5月4日より公開となったアメリカでは、オープニング成績が7,000万ドルを超え、ノンホリデー公開作品として歴代週末興行収入新記録を樹立した『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』が、サマー・ムービーの先陣を切って日本でも6月9日よりロードショー公開がスタートする。この作品は、2年前に大ヒットした『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』の続編で、前作の主要キャラが再登場、前作を遥かに超えるアクションとSFXが盛りこまれたミステリー・アドベンチャー超大作だ。
前作に続き、主人公のリック・オコーネルを演じる俳優ブレンダン・フレイザーが、5月23日に来日を果たし、帝国ホテルで開催された記者会見とその夜に開催されたジャパン・プレミアに出席した。ブレンダン・フレイザーの来日は『ジャングル・ジョージ』そして前作に続いて今回が3度目。会見場に黒のスーツ姿で登場したブレンダンは、「日本に戻って来れ、またこうして皆さんとお会いできて嬉しく思っている」とにこやかに挨拶。集まったマスコミからの質問にも、ユーモアを交えつつも真摯に答えてくれた。






Q.作品が大ヒットした要因は、どこにあったと思いますか?

「映画作りは難しいもので、大ヒットした第1作目にも問題点はあったと思う。今回の続編は、そんな問題点から学び取ってさらにパワー・アップした映画になったと思うよ。第一作でファンになってくれた観客の皆さんが、観てがっかりしていないことでそれが証明されたんだ。監督のスティーブン・ソマーズが生き残った登場人物を、ほとんど再登場させたことが要因の一つであり、ILMのジョン・バートンのSFXも非常にパワー・アップしている。後の要因は…女神が微笑んでくれたんだね(笑)」

Q.アクション面で苦労された点はありますか?

「作品は全編ハラハラドキドキの連続だよね。演じていた僕が観返しても、次に何が起こるのだろうと思ってしまうくらいエキサイティングだよね。苦労した点は、やはり戦う相手が現場にいないことだね。全編にわたってCGIの部分がかなり多いけど、僕はこの分野に興味を持っているんだ。特に気に入っているのは、ロンドン市内での2階立てバスのアクション場面だよ。撮影中のバスの中には、勿論ミイラたちはいないのだけど、僕はそこに奴らがいて、大変危険なんだと信じて演じているんだ。技術は本当に進んでいるよ。昔は、技術の制約に従いながら演じていたのが、今では自由に演じたことにCGIがついてきてくれるようになっている。我々にとってはやりやすいよ。ただし、役者が要らなくなってしまうのではないかという、危険性もはらんでいるわけだけどね。」

Q.作品中で、ブレンダンさんのアイデアで変更されたところはありますか?また、何の為なら命の危険をかけても飛び込んでいけますか?

「さっきのバスのシーンだけど、リックがミイラの目に指を突っ込む場面があって、ついこうウゲッってその指についたものを振り落とす演技をしちゃったんだ。それを見ていたスタッフは大笑い。それで、「ごめん、演り直そう」と言ったら、今のママの方が面白いからってことになってね、後から僕の指先にILMによってグチャグチャ」したものが描き入れられたのさ。それが、最大のアイデアかな(笑)。
何の為に戦えるのかと言えば、愛する者、自分の家族のためだね。これはリックも同じで、1作目ではかなり向こう見ずだったのが、2作目では妻子が出来て自分の中の優先順位が変わってきてるんだよ。息子が誘拐されれば、命をかけても戦うんだ。」








Q.ミイラやエジプトが題材として魅力的なのは何故だと思いますか?また、あなたはアクション映画もやっていますが、他の映画ではちょっとナイーヴでちょっとマヌケ、そして非常に純粋なキャラクターも演じられています。そうした、役柄から抜け出せないようなところはありませんか?

「エジプトは神秘を持ち、我々のアドレナリンを刺激する題材なんだと思う。宗教的にも、ミイラ化するということで、死んだ後も蘇らせることが出来ると言う部分が、魅力的で物語りになりやすいんじゃないかな。だからハリウッドでは、こうした作品の歴史があって100本以上作られているんだよ。今回のミイラ・イムホテップも、最終的には失われた恋を求めているという点では、ある意味で同情と共感を持つキャラにもなっていると思うんだ。その恋は暗く、見た目も気持ち悪いけどね(笑)。
2つ目の質問だけど、僕が演じるキャラは水から出た魚のようなものだと思っている。脚本の中で初めて何かに直面した場合、そういう時の気持ちを大事に演じているんだ。マヌケなキャラだといっても、そのキャラ自身は自分のことをマヌケだとは思ってないし、僕もそれがマヌケだとは思わずに演じることがポイントなんだ。個人的には、娯楽性が高いいい映画が出来ればいいと思っているよ。」

Q.シリーズものでイメージの固定化を嫌う役者さんもいますが、3作目の話があったら出演されますか?

