星記者会見に続き、愛という感情をインプットされた人工知能(A.I.)を持った少年ロボット、デイビッドを演じたハーレイ・ジョエル・オスメント君が20日に来日、翌21日に記者会見を行なった。オスメント君の来日は、今回が4回目。今年の春に『ペイ・フォワード/可能の王国』公開時に来日した際にも、スピルバーグの秘密主義元「僕はこの映画については語れないんだ。でも、感動は約束するよ」と話していた『A.I.』だが、ついにそのベールが剥がれ明らかになる日がきたのだ。
 オスメント君は、記者会見の席上でも、一つ一つの質問に丁寧・的確に答え、その存在はまさに“A.I.”そのもののよう!?しかし、片言の日本語で挨拶を返したり、好きな食べ物の話で盛り上がり、女の子の話に照れてみたりするなど、年相応の明るさもふりまいていた。会見後、花束のプレゼンター役をつとめた上原多香子さんも『A.I.』には、大変感動しオスメント君自身にも「直にお会いすると幼い感じなのだけど、スクリーンでの存在感には圧倒されました」と感動された様子。そう、早くも『A.I.』で次のアカデミー賞では主演男優賞最有力の声もきこえはじめた、オスメント君の来日記者会見の様子を紹介しよう。










Q.作品を観ての感想を含め、ご挨拶をお願いします。

この映画を完成した形で始めて観たのが先週で、撮影中にはラッシュもモニター画面も観ていなかったのでどういう作品になるかということは、予想がつかなかったんだ。だから、場面によっては初めて観るシーンが非常に多かった。それで観てみて、自分でとても嬉しくなった。とても素晴らしい出来だよ、スタンリー・キューブリック監督のスタイルも随所に出ているし本当に素晴らしく自分でも楽しめた作品です。

Q.スティーブン・スピルバーグ監督との共同作業はいかがでしたでしょうか?

−−正直言って、初日はすごくナーバスになったよ。世界で最も偉大といってもいい監督との仕事だから緊張感もあったし。でも、撮影に入ったらすぐにその緊張感は無くなったんだ。彼は、監督としても素晴らしいけれど、人間としても素晴らしいんだ。未だ若い俳優として、彼と仕事が出来た体験は非常に貴重なものであるし、映画で彼と関われたと言うことは監督をしている彼の姿を見ているだけでもいろいろ学び取ることが多かったんだ。彼はどれだけ自分の頭の中にあらゆる映画つくりの要素をオーがナイズして各セクションに伝えていくかという仕事ぶりは凄いよ。

Q.今回愛情をインプットされたロボットという役だったのですが、ハーレイ君ご自身はそうした状況が現実になったらどう思うか、お話しください。

−−この作品のデイビッドというメカ…人間の感情も持ち合わせた先進のロボットなんだけど…ができた場合の、客観的な意見を述べるのはとても難しいことなので、皆さんに『A.I.』をご覧になっていただいて、考えていただければどうだろうというのが大きなメッセージの一つだと思うけど、デイビッドみたいなロボットがあれば有効に使える面もあるし映画で描かれているように危険性も孕んでいると思うんだ。マイナスな面もあるし、慎重に取り扱わないといけないね。本当にそういうものができてしまったらどう対処すればいいか…。実際にこういう事は将来にあるかもしれないと僕の意見では思います。でも、そういうものが出来てしまったら慎重にしないとね。映画の中でもジュード・ロー演じるメカのジョーが、「ロボットはあまりに多すぎ、早く作られすぎ、またよく出来すぎてしまった」と言っている。僕もそのとおりだと思うよ。

Q.ハーレイ君はロボット役ということですが、よく出来たロボットを演じるにあたり気をつけたことや考えたことはありますか?

