「コンピューターが怖いんだ。それどころか留守電すら持ってないんだよ」。こう語るのは世界一洗練された田舎者“クロコダイル・ダンディー”ことポール・ホーガンだ。世界中で700億円以上の興行収入を上げた前2作品から13年。「クロコダイルダンディーin L.A.」を引っさげて3度目の来日を果たした。IT社会でカルチャーギャップをパワーアップさせ、今度は何をやらかしてくれるのか!?6月6日に行われた会見でホーガンは挨拶代わりにこう一言。「ほんとだったらニホンゴできるだけど(笑)。今回は通訳をつけてみたんだ」。どんな質問を飛ばしても回答にはもれなくジョークがつく。気さくなお人柄も変わらぬようで。
※「クロコダイルダンディーin L.A.」は6月30日から日比谷スカラ座ほか全国東宝洋画系にて公開





——「クロコダイル・ダンディー2」から13年。この間は何処で何をしていたのですか。
何もしてなかったね(笑)。僕は怠惰な人間なんで、仕事はものすごーくゆっくりやるんだ(注:実際には「フリッパー」を含め4本に出演している)。パート2の後に『このシリーズはもう2度とやりません』って言ったんだけど、世界中何処に行ってもみんながアイディアを出してくれた。アイディアがなかったのは僕くらいのものだったよ(笑)。

——時代遅れのミックをこの21世紀に復活させた理由は。
21世紀に全くそぐわない、場違いな人間だからこそだよ(笑)。ここ10年間のテクノロジーの進み方は過去に例がないだろう。それだけに彼のパーソナリティは一層に際立つ。この映画は日本やアメリカなどのコンピューター先進国ではないところでも公開されるから、どこで見てもわかりやすい映画にする必要があった。僕自身、コンピューターが怖くてダメなんだ。全く使えないどころか、留守電すら持ってない。そしてその上を行くのがミックなんだよ(笑)。

——ミック・ダンディーの魅力を。
彼には僕のチャームが全部あるね(笑)。ミックはシンプルで正直者で古風な人間だ。今のテクノロジー社会についてけないと感じているが、現実に多くの人間がそう思っているからこそ彼に共感を持てるんじゃないかな。ミックは田舎者だけど問題に直面すると、かくも優雅に解決してしまう。みんながそうやりたいと思っているんじゃないかな。




——久々の鰐との共演はいかがでしたか。
“動物と子供とは仕事をするな”とは映画出演でよく言われること。けれど、僕が知っている俳優たちより動物や子供の方がずっと扱いやすいよ。動物とうまくやるコツは自分が危害を与えないってことをわからせることだ。僕の場合はそうだな、動物の匂いがするんじゃないかな(笑)。
 オーストラリアでは破っていけない規則がある。サメや鰐のいる場所で泳ぐ時は常に太った人のそばにいること。そうすれば絶対安全なんだよ(笑)。

——マイキー役の少年は全くの素人だったとか。
彼は学芸会に出たことすらない少年だった。子役には俳優ではない人間を起用することを心がけているんだ。何故かって、演技慣れしている子役には出せない自然な素朴さを持っているからさ。そもそもが子供はいつだって何かのふりをしている。ふりをするゲームを楽しんでるんだ。いつだって彼らは演技をしてるんだよ。

執筆者

寺島まりこ

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作品紹介
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