「僕自身は未だ3作目の話というのは聞いてないけれど、この映画は第1章・2・3章と作っていける題材だという気はするね。数年後には、また皆さんとこうしてお会いできるかもしれないよ。シリーズによるステレオ・タイプ化という懸念に関していえば、自分はこれまでも違うタイプのキャラ・違うジャンルの映画を経験してきたつもりなんだ。そうすることによって新鮮な気持ちでいられるし、観客もそれを望んでくれていると思うよ。」

Q.コミカルな役、『ゴッド・アンド・モンスター』のようなシリアスなもの、そしてアクションと、確かにバランスがいいと思いますが、今後の俳優としての方向性はどのように考えられてますか。

「『ハムナプトラ2』の後すぐに、グレアム・グリーン原作『静かなアメリカ人』の映画化に出演し、撮了したところです。これは、フランスの植民地支配が終わろうとするベトナムを舞台にしたドラマ性が高い作品だ。そういう風に、バランスがとれるようにこれからも様々なジャンルに挑戦していきたいね。今年の秋にはロンドンで、テネシー・ウィリアムスの『熱いトタン屋根の猫』の舞台に立つ予定だ。『悪いことしまショ!』のフランシス・オコナーも出演する。僕は6・7歳の頃からロンドンで芝居を見ていて、演劇に対する興味が芽生えていったんだ。だから、これは僕の長年夢見たことの実現なんだよ。」




Q.『ハムナプトラ2』でブレンダンさんが一番お勧めのシーンを教えてください。

「見所は沢山あって、全部は言いたくても言いきれないからね。さっき話した、バスの場面はエキサイティングで大好きだ。あれは、ロンドンの市街やタワー・ブリッジで、実際に撮影したんだけど、許可を取るのも大変だったんだ。大掛かりな戦いの場面も沢山あるよ。未だ観てない人もいるだろうからあまり言えないんだけど、新たに登場する新キャラであるスコーピオン・キングとの戦いとかね。スコーピオン・キングはプロレスラーの、ドゥエイン“ザ・ロック”ジョンソンが演じているんだけど、実は彼とは撮影中には一度も会ってなくて、ロスでのプレミアで初めて会ったんだ。CGIのおかげで、逢ったことが無くても戦えちゃうんだよ(笑)。」

Q.初めての父親役はいかがでしたか?また、ナイフの使い方がすごくお上手でしたが、殺陣なども含めて練習とかはされたのですか?

「息子役のフレディ・ボースは、本当に面白くて非常に賢かった、腕白でもあったけどね。彼は1作目を38回も見ていて“ハムナプトラの生字引”みたいな感じで、僕たちが忘れている細かい部分が出てきたら彼をステージの隅に連れていって、お菓子の賄賂を渡して教えてもらうんだよ(笑)。でも、彼との仕事は新鮮で本当に楽しかったよ。
そもそも、ソマーズ監督から送られて来た脚本には、バタフライ・ナイフが同封されていたんだ(笑)。ナイフは自分でも練習したんだけれど、バタフライ・ナイフを何本か壊したりしてるんで、皆にはお勧めしないね。レイチェル(・ワイズ)とパトリシア(・ヴェラスケス)の戦いは、日本の武道を元にしたものだとトレーナーから聞いているよ。」







Q.シンプルな質問ですが、全米で公開後1位を独走していますが、その成功をどう思いますか?

「非常に謙虚な気持ちでいるよ。シンプルな答えだね」

Q.SFXが多用されているとは思いますが、演じられていてブレンダンさん御自身が怖かったとか、ハプニングはありましたか?

「ソマーズ監督の映画には、死に方が沢山あるよね。劇中で、僕が蛇をつかむ部分だけど、あれは実はゴム製だよ。撮影には本物の蛇も用意されていたのだけれど、ゴムの方が本物らしかったんだ。大量の水の場面は、僕はスキューバー・ダイビングをやってたんで最初は楽しかったんだけど、やはり息が続かなくなってきて大変だった。レイチェルは初めての経験で、凄く勇気があったと思うよ。丸1日がかりの撮影だったしね。映ってるのは2秒だけど。」

Q.今回の作品には、どのようなテーマがあると思いますか?私は愛がテーマになっていると感じましたが。

「一番のメッセージは「皆さん、観て楽しんでね」ってことだよ。シンボリズムや精神的な部分も勿論出てくるけど、それは面白さを増すためのものなんだ。観ていて息つく暇も無い、そういう展開だからね。愛がテーマという点も、暗く情熱的な面を持つイムホテップとアナクスナムンの愛と、リックとイヴリンのピュアで深い愛のコントラストで描かれていると思うよ。」

Q.最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

「日本のファンの皆さんのサポートは、本当にありがたく思っている。皆さんも観ていただいて、僕が作っていて楽しんだのと同じ位、観て楽しんでいただけたらと思います。」

 なお、『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』は6月9日からのロードショー公開に先立ち、5月26日と5月2日にそれぞれ先々行、先行オールナイトが開催される。

執筆者

宮田晴夫

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