−−この時代では最先端を行くデイビッドというロボットということで、人間的な動きと機械的な動きの中間ということだけど、より人間に近い動きなんだ。あまりロボットらしくない、でも完全な人間ではないということや、どういう世界観や時代に対する感覚を持っているのか、そのあたりをスピルバーグ監督とも話し合ったし、どういう動き方をするか、実際にどう演じていくかは自分の父と話し合ったんだ。その中で、あまりに人工的過ぎてもいけない、人間的な動きなんだけど非常に簡素化されたものにするということで演じたんだ。例をあげると、右に曲がる時にはプログラムされているのだから常に同じ曲がり方をするといった所を気をつけたよ。そして映画が進んでいくと、デイビッドというキャラクターもどんどん進化していく、人間を観れば見るほど人間らしく変わっていくあたりも計算して演じたよ。











Q.映画を観て、3っつの疑問点があったので教えてください。デイビッドを起動させる7つのキーワードについて、彼は理解していたのでしょうか。食事でほうれん草を食べパニックを起こす場面がありますが、プールに落ちたときは大丈夫なようですが、口から食べると壊れるロボットなのでしょうか?3っつめとしてマザー・コンプレックスの強い物語だと思いますが、ウィリアム・ハート演じる自分を創ったホビー教授への愛情といったものはあまり判らなかったのですが、どうなのでしょうか?

−−7つのキー・ワードというのは、スタンリー・キューブリック監督にとって非常に意味のある重要な言葉らしいですけど、その理由は判らないです。ほうれん草と水だけど、プールの後の場面というのは描かれていないので確かなことは判らないけど、食べ物ほどには大変じゃないってことだろうね。それに、あのほうれん草の場合はマーティンと競って必死になっていたんでよりダメージが大きかったんだと思うよ。ホビー教授に関していえば、デイビッドの中ではモニカに対する愛情をインプットされた瞬間から、その愛情は彼女一人にだけ向けられるものなんだ。教授は失われた息子の姿をデイビッドの中に見出していくわけだけど、デイビッドにしてみれば教授はモニカを探す手段でしかありえず、愛情は無いんだ。

Q.厳重な緘口令の中での撮影だったそうですが、その作品についての秘密を最初に喋ったのはどなたで、その時の気持はいかがでしたか?

−−契約書の中には様々なことが書かれていて、またスピルバーグ監督とも話しをしたので、監督の見解は理解できたよ。だから筋に関してや、その日にどんな場面を撮影したとかということは話さなかったんだ。実際、現場に来ていた父親以外には家族にも話していなかったんだ。秘密は、ちゃんと守るタイプなんだよ。

Q.日本に対する印象を教えてください。

−−今回が4回目の来日だけど、毎回来るたびに新しいことが発見できるし、もっともっと知りたい面も出てくるんだ。最初に来たときは、東京のエネルギッシュさを感じたよ。それに、日本の方々は本当に僕を歓迎してくれて、それもまた日本に来たいと思う理由の一つなんだ。これまでは、東京と大阪にはいったのだけど、北海道とか地方の方にも行ってみたいです。食べ物に関しては、日本食は好きです。普段は、チキンはあまり好きじゃないんだけど、日本風の照り焼きチキンは大好きなんだ。それと、最初に日本に来たときにマクドナルドで食べたテリヤキ・バーガー、あれもアメリカにはなくて凄く気にいったよ。

Q.学校では、どういう科目が好きですか?また、ガール・フレンドはいらっしゃいますか?

−−母も学校の先生で、教育の方にも力を入れているので、仕事の無い時は勿論学校に通っているよ。自分で言うのはなんだけど、成績は良いほうで好きな科目は歴史と国語。ガール・フレンドは、未だちょっと早いんじゃないかな?好きなタイプは…よく判らないや(笑)。

なお、『A.I.』は、全世界初の一般劇場公開となる6月23日の先行オールナイトに続き、6月30日より丸の内ルーブル、渋谷パンテオンほか全国東急・松竹系劇場にて、超拡大ロードショーされる。

執筆者

宮田晴夫

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